中村記念美術館のトイレを着物用に改修

着物女性に嬉しい個室の壁に姿見を設置

3月2日の北國新聞に、和服姿の来館者が多い金沢市立中村記念美術館のトイレが改修され、着物の女性でも快適に利用できる空間へと生まれ変わったという記事が掲載されていました。

トイレの改修は、金沢市が文化施設や駐車場などで進める「快適なトイレ空間創造事業」の一環となります。

金沢市の女性職員でつくる「これからのトイレSOZOチーム」が話し合いを重ね、住宅設備機器メーカーのTOTOやLIXILから意匠や機能面で助言を受けました。

1989年に設置された美術館1階のトイレは、利用者から個室が狭く、着物では不便との声が多く寄せられていました。また、温水洗浄便座はなく匂いも問題となっていました。

完成したトイレは通路へスペースを広げ、ゆったりとした空間となりました。

シンプルな内装の中村記念美術館

特徴的なのは、女性用の個室スペースです。3つの個室すべてに姿見を備え、着物の着崩れが直せるようにしました。また、化粧スペースも用意しました。

男性用トイレの床には防臭効果がある「汚垂石」を敷き、多目的トイレを含め、すべての洋式トイレを温水洗浄機能付きとしました。

茶道の名品が揃う美術館にふさわしく、内装は男女とも和のデザインとし、壁には「加賀五彩」の色合いを取り入れ、天井に飾り木を施しました。改修費は約1,900万円になったとのことです。

3月1日には、金沢市の職員やメーカーの担当者ら13人が仕上がりを見て回り、意見交換しました、

金沢市の千田朋子広報企画課長は「美術館にあった明るく上品な雰囲気に仕上がった。気兼ねなく利用してほしい」とコメントしたそうです。

旧中村邸

金沢市の女性課長のコメントには市民性が

金沢市立中村記念美術館は、地元で高名な美術収集家であった故中村栄俊氏のコレクションを公開している美術館で、茶器などの陶芸を中心に書画や絵画の作品が展示されています。

金沢21世紀美術館石川県立美術館鈴木大拙館のトライアングルのちょうど中間に位置していますので、観光で立ち寄られるのもいいでしょう。

さて、中村記念美術館のトイレの話題については、私はとても興味深く読みました。

首都圏をはじめ、大阪、名古屋などのいわゆる大都市圏にお住まいの方から見ると、なぜ美術館のトイレに温水洗浄便座が付いたことがニュースになるの?という感じかもしれませんね。

中村記念美術館のトイレは1989年に設置されたとのことですが、この頃の東京の営業マンは洋式便器を求めて彷徨っていました。

1989年と言えばバブルの最盛期で、当時はトレンディ誌で「どこのデパートのトイレが一番きれいか」という特集をよく目にしたものです。

その後、2000年前後になると、営業マンはウォシュレットを求めて彷徨うようになり、私が東京を離れた2010年ごろには、街中のトイレには温水洗浄便座が普及していました。

ウォシュレットぐらいもっと早く付ければいいのにと思ってしまいますが、快適なトイレになったわけですから、それはそれでいいでしょう。

北國新聞の記事で私の興味を引いたのは、女性の広報企画課長の「気兼ねなく利用してほしい」というコメントでした。

そうなんです。金沢の人たち、特に年配の女性は、他人の家でトイレを借りることに気兼ねをするのです。中には、便意をもよおしているのに家まで必死に我慢する人もいるくらいです。

中村記念美術館においても、高齢の女性来館者の中には、申し訳なさそうにトイレに入っていく人が見られたのかもしれませんね。

これも金沢の市民性のひとつです。

中村記念美術館が位置する本多公園

関連記事

中村記念美術館-茶道具や古九谷のコレクション


KANAZAWA NEWS カテゴリー
美術館・記念館ニュース