暗がり坂
主計町茶屋街の見どころ vol.2
今では金沢の観光名所となった「ひがし」「にし」「主計町(かずえまち)」の3つの茶屋街は、かつては地元の旦那衆がご贔屓の芸妓さんに会いに出掛けた花街でした。
各茶屋街には表通りから入って行く道がある一方で、他人に見られないようにお茶屋へ辿り着くための裏道があります。主計町では「暗がり坂」と呼ばれる石段の坂道が、人知れず芸妓さんに会いに行く時の裏道にあたります。
隣町の下新町から久保市乙剣宮という神社の境内を抜けると、人がやっとすれ違える程度の狭い石段坂に出ます。その石段が「暗がり坂」です。
主計町と下新町の境界は急勾配の断崖となっており、石段は途中から右にカーブしています。このことから坂上からは下の様子が見えません。また、昼間でも陽光が遮られる時間帯が多く、まさに暗がり坂と呼ぶに相応しい雰囲気です。

非日常の世界への誘導路
石段を下り始めると少しずつ茶屋街の建物が見えてきます。
坂下には石段よりも多少は幅の広い路地があり、すぐに茶屋街の建物にぶつかってT字路になっています。そして、突き当りのT字路から右へ左へとお目当てのお茶屋に向かうわけです。
主計町では、今では芸妓さんが所属しているお茶屋は4軒だけとなりましたが、大正から昭和にかけての全盛期には、ご贔屓の芸妓さんに近づいていることを感じながら坂を下った旦那衆も多かったことでしょう。

暗がり坂の上にある下新町は人々が普通に日常生活を送る住宅街です。この石段坂は現実の世界から夢の世界へと下って行く秘密の通路でした。
はじめて「暗がり坂」を訪れる方は、上るよりも下る方が風情を感じることができるかと思います。もし坂道を上って行くことになりましたら、ところどころで振り返ってみるのもお奨めです。

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坂下の主計町事務所は芸妓さんの稽古場
暗がり坂を下り切ると、路地の両サイドには細い格子状の装飾が施された茶屋建築の建物があります。この格子状の装飾は「木虫籠(きむすこ)」と呼ばれる建築様式です。その名のとおり “虫かご” のように見えます。
木虫籠は外から中は見えにくいのですが、建物の内部からは外の様子が見えるようになっています。
坂下の路地にあるのが主計町事務所です。ここは茶屋街における折衝事を行なう場所であるとともに、芸妓さんの稽古場となっています。お昼頃の時間帯には2階の稽古場から和楽器の音色が聞こえてくることもあります。

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暗がり坂は泉鏡花記念館への近道
主計町の隣町の下新町は金沢の三文豪の一人である泉鏡花が生まれた街です。暗がり坂を上り、久保市乙剣宮の境内を通り抜けて、新町・鏡花通りを左手に行くと泉鏡花記念館があります。
泉鏡花記念館は鏡花の生家跡に整備された建物で、久保市乙剣宮は鏡花にとって子供の頃の遊び場でした。そして、毎朝、神社の境内から暗がり坂を下って、表通りの「中の橋」を渡って小学校に通っていたそうです。

暗がり坂は鏡花が描いたロマンと幻想の世界を彷彿とさせてくれます。
坂下にある主計町事務所の前には大きな桜の木があります。この桜の木は鏡花の原作の『照葉狂言』にちなんで「照葉さくら」と名付けられており、桜の木の下には記念碑が置かれています。
また、暗がり坂はカップルで訪れる方には絶好の撮影スポットです。石段を上っていく彼女の後姿や、立ち止まって振り返った時の彼女の表情などを、ファッション誌のカメラマンになった気分で撮影されるのもお勧めです。

アートギャラリー・かーふコレクション
暗がり坂の坂下には、女性を中心に静かな人気を呼んでいるギャラリーがあります。「金澤・主計町茶屋街 アートギャラリー KARHU COLLECTION(かーふコレクション)」です。
「かーふコレクション」は、版画家の故クリフトン・カーフ氏のアトリエ兼住居を改装したギャラリーです。カーフ氏は海外の美術館や著名人に作品が所蔵されている版画家で、人生の最後の12年間を主計町で過ごしました。

暗がり坂を通りかかる方は、皆さん一様に「ここは何のお店?」という感じでギャラリーの前で立ち止まります。
そして、玄関の前に置かれているギャラリーの説明文を読み、ポスターに記されている「お気軽にお入りください(入館無料)」という案内を確認して、格子戸を開けて中へと入っていきます。

ギャラリーではカーフ氏が残した版画や墨絵が展示販売されており、オーナーさんが、カーフ氏のことをご存じない方に対しても、カーフ作品の特徴や故人の人となりなどを懇切丁寧に説明してくれます。
クリフトン・カーフ氏の版画は日本家屋や町家文化を描いたことが特徴です。赤や黄などの明るい色を効果的に配した可愛い雰囲気の作風が、多くの女性から好まれています。
版画の収集がご趣味という方でしたら、「かーふコレクション」の料金は低めに設定されているとお感じになることでしょう。

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