ひがし茶屋街に牛首紬の展示場がお目見え

築120年以上のカフェギャラリーで

7月30日の北國新聞に、石川県の伝統産業のひとつで、加賀友禅とともに和服の生地として知られる「牛首紬」の発信拠点が、ひがし茶屋街にオープンしたという記事が掲載されていました。

展示場となったのは、築120年以上の町家を改装したカフェギャラリー「三味(しゃみ)」で、ひがし茶屋街のメインストリートから浅野川寄りに2本入った通りに位置しています。地図を頼りに現地へ行かれる方は「ひがし茶屋休憩館」の並びになります。

この展示は金沢美大生と牛首紬を生産する西山産業(白山市)が企画したものです。

牛首紬は、白山麓に平安時代から伝わる石川県指定の無形文化財で、2匹の蚕が共同で一つの繭を作る「玉繭」から「玉糸」を紡いで織り上げます。独特の光沢がある縞模様とところどころにデコボコとした節があるのが特徴の伝統工芸品となっています。

井上雪氏の著書『廓のおんな』では、主人公の芸妓さんの年季が明けた時に、白山麓の鶴来町出身の女将から牛首紬の反物を贈られたとあります。

最高の格式を誇り金沢の名士が宴を催した“東の廓”で、女将から芸妓さんへの贈答品に牛首紬が選ばれたということは、牛首紬はどこに出しても恥ずかしくない織物であるということになるでしょう。

天井から吊り下げ風に揺れる涼やかなデザイン

牛首紬の展示場をデザインしたのは、金沢美大3年(環境デザイン専攻)の東郷りんさん(21)です。2階の和室を「うしくびつむぐ」と銘打ち、趣きのある町家の風情を活かしてデザインしたとのことです。

東郷さんは、牛首紬を長さ70~160cmに裁断し、直径7.5cmの筒に巻き付けたものを38本作り、天井から吊り下げました。あえて固定しないことで、外からの空気の流れで揺れ動く作りとし、自然や街並みとの調和を表現しました。

紙面には室内の写真が掲載されていましたが、仙台からお越しの方でしたら、天井から何本も下がっている紬の筒を見て、七夕の飾りのように感じるかもしれません。

今回は夏を意識して、淡い色合いの涼しげな牛首紬を中心に選んで配置したとのことで、今後は季節に応じて展示内容を変えていくそうです。

西山産業の中村隆一常務は「金沢ではじめての牛首紬の発信拠点となる。立地を生かして幅広い世代に魅力を知ってもらいたい」と期待を込め、東郷さんは「牛首紬の作り手と受け手が互いに歩み寄れるような場所になればうれしい」とコメントしていました。

ひがし茶屋休憩館と同じ通りに位置しています

町家を改装したカフェギャラリー「三味」

今回の展示場となっているカフェギャラリー「三味」は、茶屋街から住宅街へと景観が変わりつつあるロケーションに位置しており、ひがし茶屋街のメインストリートから徳田秋聲記念館への通り道になります。徳田秋聲記念館へ行かれる方は合わせて訪れるのもいいでしょう。

前述のとおり「ひがし茶屋休憩館」と同じ通りになりますので、浅野川大橋から茶屋街を訪れる方でしたら「ひがし茶屋休憩館」を目指していくと分かりやすいかと思います。

「三味」はカフェとともに工芸品を販売しているお店です。私は1階しか入ったことはありませんが、玄関を入ると土間があり、壁側に伝統工芸の小物類が展示販売されています。そして、土間から上がったお座敷がカフェスペースで、和風のテーブルが置かれています。

通りの角にあることから入口が2カ所あります

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