赤レンガミュージアム-本多の森を彩る重要文化財

金沢の美術館・記念館#4

明治時代から大正時代にかけての代表的な建築様式のひとつが赤レンガです。全国的には横浜の赤レンガ倉庫が有名ですが、金沢にも赤レンガ造りの重要文化財があります。

ひとつは香林坊のすぐ近くに位置し、旧制金沢第四高等学校の校舎だった石川四高記念文化交流館で、もう一つが、兼六園の先の本多の森に佇む「いしかわ赤レンガミュージアム」です。

1909年(明治42年)から1914年(大正3年)にかけて旧陸軍の兵器庫として建設され、戦後は金沢美術工芸大学のキャンパスとなりました。建物は3棟あり、2棟が石川県立歴史博物館、1棟が加賀本多博物館となっています。

旧さと新しさが融合した外観
石川県立歴史博物館の展覧会
・企画展「石川近代文学館おでかけ展示 くらべる文学展 in 歴博」(4/27~6/23)
・常設展示
加賀本多博物館の展覧会
・春季特別展「前田家の姫君-寿々姫のお輿入れ-」(3/8~6/11)
・常設展示



百万石だけではない石川県の歴史

県立歴史博物館は縄文時代から現代までの石川県の歴史を紹介するミュージアムです。

加賀国と能登国の誕生から、武士階級である富樫氏の支配。一向一揆によって富樫氏を駆逐し「百姓ノ持タル国」と言われた共和政治の時代を経て、前田利家公の金沢城入城から明治維新までの藩政期。

さらに日清戦争、『二○三高地』の日露戦争、太平洋戦争から現代に至る石川県の歴史を紹介しています。

重厚な雰囲気を漂わせる階段

大名行列のジオラマ

第1展示室では、江戸時代に参勤交代が義務付けられた全国の藩の中で、最も豪華な大名行列と言われた加賀藩の行列の様子がジオラマで紹介されている他、江戸から金沢までの宿場が記されています。

また、江戸時代の犀川大橋から片町に至る街並みもジオラマで再現されています。なお、展示室はモニターと一部の展示物以外は写真撮影が可能で、撮影禁止の展示物には「撮影禁止」の掲出があります。

多くの人が展示に見入る大名行列のジオラマ

加賀百万石以降の石川県

第2展示室では、明治から昭和初期に至るまでの石川県の歴史が紹介されています。全国的に知られる石川県の歴史は百万石の栄華を誇った加賀藩時代が圧倒的に多いのですが、石川県になってからの足跡も歴史好きの方に見ていただきたいものです。

明治時代の石川県の歴史で避けて通れない事象が、紀尾井町事件と二百三高地です。

紀尾井町事件とは、明治維新で中心的な役割を担った大久保利通が東京の紀尾井町で暗殺された事件です。今のホテルニューオータニのあたりが現場となりました。実は、大久保利通を暗殺したのは旧加賀藩士でした。

映画ファンの方なら日露戦争を描いた『二百三高地』をご存じかと思います。旅順港を見下ろす203高地で繰り広げられた大激戦で、金沢の第9師団も前線に投入されました。今も金沢では二百三高地を「にいれいさんこうち」と読むお年寄りがいます。

加賀藩から石川県になった後の歴史も紹介

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加賀本多博物館

加賀本多博物館は、加賀藩の筆頭藩士で5万石の禄高を誇った本多家の所蔵品を展示しているミュージアムです。全国の大名の “3分の2” が5万石以下の禄高であった中で、本多家の5万石という禄高は大名に仕える身としては破格の待遇でした。

ちなみに赤レンガミュージアムが位置する本多の森は、かつて本多家の上屋敷が置かれた場所です。

展示室では本多家に伝わる鎧、兜、刀、槍などの武具をはじめ、加賀象嵌を施した鐙や蒔絵の鞍などの馬具、金箔や蒔絵を施した重箱、前田家からお輿入りしたお姫様の嫁入り道具などが展示されています。

展示品の中でもひときわ目を引くのが、5万石から10万石への加増を断った代わりとして前田家から送られた「村雨の壺 (むらさめのつぼ)」です。別名・五万石の壺と称されています。

加賀本多博物館

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レトロな景観にある超モダンな休憩所

本多の森は高台に位置することもあって人通りの少ないエリアです。また、美術館や博物館などの文化施設が集まるエリアですので、近辺にはお食事処やカフェなどの飲食店が少ないのが現状です。

このこともあってか、赤レンガミュージアムの第1棟と第2棟を結ぶコンコースには、「ほっとサロン」と名付けられた休憩所が設けられています。

全面ガラス張りのお洒落な休憩所で、菓子パンと飲み物の自動販売機が設置され、赤レンガの建物を眺めながらゆっくりと休憩することができます。また、第2棟と第3棟の間には灰皿も用意されています。

無料の休憩スペースは利用者も少なく超穴場

運が良ければ石管の放水も

観覧料については、石川県立歴史博物館は一般が300円、大学生と65歳以上が240円で高校生以下は無料です。加賀本多博物館は一般が400円、大学生が300円で高校生以下は無料です。

2つのミュージアムに入館できる共通券も販売されており、一般が500円、大学生が400円です。

開館時間はいずれも午前9時から午後5時(入館は午後4時30分)で、年末年始と展示替えの期間は休館日となります。また、加賀本多博物館については、12月~2月の毎週木曜日も休館日です。

また、赤レンガミュージアムでは、辰巳用水に用いられた石管が噴水として再利用されています。毎日数回にわたって放水が行なわれており、絶好の撮影スポットです。

石管を再利用した噴水からは定期的に放水されます

利用案内

石川県立歴史博物館
いしかわけんりつれきしはくぶつかん
住所:金沢市出羽町3-1
TEL076-262-3236
料金
:一般 300円、大学生・65歳以上 240円、高校生以下 無料
時間:午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館:展示替えの期間、年末年始
撮影:撮影禁止の表示のある展示品以外は撮影OK。ただしモニターの映像は撮影禁止
石川県立歴史博物館ホームページ

加賀本多博物館
かがほんだはくぶつかん
住所:金沢市出羽町3-1
TEL076-261-0500
料金:一般 400円、大学生 300円、高校生以下 無料
時間:午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館:12月~2月の毎週木曜日、展示替えの期間、年末年始
撮影:撮影okの案内プレートのある展示品のみ撮影可能
加賀本多博物館ホームページ

2館共通鑑賞券
料金:一般 500円、大学生 400円、高校生以下 無料

最寄りのバス停
・金沢周遊バス、路線バス「広坂・21世紀美術館」徒歩7~8分
最寄りの観光名所
・兼六園(随身坂口)から徒歩4分
行き方の参考ページ
兼六園への行き方

Guide
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赤レンガミュージアムの周辺スポット

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主要な観光名所は8つ+金沢駅



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1

金沢で主要な観光名所は1日で回れます。なぜなら、人気スポットが東京ディズニーランドと同じくらいのエリアに集っているからです。とりあえず見た!という感じでよろしければ、1日あれば充分です。

2

金沢では、1周約4.3kmの百万石通りが観光エリアです。金沢城公園~兼六園~21世紀美術館は隣接し、ひがし茶屋街と主計町は隣町です。近江町市場や長町武家屋敷跡へもご近所へ行くような感覚です。

3

バス移動では北陸鉄道バスの「1日フリー乗車券」をお買い求めください。料金は800円です。路線バスの210円区間と金沢周遊バスを購入日に何度でも利用できます。ほとんどの観光名所がカバーできます。

4

金沢駅は観光名所が集まる中心部から少し離れています。1泊の場合は駅チカの方が安心できるかと思いますが、2泊以上の場合は香林坊、片町、武蔵ヶ辻などの繁華街に宿泊する方が圧倒的に便利です。

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金沢観光ガイド 南 武志

観光客の方が「ひがし茶屋街」の最寄りのバス停に並ばれているのを見て、兼六園も近江町市場も歩いて10分なのに…と思ったことが、このサイトをはじめたキッカケでした。 金沢の街は歩いて回れます。自分だけの観光プランで城下町・金沢を満喫してください。

2016年5月16日