金沢旅行の予備知識#1
皆様は金沢にどのようなイメージをお持ちでしょうか。
私は30年ほど東京で暮らしていました。仕事などで「お生まれはどちらですか」と聞かれて「金沢です」と答えると、必ずと言っていいほど「良いところですね」という言葉が返ってきました。
故郷を良いところだと言ってもらえること自体はとても嬉しいのですが、当時の東京の人たちが金沢について知っていることは、加賀百万石と兼六園と松井秀喜選手くらいでした。それでも「良いところ」というイメージはあったようです。
このコーナーでは、金沢の歴史や市民性などをお話ししていきます。金沢旅行の予備知識となれば幸いです。
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有数の大都会だったから本物が残った
石川県金沢市は人口46万人の北陸地方で最大の都市です。加賀百万石の城下町として知られるこの街は、江戸時代には人口が10万人を超え、当時は江戸、大坂、京に次いで全国で4番目の大都会でした。
明治維新以降は、かつて社会の授業で教わった太平洋ベルト地帯の発展に伴って、首都圏や近畿圏をはじめとする太平洋側の都市に次々と抜かれていき、現在の全国順位は34位です。
日本海側で生まれ育った方でしたら共感していただけると思うのですが、高度成長期からバブル期までの間、日本海側の都市は日本の成長から取り残されてしまいました。もちろん金沢も例外ではありませんでした。
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日本海側の中心は新潟へ
私の中学・高校時代にはカーペンターズ、ベイシティローラーズ、スージー・クアトロ、オリビア・ニュートン・ジョンといった海外のビッグアーティストが金沢で公演を行いました。
また、伝説のアイドルグループ・キャンディーズが解散する時には、最後の全国8大都市コンサートに金沢が入っていました。それが、今ではビッグアーティストは新潟へ行ってしまうみたいです。
ただ、江戸時代に国内有数の大都会だったことで “本物” が残されたことから、人口46万人の都市にしては開けていますね、と観光客の方におっしゃっていただくことも多いようです。
会話で必ず出てくる「百万石」
テレビ番組の『秘密のケンミンSHOW』で、石川県民は「百万石」という言葉に誇りを持っていると紹介されましたが、その通りです。金沢の人と県外の人との会話では必ずと言っていいほど「百万石」が出てきます。
150年以上も前のことを今でも自慢げに語ってしまうのは、他に自慢することがないみたいで恥ずかしい気もします。金沢で地元の人と会話する機会のある方は百万石という言葉が出るかどうかを楽しみにしてください。
全国的に見ると、百万石の意味すらもわからない人が増えているようです。そのうち、金沢だけで通じる自慢話になってしまうかもしれませんね。
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金沢は400年にわたって佇んできました
日本史に詳しい方でしたらよくご存知かと思いますが、加賀百万石の礎を築いた前田利家は、徳川幕府にとって最も警戒すべき外様大名でした。
そこで、利家亡き後の前田家を守るために、利家の奥方であった “おまつの方” が自ら進んで人質として江戸へ旅立っていきました。そして、そのことは幕府が参勤交代制度を導入する契機となりました。
それ以降、21世紀の今日まで、金沢は目立つことなく、出しゃばることなく静かに佇んできました。
引っ込み思案で差し出がましい
金沢市民は極度の引っ込み思案です。2014年にAKB48が全国の都道府県から一人ずつメンバーを選出したことがありましたが、実は石川県では締め切りが近づくまで応募者がゼロだったという話しです。
そのような市民性の一方で、年齢を重ねるごとに差し出がましくなっていく傾向があり、観光客の方が地図やスマホを見ながらどっちへ行こうか迷っていると、頼みもしないのに近づいてきて道を教えてくれたりもします。
道を教えたがるのは、70歳~80歳くらいの女性が多いようです。別の見方をすると、金沢で道に迷ったら「おばちゃん」に聞くと親切に教えてくれます。
金沢のおばちゃんは、自分の生まれ故郷が没落していくのを肌で感じた世代ですので、金沢に大勢の人が来てくれるのが嬉しいのです。
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金沢旅行の予備知識
・江戸時代の金沢は国内で4番目の大都会でした
・金沢の強みは“城下町なのにお城が主役でない”
・21世紀の金沢は運の良い街だと思います
・外観から入る街・金沢は公衆トイレが綺麗
・金沢では海外からのメイン顧客はイタリア人
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・スローな-金沢タイム-にイライラしないこと
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・勝ち試合で気を抜いてしまう金沢の市民性
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