安江金箔工芸館-箔打ち機から美術品まで金箔一色

金沢の美術館・記念館#11

金沢市立安江金箔工芸館は「ひがし茶屋街」のすぐ近くに位置し、浅野川大橋から大通り沿いを2~3分ほど行ったところにあります。周辺では一番大きな建物ですので気付かずに通り過ぎてしまうことはないと思います。

建物の外観は町家の蔵をイメージしてデザインされています。濃いグレーの外壁にゴールドの縦ラインが入り、工芸館の名前に金箔が施されているなど、落ち着いた雰囲気の中にさりげなく金箔の華やかさをアピールする外観です。

1階の受付を過ぎると、2階の展示室から3階の研修室へと階段が一直線に続きとても開放的です。天井を見上げると金箔が貼られたドームがあり、館内の照明が金箔に反射し厳かな雰囲気を演出しています。

ロビーの吹き抜けには大きな金箔ドーム



金箔の製造工程を紹介する常設展

安江金箔工芸館は、金箔職人の安江孝明氏が「金箔職人の誇りと証」を後世に伝えるべく開設した工芸館で、1985年に安江氏が所有する美術工芸品、製箔道具、箔打ち機などが金沢市に寄贈され、金沢市立安江金箔工芸館となりました。

2階の展示室は常設展示室と企画展示室があります。常設展示室に入ると金沢の金箔の歴史を紹介するパネルがあり、金箔の製造工程の説明へと移ります。そして、金の延金を1万分の1ミリまで延ばしていく箔打ち機が展示されています。

金箔に関するクイズにチャレンジするのも良いでしょう。色々な種類の金箔の中から「東大寺の鴟鴟 (しび) に貼られている金箔はどれ?」といった問題が用意され、親子で楽しむ姿が見られます。

また、金箔の製造工程を映像で紹介するコーナーも設けられています。興味深いのは、日本人よりも欧米からの観光客の方が真剣に映像に見入っていることです。金箔は日本が世界に誇る工芸品なのかもしれませんね。

箔打ち機
クイズコーナー

企画展では金箔工芸品を展示

常設展示室の先にある企画展示室では、金箔を使用した美術工芸作品が展示されています。

テレビでよく目にする金屏風をはじめ、重箱や硯箱などの漆の上に金で絵模様を描く加賀蒔絵(まきえ)、銅や鉄などの金属に金を施す加賀象嵌(ぞうがん)など、金沢の工芸技術に金箔が加わった作品を見ることができます。

さらに金箔を用いた能装束、陶器、ガラス、仏壇などが展示されています。ゴールドは装飾品ということもあって来館者の大多数が女性やカップルです。

美術作品が並ぶ企画展示室

お客様は1日1組です
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全国の金箔生産量の99%を担う金沢

金沢は古くから金箔の生産が盛んでした。

歴史を紐解くと、加賀藩の初代藩主である前田利家が、現在の佐賀県にあたる肥前名護屋の陣中から、金沢に向け金箔と銀箔を打ち立てるように命じたことがはじまりとされています。

その後は、江戸時代から明治、大正、昭和初期にかけて、幕府の政策や国内の経済状況によって何度か壊滅的な打撃を受けながらも、今日まで伝統的な技術を受け継いできました。

今では金箔の国内生産の99.9%を金沢が担っています。

心が和む美大生のアート作品

安江金箔工芸館には、金沢美術工芸大学の学生による金箔アート作品が見られます。中でも美大生のセンスを感じるのが、階段から1階の多目的展示室へと続く猫の足跡です。

1階ロビーから2階の展示室へと上っていく階段の手すりに子供用の雨傘が掛けられています。一見すると忘れ物かなと思うのですが、よく見ると雨滴が金箔になっており、雨滴を踏んだ猫の足跡が階下へとつながっています。

猫の足跡は1階の多目的展示ホールへと続き、足跡をたどっていくと手洗い所のグラスを倒していました。

傘から落ちる雨滴が猫の足跡となって階下へ
猫がコップを倒していました

金沢は都市型テーマパーク!

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ひがし茶屋街の観光と合わせて

浅野川大橋と安江金箔工芸館との間に位置するのが「ひがし茶屋街」です。ひがし茶屋街で金箔のアクセサリーを買いたいなと思われている方は、安江金箔工芸館にも足を運ばれるといいでしょう。

ひがし茶屋街には金箔工芸品店がいくつもありますが、安江金箔工芸館で金箔の製造工程や箔打ち機をご覧になった後でお店に入ると、さらに品定めが楽しくなるかもしれませんね。

安江金箔工芸館からひがし茶屋街のメインストリートへは徒歩3分ほどの距離ですので、最初にひがし茶屋街を一回りしてから金箔工芸館を見学して、その後に茶屋街に戻って金箔のお店に入るのもいいかもしれません。

ひがし茶屋街から徒歩3分です

火曜日が休館日です

金沢市立安江金箔工芸館の入館料は、一般が310円、65歳以上が210円で高校生以下は無料です。開館時間は午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分)までで、火曜日 (祝日の場合は翌平日)、年末年始、展示替えの期間は休館となります。

展示室での写真撮影はokですが、金箔工芸品の中には「撮影禁止」となっている作品もありますのでご注意ください。

1階の多目的展示ホールの装飾も美大生が

利用案内

金沢市立安江金箔工芸館
やすえきんぱくこうげいかん
住所:金沢市東山1-3-10
TEL076-251-8950
料金:一般 310円、65歳以上 210円、高校生以下 無料
時間:午前9時30分から午後5時(入館は4時30分まで)
休館:火曜日 (祝日の場合は翌平日)、展示替え期間、年末年始
撮影:展示室の撮影ok。ただし、一部の工芸品には「撮影禁止」表示あり
金沢市立安江金箔工芸館ホームページ

最寄りのバス停
・金沢周遊バス、路線バス「橋場町」徒歩2~5分
最寄りの観光名所
・ひがし茶屋街から徒歩3分
行き方の参考ページ
ひがし茶屋街への行き方

安江金箔工芸館の周辺スポット

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1

金沢で主要な観光名所は1日で回れます。なぜなら、人気スポットが東京ディズニーランドと同じくらいのエリアに集っているからです。とりあえず見た!という感じでよろしければ、1日あれば充分です。

2

金沢では、1周約4.3kmの百万石通りが観光エリアです。金沢城公園~兼六園~21世紀美術館は隣接し、ひがし茶屋街と主計町は隣町です。近江町市場や長町武家屋敷跡へもご近所へ行くような感覚です。

3

バス移動では北陸鉄道バスの「1日フリー乗車券」をお買い求めください。料金は800円です。路線バスの210円区間と金沢周遊バスを購入日に何度でも利用できます。ほとんどの観光名所がカバーできます。

4

金沢駅は観光名所が集まる中心部から少し離れています。1泊の場合は駅チカの方が安心できるかと思いますが、2泊以上の場合は香林坊、片町、武蔵ヶ辻などの繁華街に宿泊する方が圧倒的に便利です。

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金沢観光ガイド 南 武志

観光客の方が「ひがし茶屋街」の最寄りのバス停に並ばれているのを見て、兼六園も近江町市場も歩いて10分なのに…と思ったことが、このサイトをはじめたキッカケでした。 金沢の街は歩いて回れます。自分だけの観光プランで城下町・金沢を満喫してください。

2016年5月17日