金沢の観光名所#5
主計町茶屋街は、金沢観光のツートップのひとつ・ひがし茶屋街とは浅野川大橋を挟んで対角線上に位置しています。主計町と書いて「かずえまち」と読みます。
明治時代に入って、ひがし茶屋街の前身の「東の廓」が満杯になったことで、新たな旦那衆の遊びの場として形成されました。ひがし茶屋街、にし茶屋街とともに金沢の三茶屋街のひとつに数えられています。
華やかなショッピングストリートに変貌したひがし茶屋街とは違い、主計町を歩いていると、長きにわたって受け継がれてきた “旦那衆の洒落た遊びの街” の雰囲気を感じます。
曲がりながら流れる姿から “女川” と称される浅野川の流れと、主計町の茶屋建築の特徴である3階建ての建物の間には幅の狭い道が続き、レトロな街灯や桜並木、ゆかりの作家の文学碑が街並みのアクセサリーとなっています。
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昼間の主計町は静かに佇んでいます
太陽が出ている時間帯の主計町は、お食事処と和風カフェを合わせて4~5軒ほどが営業しているだけで、お茶屋をはじめ、有名な鍋料理のお店や小料理店、バーなどは静かに眠っています。そして、夕暮れとともに目覚めます。
昼間は営業しているお店が少ない主計町ですが、北陸新幹線の開業以降、海外からの観光客を中心に人通りが増えてきました。昼間の主計町は金沢でも有数の撮影スポットです。
表通りは金沢有数の桜スポット
浅野川沿いの表通りは金沢でも有数の桜スポットです。お花見の季節になると川沿いに雪洞 (ぼんぼり) が並びます。ぼんぼりに記されているお茶屋や芸妓さんの名前をひとつずつチェックしながら歩くのも、茶屋街ならではの風情です。
ドラマのロケ地として人気です
主計町茶屋街のお楽しみのひとつがドラマや映画のロケ地を訪ねること。中でも、浅野川大橋のひとつ下流にある「中の橋」はテレビドラマに何度も登場しています。
中の橋は、北陸新幹線の開業以降では『ドクターXスペシャル』『私たちはどうかしている』『18/40』といった人気ドラマのワンシーンに出てきます。ファンの方なら押さえておきたい撮影スポットです。
なぜ主計町だけ方角がないの?
ひがし茶屋街、にし茶屋街ときて、なぜ主計町だけ方角が付いていないのかと疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
藩政期に公許された「ひがし」と「にし」は、周囲を塀で囲まれた “廓(くるわ)” として発足しました。そして、金沢城からの方角によって「東の廓」と「西の廓」に区分けされました。
主計町が花街となったのは明治に入ってからで、その頃には花街の周囲を塀で囲む制度が廃止されていたことから、町名で呼ばれるようになりました。
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きもの姿の女性は最高のインスタ映え
この街のお楽しみは和の風情を背景とした写真撮影です。
中でも、カップルで金沢を訪れ、きもの姿の彼女をモデルに写真を撮られる方にとって、主計町茶屋街から泉鏡花記念館へと通じる「暗がり坂」は絶好の撮影スポットです。暗がり坂を下る “きもの女性” はカメラマンにとって最高の被写体です。
坂下には主計町事務所と記された建物があります。この建物は芸妓さんたちのお稽古場です。タイミングの良い時には、建物の2階から鼓や三味線の音色が聞こえてきます。
暗がり坂は鏡花の通学路
暗がり坂は、上るよりも下りていく方が風情を感じます。お座敷遊びが男性の夜遊びの最先端だった頃、誰にも見られることなく主計町へと通う旦那衆は、この暗がり坂を下ってお茶屋へと入っていきました。
私は、県外からお越しの方の観光ガイドをすることがありますが、皆さん異口同音に「素敵ですね」とおっしゃりながら暗がり坂を下っていかれます。ちなみに、この石段坂は泉鏡花の通学路でした。
主計町茶屋街の見どころ#2
暗がり坂は主計町から泉鏡花記念館への石段坂
もうひとつの坂道は「あかり坂」
主計町には、もうひとつ「あかり坂」と名付けられた石段坂があります。細い路地の先にある坂道で、観光で訪れる方の中には坂道があることに気付かずに通り過ぎていく人もいます。
この坂道は21世紀に入るまで名前のない名無し坂でしたが、地元から依頼を受けた五木寛之氏によって2008年に「あかり坂」と命名されました。前述の暗がり坂は下る方が風情があるのですが、一方のあかり坂は上っていく方が風情を感じます。
主計町茶屋街の見どころ#3
あかり坂は五木寛之氏が命名した石段の坂
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泉鏡花に五木寛之。ここは有名作家ゆかりの地
明治後期から昭和初期にかけての文豪で『義血侠血』『高野聖』『婦系図』などの作品で知られる泉鏡花は、主計町と隣接する下新町で生まれました。鏡花の生家跡には泉鏡花記念館が整備されています。
浅野川沿いにある主計町茶屋街の表通りは「鏡花のみち」と名付けられ絶好の散策コースです。中の橋のほとりには、おそらく中の橋をモデルにしたと思われる作品『化鳥』の文学碑が設置されています。
主計町は五木寛之さんのご贔屓の街
浅野川大橋から主計町茶屋街に入ってすぐのところあるのが、五木寛之氏の1978年の作品『浅の川暮色』の文学碑です。
新聞記者と主計町芸妓との恋物語の舞台となった鍋料理店「太郎」の前に設置されています。文学碑には、十何年ぶりに金沢に戻ってきた主人公が、鍋料理のお店の2階から夜の浅野川を見下ろしている時の情景が記されています。
主計町茶屋街の見どころ#4
泉鏡花&五木寛之。主計町は有名作家ゆかりの街
川沿いの道は懐かしい恋愛映画の趣き
ここが有名作家のゆかりの地であることを認識した上で、浅野川大橋やひとつ下流の「中の橋」から主計町を眺めると、昭和の恋愛映画のワンシーンがよみがえってくるようです。
ゆっくりと風情を感じたい方は、和風カフェの2階のお座敷でひと休みされるのもお奨めです。かつてお茶屋だったお座敷の窓から、緩やかに流れる浅野川を眺めていると、小説の登場人物になったような錯覚に陥ります。
主計町は風情の残るナイトタウン
金沢を代表するナイトタウンと言えば犀川沿いの片町ですが、明治から昭和初期の金沢の夜を感じたい方は、ぜひ浅野川沿いの主計町で夜のひとときをお過ごしください。
主計町の表通りは昼間の時間帯は眠りについています。そして、夕暮れ時になると、現役のお茶屋をはじめ、小料理店やバーの2階に明かりが灯ります。夕方にひがし茶屋街を訪れて、そのまま主計町へと足を運ぶスケジュールも粋です。
主計町茶屋街の見どころ#1
主計町は陽が暮れる頃に目覚めはじめる街
全国で初めて旧町名が復活
主計町は、江戸時代の初頭に加賀藩士・富田主計(とだかずえ)の屋敷があったことにちなんで名付けられました。
風情のある町名は1970年に尾張町2丁目に編入されましたが、由緒ある町名を復活させたいという機運の高まりを受けて、1999年に主計町の名前が復活しました。旧町名の復活は全国で初めてのことでした。
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主計町茶屋街への行き方
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