主計町茶屋街のあかり坂に照明を整備

作家の五木寛之氏が命名した石段坂

1月3日付の北國新聞に、国の重要伝統的建造物群保存地区の指定を受けている主計町茶屋街の「あかり坂」に、照明が整備されたという記事が掲載されていました。

金沢市が照明設備を設置したもので、月明かりを連想させる柔らかな光が点灯を始め、茶屋街に至る風情ある石段の坂道をほのかに照らしています。

照明の設置は金沢市が2013年度に策定した「金沢らしい夜間景観整備計画」に沿って進められました。

整備構想は世界的な照明デザイナーの石井幹子氏が手掛け、あかり坂を「坂」「時」「光」の3つの視点でとらえ、照明の在り方を考えたものです。

石井氏は、あかり坂について「明日へと開ける上り坂」「現在そして未来→心地よい明るさ」「降り注ぐような温もりのある月明かり」とのイメージコンセプトをまとめ、これをもとに金沢市が具体的な整備方針を決めました。

設置された証明は、坂の上にガス灯型が、坂の中段に行燈型(あんどん)がそれぞれ1基ずつ設置されています。

ガス灯型は周辺路地にある既存の灯具と同じ形状で統一し、行燈型は石段の路面を美しく彩るスポットライトのような光を創出する狙いで配置されました。いずれもLED電球を使用し、温かな明かりで整えています。

記事によると、金沢市は歴史的な街並みの夜間景観に磨きをかけ、市民や観光客に散策を楽しんでもらいたい考えだとのことです。

また、金沢市歴史都市推進課の担当者は「照明によって、あかり坂の魅力がさらに高まればいい。将来的には同じ主計町にある暗がり坂にも照明を整備できないか検討したい」とコメントしています。

小説のエンディングとは少し趣が違うかも

あかり坂は、茶屋街の主計町と住宅街の下新町を結ぶ石段坂です。主計町から下新町へは「暗がり坂」と「あかり坂」という2つの石段坂がありますが、あかり坂はつい最近まで名無し坂でした。

この石段坂が「あかり坂」と命名されたのは2008年のことで、主計町ゆかりの五木寛之さんが地元から依頼を受け、小説『金沢あかり坂』の中でこの石段を「あかり坂」と名付けました。

坂の下には五木寛之氏のコメントが入った石碑が設置されています。

あかり坂に照明をつけるのは微妙ですね。あかり坂は昼間でも薄暗い坂道ですので、観光客の方の安全という視点から見ると照明をつけた方がいいのは間違いありません。

しかしながら、五木寛之さんのファンの方が小説のエンディングの場面を体感したいと思われる場合は、明かりがあると小説の情景が再現されません。

小説のエンディングでは、主計町の一葉に在籍する芸妓・凛が、石段の上の方に月明かりがほのかに差し込む暗い坂道を上って行くシーンで終わっていますが、その情景は原作者である五木寛之さんが見た情景です。

記事によると、月明かりをイメージして設置されたとのことですので、小説の情景を失わせることのないよう配慮されていることは伺えますが、少し残念でもあります。

ただし、『金沢あかり坂』を読んでいない人から見れば、柔らかな明かりがついたことで、より一層の風情を感じてもらえることでしょう。

あかり坂は閑静な住宅街と茶屋街を結びます

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