暗がり坂は主計町から泉鏡花記念館への石段坂

主計町茶屋街の見どころ#2

今では金沢の観光名所となった「ひがし」「にし」「主計町(かずえまち)」の3つの茶屋街は、かつては地元の旦那衆がご贔屓の芸妓さんに会いに出掛けた花街でした。

各茶屋街には表通りから入って行く道がある一方で、他人に見られないようにお茶屋へ辿り着くための裏道があります。主計町では「暗がり坂」と呼ばれる石段の坂道が、人知れず芸妓さんに会いに行く時の裏道にあたります。

隣町の下新町から久保市乙剣宮という神社の境内を抜けると、人がやっとすれ違える程度の狭い石段坂に出ます。その石段が「暗がり坂」です。

主計町と下新町の境界は急勾配の断崖となっており、石段は途中から右にカーブしています。このことから坂上からは下の様子が見えません。また、昼間でも陽光が遮られる時間帯が多く、まさに暗がり坂と呼ぶに相応しい雰囲気です。

石段を下るにつれて情緒が伝わってきます

主計町茶屋街が3分でわかる画像集



非日常の世界への誘導路

石段を下り始めると少しずつ茶屋街の建物が見えてきます。

坂下には石段よりも多少は幅の広い路地があり、すぐに茶屋街の建物にぶつかってT字路になっています。そして、突き当りのT字路から右へ左へとお目当てのお茶屋に向かうわけです。

主計町では、今では芸妓さんが所属しているお茶屋は4軒だけとなりましたが、大正から昭和にかけての全盛期には、ご贔屓の芸妓さんに近づいていることを感じながら坂を下った旦那衆も多かったことでしょう。

暗がり坂を下ると別世界に迷い込んだ感じが

暗がり坂は上りよりも下り

暗がり坂の上にある下新町は人々が普通に日常生活を送る住宅街です。この石段坂は現実の世界から夢の世界へと下って行く秘密の通路でした。

はじめて「暗がり坂」を訪れる方は、上るよりも下る方が風情を感じることができるかと思います。もし坂道を上って行くことになりましたら、ところどころで振り返ってみるのもお奨めです。

表通りではなく裏通りから通いたくなるのが男の心理

お客様は1日1組です
金沢旅行での観光ガイドを承ります



坂下の主計町事務所は芸妓さんの稽古場

暗がり坂を下り切ると、路地の両サイドには細い格子状の装飾が施された茶屋建築の建物があります。この格子状の装飾は「木虫籠(きむすこ)」と呼ばれる建築様式です。その名のとおり “虫かご” のように見えます。

木虫籠は外から中は見えにくいのですが、建物の内部からは外の様子が見えるようになっています。

坂下の路地にあるのが主計町事務所です。ここは茶屋街における折衝事を行なう場所であるとともに、芸妓さんの稽古場となっています。お昼頃の時間帯には2階の稽古場から和楽器の音色が聞こえてくることもあります。

映画『いのちの停車場』のロケ地

金沢は都市型テーマパーク!

トップページの観光メニューへ

行程はオーダーメイドです
金沢旅行での観光ガイドを承ります



暗がり坂は泉鏡花記念館への近道

主計町の隣町の下新町は金沢の三文豪の一人である泉鏡花が生まれた街です。暗がり坂を上り、久保市乙剣宮の境内を通り抜けて、新町・鏡花通りを左手に行くと泉鏡花記念館があります。

泉鏡花記念館は鏡花の生家跡に整備された建物で、久保市乙剣宮は鏡花にとって子供の頃の遊び場でした。そして、毎朝、神社の境内から暗がり坂を下って、表通りの「中の橋」を渡って小学校に通っていたそうです。

坂下に佇む石碑

主計町茶屋街の見どころ#4

きもの女性は最高の被写体です

暗がり坂は鏡花が描いたロマンと幻想の世界を彷彿とさせてくれます。

坂下にある主計町事務所の前には大きな桜の木があります。この桜の木は鏡花の原作の『照葉狂言』にちなんで「照葉さくら」と名付けられており、桜の木の下には記念碑が置かれています。

また、暗がり坂はカップルで訪れる方には絶好の撮影スポットです。石段を上っていく彼女の後姿や、立ち止まって振り返った時の彼女の表情などを、ファッション誌のカメラマンになった気分で撮影されるのもお勧めです。

照葉さくら命名の記

主計町茶屋街への行き方

金沢の地図が表示されない時は「リロード↺」

NEXT - あかり坂は五木寛之氏が命名した石段の坂

主計町茶屋街の関連ページ

主計町茶屋街の見どころ

主計町茶屋街への行き方


主計町茶屋街の周辺スポット

主計町茶屋街から他の観光名所へ

主要な観光名所は8つ+金沢駅

金沢旅行の予備知識 #4
外観から入る街・金沢は公衆トイレが綺麗です



ご旅行前に知りたい情報は?

金沢がイメージできるページです

1

金沢で主要な観光名所は1日で回れます。なぜなら、人気スポットが東京ディズニーランドと同じくらいのエリアに集っているからです。とりあえず見た!という感じでよろしければ、1日あれば充分です。

2

金沢では、1周約4.3kmの百万石通りが観光エリアです。金沢城公園~兼六園~21世紀美術館は隣接し、ひがし茶屋街と主計町は隣町です。近江町市場や長町武家屋敷跡へもご近所へ行くような感覚です。

3

バス移動では北陸鉄道バスの「1日フリー乗車券」をお買い求めください。料金は800円です。路線バスの210円区間と金沢周遊バスを購入日に何度でも利用できます。ほとんどの観光名所がカバーできます。

4

金沢駅は観光名所が集まる中心部から少し離れています。1泊の場合は駅チカの方が安心できるかと思いますが、2泊以上の場合は香林坊、片町、武蔵ヶ辻などの繁華街に宿泊する方が圧倒的に便利です。

このサイトのトップページへ

金沢観光の-MENU-になります

時間を買う感覚でご活用を
金沢旅行での観光ガイドを承ります



  • この記事を書いた人
  • 最新記事

金沢観光ガイド 南 武志

観光客の方が「ひがし茶屋街」の最寄りのバス停に並ばれているのを見て、兼六園も近江町市場も歩いて10分なのに…と思ったことが、このサイトをはじめたキッカケでした。 金沢の街は歩いて回れます。自分だけの観光プランで城下町・金沢を満喫してください。

2016年5月24日