西田家庭園玉泉園-千仙叟宗室の茶室で抹茶休憩を

金沢の旧家庭園#3

北陸新幹線の開業を契機として、これまで以上に多くの方が観光で金沢を訪れるようになりました。コロナ以前は、特に欧米から訪れる方が目立って増えていました。欧米から観光で訪れる人たちは、武家の庭として作庭された日本庭園がお気に入りのようです。

そのひとつが西田家庭園玉泉園です。玉泉園は兼六園下交差点から兼六坂へと入ったところに位置しています。庭園の入口には「玉泉園灑雪亭露地」と刻まれた石碑が立ち、純和風の門から園内へと入っていきます。

格式の高さが感じられる正門



静寂の中に滝の音が響いています

西田家庭園玉泉園は藩政期の初期に作庭された庭園で、小立野台地の断崖に造られています。

藩政期の初期といえば兼六園がまだ作庭されていなかった頃です。園内に入ると傾斜地となり、作庭以前から茂っていたと言われている樹齢数百年の大木が、兼六園に見られる幽邃(ゆうすい)の趣きを漂わせています。

兼六園とは道路を挟んでお向かいさん

来園者が苔を踏まないようにとの配慮から、園内の散策ルートには飛び石が置かれています。

また、平地部に掘られた池にはカキツバタが生い茂り、浮島を模した石が置かれています。池泉回遊式庭園という様式の庭園で、池の周囲をゆっくりと散策することができます。

池の水は兼六園の霞ヶ池付近の曲水から引いており、園内の傾斜地に引き込まれた水が滝となって池に注ぎ込まれています。日影に覆われる傾斜部では、静寂の中に滝の音が響いています。

初夏の季節にはカキツバタが見頃です

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玉泉園の名前の由来は?

西田家庭園玉泉園は、加賀藩の大小将頭(おおこしょうがしら)という要職を務めた脇田直賢によって最初の作庭がなされました。ちなみに、玉泉園が位置するあたりは小将町という町名です。

脇田直賢は2代藩主・前田利長の正室であった玉泉院に養育され成長しました。そして、大坂夏の陣での戦功が認められるなど順調に出世の階段を駆け上がり、最終的には1,500石の禄高までになりました。

育ての親である玉泉院(永姫)は、織田信長の四女として生まれ前田家に嫁ぎましたが、子宝に恵まれなかったこともあって、多くの子供たちを我が子のように養育した女性です。

脇田直賢もその中の一人であったことから、庭園に玉泉院の名前を拝することを許されたものです。なお、玉泉園は1905年(明治38年)に西田家の所有となり、1971年(昭和46年)から庭園が一般公開されています。

傾斜地の上にある灑雪亭

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西田家庭園では抹茶と和菓子で一休み

西田家庭園玉泉園での楽しみのひとつが茶室『灑雪亭』(さいせつてい)での抹茶と和菓子です。

『灑雪亭』は傾斜地の一番上に設けられており、裏千家の始祖である千仙叟宗室の指導によって造られた由緒ある茶室です。ちなみに現在の西田家の女将さんは茶道の先生です。

抹茶には吉橋の和菓子が付きます。吉橋はひがし茶屋街の近くにある老舗の和菓子屋さんで、主に高級料亭などへの仕出しのみの営業形態であることから、一般の人はなかなか味わうことができない幻の和菓子です。

茶室に腰を下ろして、和菓子と抹茶を楽しみながら、ゆっくりと庭園を眺めるのもお薦めです。

茶室『灑雪亭』からの眺め

Check
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入園料は700円で、抹茶と和菓子のセットが800円です。庭園を見学して、抹茶を嗜むと1,500円になりますが、精神的にとても贅沢な時間を過ごすことができます。

開園時間は午前9時から午後5時(12月は午後4時)までで、毎週水曜日が休園日です。なお、12月25日~2月末日は冬期休園となります。

玉泉園では、和風建築の家屋が玉泉邸という和食レストランに改装されています。玉泉邸はミシュランから一つ星を獲得している名店で、庭園を眺めながらセレブリティな雰囲気でお食事を楽しむことができます。

ミシュラン一つ星の玉泉邸への入口

利用案内

西田家庭園玉泉園
にしだけていえんぎょくせんえん
住所:金沢市小将町8-3
TEL076-221-0181
料金:大人 700円、高校生 600円、小中学生 500円/抹茶付き入園料 大人 1,500円、高校生 1,400円、小中学生 1,300円
時間:午前9時~午後5時(12月は午後4時まで)
休園:毎週水曜日。※12月25日~2月末日は冬期休園
撮影:庭園およびお茶室の撮影OK
西田家庭園玉泉園のホームページ

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金沢観光ガイド 南 武志

観光客の方が「ひがし茶屋街」の最寄りのバス停に並ばれているのを見て、兼六園も近江町市場も歩いて10分なのに…と思ったことが、このサイトをはじめたキッカケでした。 金沢の街は歩いて回れます。自分だけの観光プランで城下町・金沢を満喫してください。

2016年6月5日