金沢版「ストリートピアノ」のその後

金沢駅ではイタリア人男性がしっとりと演奏

11月10日付の毎日新聞石川版に、このサイトでも何度かご紹介した「ストリートピアノ」の記事が掲載されていました。

ストリートピアノは、その名のとおり “ストリート” に置かれたピアノのことで、道行く人々が自由に演奏することができます。人々が街角でピアノを奏でる姿は、ヨーロッパではよく見かける光景だそうです。

金沢版ストリートピアノは「思い出ピアノ」と名付けられ、金沢駅の「もてなしドーム地下広場」と、金沢を代表する若者スポット「片町きらら広場」に置かれています。

いずれのピアノも、つい最近まで金沢市内の小学校で使用されていたピアノで、金沢駅のピアノは東浅川小学校で27年間、片町きららのピアノは菊川町小学校で36年間使用されていました。

ピアノには金沢美術工芸大学の学生が装飾を施しました。

記事によると、金沢駅のピアノは伝統工芸の「加賀水引」を、片町きららのピアノは「思い出に花を咲かせる」イメージで花をデザインしたそうです。

「思い出ピアノ」は2018年3月までの試験的な設置で、調査結果をもとに継続を検討する方針で、金沢市・文化政策課の「SNSで知り、ピアノ目当てに旅行に来た人もいると聞いた。いろいろな人に触れてほしい」とのコメントが掲載されていました。

片町きらら広場のストリートピアノ

少ないながらもピアノを弾く人がいます

毎日新聞の記事では、金沢駅に設置されたピアノの活用状況に関するルポが掲載されていました。

総勢でどのくらいの人がピアノに向かったのかはわかりませんが、記事では4人の演奏者が紹介されていました。

正午過ぎにピアノの椅子に座ったのは、金沢市在住の49歳の主婦の方でした。中国出身の日本在住11年の方で、幼い頃に1年間習ったピアノを再開したのだとのことで、「家のピアノよりはるかに音がきれいだ」と語っていたそうです。

午後2時過ぎに訪れたのは、東京から金沢に帰省している女性で、2歳の娘さんを片手で抱きながら、童謡の「キラキラ星」「チューリップのうた」を弾いたそうです。

次に紹介されていた方は東京在住のイタリア人男性で、午後5時半ごろのことでした。大きなリュックとキャリーケースをピアノの脇に置き、ドビュッシーの「月の光」を演奏しました。

取材によると、イタリアでも空港や病院にストリートピアノが置いてあるとのことで、「とても美しい音色だ」と上機嫌で帰路についたとのことです。

人通りの絶えた「もてなしドーム地下広場」に午後10時過ぎに訪れたのが、地元の中年女性でした。

高校受験のためピアノをやめた中学3年生の時から、弾きたいという思いを誰にも伝えられなかったショパンの「バラード第1番」を、人通りの絶えた広場にいつまでも響かせていたそうです。

ここから地下に降りて右手にピアノが設置されています

外国人旅行者がムーブメントを創るのかも

ストリートピアノについては、私も個人的にとても注目しています。

毎日新聞の記事によると、金沢市の担当部署では、来年3月までの試験的な設置で継続の有無を検討するとのことですが、たとえ当初の期待よりもピアノを弾く人が少なくても、ピアノを撤去してはいけないと思います。

ちょっと話しは逸れますが、近頃では、地元の女の子たちが和服を着て街を歩くようになりました。

これは観光で訪れる同世代の女性が着物をレンタルして街を歩く姿に触発されてのことです。ピアノについても、観光客にリードされながら、金沢の人たちも、人前で恥ずかしがらずにピアノを弾く人が増えていくのではないかと感じます。

私は残念ながらピアノを弾くことはできないのですが、いつの日か、どなたかのピアノの音色にあわせて唱ってみたいものです。

さて、毎日新聞の記事で紹介されていたイタリア人男性については、たまたま私も彼が演奏するピアノを耳にしました。

最初は、私ともう一人の女性の2人だけの聴衆だったのですが、ピアノの音色に誘われて1人、また1人と道行く人たちが集まり始め、カップルで耳を傾ける人も現れて、最終的には10人ほどの聴衆が集まりました。

イタリア人男性の演奏が終わると拍手が沸き起こり、イタリア人男性も立上って感激の面持ちで感謝の気持ちを伝えていました。

見知らぬ者同志がピアノを通じて出逢い、そしてまた、それぞれの日常生活に戻っていく。いつもと同じ夕暮れ時に、心が温まるひと時がありました。

もしかすると、金沢版ストリートピアノのムーブメントを創ってくれるのは、海外からの旅行者なのかもしれませんね。

ピアノを奏でるイタリア人男性

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