Kenrokuen*10
(Tokiwagaoka)

兼六園が作庭された時から存在するエリア

昔も今も金沢観光の中心は兼六園です。特に2015年3月の北陸新幹線の開業以降は、平日でも多くの入園者が訪れています。

現代の兼六園は、ことじ灯籠のある霞ヶ池と、その周囲に広がる千歳台と呼ばれる宏大な日本庭園がメインとなっています。そして、霞ヶ池の手前に掛かる虹橋では多くの人たちが記念写真を撮るために列を作っています。

風景写真を撮る時にも、人がいなくなる瞬間を待たなければならないほどの賑わいを見せる兼六園の中には、ほとんど人が歩かないエリアがあります。それが常磐ヶ岡(ときわがおか)です。

兼六園の7つの入場口の中でも利用者数の多い桂坂口か真弓坂口から入園すると、霞ヶ池と宏大な日本庭園が広がる高台に向かって上り坂となりますが、常磐ヶ岡はその途中の傾斜地に位置しています。

常磐ヶ岡を歩く人が極端に少ない理由は雑木林だからです。傾斜地には樹齢を感じる木々が生い茂り、細い遊歩道は山道にあるハイキングコースのようです。

兼六園は宏大、幽邃、人力、蒼古、水泉、眺望という6つの景勝を兼ね備える庭園という意味で名付けられましたが、常磐ヶ岡はありのままの自然が古びた趣きを感じさせる「蒼古」の雰囲気を漂わせています。

古びた趣きの中に佇む黄門橋

常磐ヶ岡は退園の際に立ち寄るのがお奨め

常磐ヶ岡を散策していると、黄門橋(こうもんばし)、獅子巌(ししいわ)、白龍湍(はくりゅうたん)などの風情のある名前を記した木製の立て看板を見かけます。

黄門橋は噴水の右側にある脇道を上ったところにあります。石で作られたアーチ状の橋で、橋の向こうには鬱蒼とした雑木林が広がっています。ちなみに黄門橋の名前は明治時代に付けられたものです。

その黄門橋を渡ったところにあるのが獅子巌です。兼六園には獅子巌、虎石(とらいし)、龍石(りゅうせき)と生き物に似ていることから名付けられた石が3つあります。

獅子巌

獅子巌については、言われてみればライオンに見えないこともありませんが、ごく普通の石です。「獅子に見える?」などとは言わずに、この石を獅子に似ているとした想像力を感じていただければと思います。

白龍湍とは霞ヶ池から瓢池へと続く傾斜地を流れ落ちる急流のことです。水面に空が白く写り、川底の石が鱗のように見えます。白龍湍の案内板を見た後に水の流れを眺めると “白い龍” にも思えてきます。

白龍湍

さて、常磐ヶ岡の傾斜地は上るよりも下る方がお奨めです。

前述のとおり、兼六園に入園する人の大多数が、金沢城公園と直結する桂坂口か、金沢21世紀美術館の斜め向かいにある真弓坂口から入園します。

はじめて兼六園を訪れる方は、まずは霞ヶ池に向かって坂道を上り、宏大な日本庭園を堪能されるといいでしょう。そして、兼六園から退園する際には、霞ヶ池から常磐ヶ岡に入って、自然に囲まれた散策路をゆっくりと下ってはいかがでしょうか。

霞ヶ池に沿って生い茂る樹木が常磐ヶ岡です

霞ヶ池から常磐ヶ岡を通って低地へと降りていく道は2つありますが、いずれの散策路も水辺へと続いています。

桂坂寄りの坂道を下ると、現存する日本最古の噴水に出ます。噴き上げられた水が落下する音が散策路まで聞こえてきます。また、真弓坂寄りの散策路でも水の落下音が聞こえますが、その音を響かせているのは瓢池へと注ぎ込まれる翠滝です。

常磐ヶ岡を下ると現存する日本最古の噴水に出ます

常磐ヶ岡は金沢城を守るために作庭されました

地元の北國新聞社が発行している兼六園の解説書によると、作庭当時の兼六園は、金沢城への侵入を阻止する防災の役割を担っていたそうです。

金沢城は小立野台地の先端に築かれたお城で、北、西、南の3方向は平地が広がっていることから守りやすいのですが、東側の小立野台地からの攻撃が弱点でした。そこで、5代藩主・前田綱紀は小立野台地から百間堀にかけての傾斜地に庭園を造りました。

小立野台地からの傾斜地に樹木を生い茂らせ、傾斜地の下に瓢池を造ることで敵の大群が攻めてくることを防いだわけです。

瓢池の背後には常磐ヶ岡の鬱蒼とした木々が

綱紀が兼六園の作庭に取り掛かったのは1676年と伝えられています。その頃の前田家は、最大の外様大名としてまだまだ幕府に睨まれる存在でしたので、表立って防御用の砦を築くと謀反の疑いを掛けられかねない情勢でした。そこで庭園を造ったのです。

そして、庭園に茶室を設けて客人をもてなし、風流に耽る藩主というイメージを醸成させることで、幕府からの疑いの目を逸らしたのでした。

340年前の情勢を思い浮かべながら、常磐ヶ岡を散策されるのもいいでしょう。

この分かれ道を直進すると瓢池へ、右に行くと黄門橋から噴水へ

兼六園への行き方

兼六園観光協会ホームページ



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「内橋亭」「夕顔亭」「兼六亭」に囲まれたエリアが常磐ヶ岡です

兼六園は日本有数の名園で楽しさもいっぱい