W坂-犀川と寺町寺院群を結ぶ石段は「文学の坂」

金沢のお散歩コース#15

金沢の中心部の観光エリアには坂道が多く見られます。これは金沢城が防衛上の観点から小立野台地の先端に築城されたためで、金沢では坂道が街並みにアクセントを加えています。

市内にある坂道の中でも若い人たちに人気の坂道が、犀川大橋のひとつ上流の桜橋にあるW坂です。犀川べりと寺町台地の境界にある断崖に作られた階段坂で、名前のとおりWの字を書くようにジグザグに上って行きます。

ジグザグと上って行きます



旧制四高の生徒が名付けたW坂

この坂道は藩政期から存在する坂道で、坂上に石工職人が多く暮らしていたことから石伐坂(いしきりざか)と呼ばれていました。

今もこの坂道の正式名称は石伐坂ですが、戦前の旧制金沢四高の生徒たちが、ジグザグと上がって行く坂道を「W」の字に例えてW坂と呼ぶようになったことで、現在ではW坂の呼び名で地元の人たちの間に定着しています。

元々は桜橋の近隣住民の近道として作られた石段坂は、今では若いカップルにとっての絶好のお散歩コースとなっています。

坂下に設置されている石碑

上りでも意外と疲れません

W坂を下から見上げると「こんなに急な階段を上って行くのか」と怯んでしまいますが、階段の傾斜は意外と緩やかで、和装用に1段あたりの段差が小さいこともあって、実際に上ってみるとそれほど疲れません。

また、Wの形状から踊り場でホッと一息つけることも、それほど疲れない理由かもしれません。

以前にW坂を下りていく時に、80歳は過ぎているだろうと思える女性とすれ違ったのですが、そのおばあさんもそれほど息を切らすことなく坂道を上って行きました。

上から見下ろすとまさに断崖です

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踊り場に井上靖氏『北の海』の文学碑

W坂の踊り場にはモニュメントが置かれています。

ジグザグの坂道を上って行くと最初に目にするのが「手づくり郷土賞」を受賞した時の記念碑です。そして、記念碑からさらに上って行くと、次の踊り場には井上靖氏の小説『北の海』の文学碑が設置されています。

井上靖氏『北の海』の文学碑

井上靖氏は旧制金沢四高の卒業生で、四高生がこの坂道を「W坂」と呼んでいた時代に在籍していました。文学碑には原作の一節が記されています。

井上氏はW坂を「腹がへると、何とも言えずきゅうと胃にこたえて来る坂ですよ」と紹介し、「この辺で足が上がらなくなる」と続きます。文学碑の場所は、まさに小説の中で足が上がらなくなると述べたポイントです。

文学碑を過ぎると坂上まで一直線です。そして、階段を上って行くごとに、犀川と川向うに広がる金沢の中心街が見えてきます。

階段には和装の方向けに小さな段差が

W坂の周辺スポット

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W坂の周囲も絶好のお散歩コース

W坂を上って寺町通りに出ると寺町寺院群の街並みが広がっています。文字通りお寺が多いことから名付けられた町で、2012年に国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されました。

金沢に所縁のある作家の五木寛之さんは、自身の著書で寺町を金沢の “山の手” と記しています。寺町は金沢の中心部に近い住宅街で、高台に位置することもあって洗練された雰囲気が漂っています。

晴れた日には、あてもなくゆっくりとお寺が並ぶ街並みを歩かれるのもお奨めです。W坂から寺町通りに出て右手に下って行くと金沢建築館があり、忍者寺(妙立寺)、にし茶屋街へと通じています。

また、左手に上って行くと10分足らずで辻家庭園です。

W坂は緑に覆われた雰囲気のある坂道です。坂道に隣接して新桜坂緑地が整備されており、坂下に設置されている「水辺の詩」と題された3人の女性の裸体像は、背景の緑に映えてとても綺麗です。

新桜坂緑地の『水辺の詩』

展望台から金沢市街を一望

坂上には展望台が設けられ、桜橋とともに金沢の市街地が一望できます。

観光客の方がW坂へ行かれる際のルートは3つです。まず、にし茶屋街から坂道を上って行き、本多通りのひとつ先の路地を左手に入るとW坂の坂上に出ます。

金沢21世紀美術館からは、本多通りを兼六園と反対方向に10分少々も行くと桜橋で、桜橋を渡った先がW坂です。また、犀川大橋から「犀星のみち」に入って桜橋へと至るルートもお奨めです。

展望台から眺める桜橋

W坂の周辺スポット

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素顔の金沢がある市民エリア

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文学にゆかりの散歩みち

ちょっと歩いてみたくなるストリート

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主要な観光名所は8つ+金沢駅



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金沢がイメージできるページです

1

金沢で主要な観光名所は1日で回れます。なぜなら、人気スポットが東京ディズニーランドと同じくらいのエリアに集っているからです。とりあえず見た!という感じでよろしければ、1日あれば充分です。

2

金沢では、1周約4.3kmの百万石通りが観光エリアです。金沢城公園~兼六園~21世紀美術館は隣接し、ひがし茶屋街と主計町は隣町です。近江町市場や長町武家屋敷跡へもご近所へ行くような感覚です。

3

バス移動では北陸鉄道バスの「1日フリー乗車券」をお買い求めください。料金は800円です。路線バスの210円区間と金沢周遊バスを購入日に何度でも利用できます。ほとんどの観光名所がカバーできます。

4

金沢駅は観光名所が集まる中心部から少し離れています。1泊の場合は駅チカの方が安心できるかと思いますが、2泊以上の場合は香林坊、片町、武蔵ヶ辻などの繁華街に宿泊する方が圧倒的に便利です。

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金沢観光ガイド 南 武志

観光客の方が「ひがし茶屋街」の最寄りのバス停に並ばれているのを見て、兼六園も近江町市場も歩いて10分なのに…と思ったことが、このサイトをはじめたキッカケでした。 金沢の街は歩いて回れます。自分だけの観光プランで城下町・金沢を満喫してください。

2017年3月6日