柳宗理記念デザイン研究所で工業デザインの粋を

主計町茶屋街の見どころ#6

金沢の街中には無料で見学できる記念館や資料館が点在しています。

長町武家屋敷跡にある足軽資料館や旧加賀藩士高田家跡、尾張町にある町民文化館や尾張町老舗交流館は、いずれも無料で気軽に立ち寄ることができる展示施設です。

主計町茶屋街のすぐ近くにも無料の展示施設があります。それが柳宗理記念デザイン研究所です。ここは金沢美術工芸大学の教授で日本を代表する工業デザイナーの故柳宗理氏の理念を多くの人たちに伝えるために、金沢美大が2014年に開設した施設です。

柳宗理氏(1915~2011年)は、代表作の『バタフライ・スツール』が1957年の「第11回ミラノ・トリエンナーレ」で金賞に輝くなど、日本のみならず海外でも名の知られた工業デザイナーです。

柳宗理氏の代表作『バタフライ・スツール』



シンプル・イズ・ベストを具現化

展示室では柳宗理氏のプロフィールや作品とともに、柳氏が後進の人たちに残した「デザイン考」が記されています。柳氏のデザインに対する考え方は、デザインのみならず私たちの日常生活にも当てはまるものです。

私自身、この文面を目にした時にとても感銘を受けましたので、原文のままご紹介したいと思います。

日本を代表する工業デザイナーだった故柳宗理氏

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柳 宗理「デザイン考」

デザインの創造とは、表面上のアピアランスの変化ではない。創意工夫を持って内部機構を改革することである。

本当の美は生まれるもので、つくり出すものではない。

デザインの構想は、デザインする行為によって触発される。

デザインは一人でするものではない。

企業者は何よりもプロダクトマンシップを持っている人でなければならない。

よく売れるものは良いデザインであるとは必ずしも言えない。また、良いデザインは必ずしもよく売れるとは限らない。

良いデザインは優れたデザイナーのみでは生まれ得ない。

本当のデザインは流行と戦うところにある。

伝統は創造のためにある。伝統と創造を持たないデザインはあり得ない。

デザインは社会問題である。
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柳宗理氏のデザインの特徴は、無駄なものを削ぎ落したシンプルさにあります。

展示室にはテーブル、椅子、収納棚などの家具類。茶碗、お皿、醤油さしなどの食器類。フランパン、鍋、ボウルなどの調理器具が、家庭での生活シーンをイメージしたレイアウトで展示されています。

家庭の食卓をイメージしたレイアウト

私のような素人は、奇抜な外観を良いデザインなのだと思い込む傾向がありますが、柳氏の作品を目にすると、良い工業デザインとは機能性と安らぎなのだと思えてきます。

展示されている作品には、作品名などを伝えるキャプションや説明文は一切ありません。作品を見た人が、それぞれの感覚で柳氏のセンスを受け止めることに主眼が置かれています。

シンプル・イズ・ベストの柳デザイン

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泉鏡花記念館へ通り抜けできます

柳宗理記念デザイン研究所は、主計町茶屋街に近い百万石通り(尾張町大通り)に面したシックな外観の建物です。すぐ隣には金沢蓄音器館の斬新な外観の建物があり、左斜め前には金沢文芸館のレトロ調の建物が見えます。

また、同研究所は泉鏡花記念館と背中合わせのロケーションにあります。

柳宗理記念デザイン研究所の正面玄関から泉鏡花記念館の正門へ行くにはグルリと大回りしなければならないのですが、2つの施設の裏側の出入口は自動ドアを隔てただけという位置関係です。

民間企業のビルなどでは、自社の建物を通り抜けすることを禁止している施設が多いと思いますが、柳宗理記念デザイン研究所では、観光で訪れる方の利便性を考慮して泉鏡花記念館へ通り抜けできるようになっています。

そして、ロビーには「こちらから、泉鏡花記念館へ通り抜けいただけます。」というPOPが設置されています。

ガラス窓の向こうに見えるのが泉鏡花記念館

金沢美大の学生たちに「デザインは一人でするものではない。」と説いた柳宗理氏の理念がコピーに表れているような気がします。独りよがりではなく、自分たちの施設を通り抜ける人たちを快く受け入れることで、創造性が培われていくのかもしれませんね。

なお、柳宗理記念デザイン研究所は入館無料です。開館時間は午前9時30分から午後5時までで、毎週月曜日(祝日の月曜日は開所)と年末年始が休館日です。

写真撮影については、展示資料室1は撮影okですが、展示資料室2は撮影禁止となっています。

飾り気のないお洒落な空間

柳宗理記念デザイン研究所

住所 金沢市尾張町2-12-1
TEL 076-201-8003
時間 午前9時30分~午後5時(無料)
休館 月曜日  ※月曜が祝日のときは開所

主計町茶屋街への行き方

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1

金沢で主要な観光名所は1日で回れます。なぜなら、人気スポットが東京ディズニーランドと同じくらいのエリアに集っているからです。とりあえず見た!という感じでよろしければ、1日あれば充分です。

2

金沢では、1周約4.3kmの百万石通りが観光エリアです。金沢城公園~兼六園~21世紀美術館は隣接し、ひがし茶屋街と主計町は隣町です。近江町市場や長町武家屋敷跡へもご近所へ行くような感覚です。

3

バス移動では北陸鉄道バスの「1日フリー乗車券」をお買い求めください。料金は800円です。路線バスの210円区間と金沢周遊バスを購入日に何度でも利用できます。ほとんどの観光名所がカバーできます。

4

金沢駅は観光名所が集まる中心部から少し離れています。1泊の場合は駅チカの方が安心できるかと思いますが、2泊以上の場合は香林坊、片町、武蔵ヶ辻などの繁華街に宿泊する方が圧倒的に便利です。

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金沢観光ガイド 南 武志

観光客の方が「ひがし茶屋街」の最寄りのバス停に並ばれているのを見て、兼六園も近江町市場も歩いて10分なのに…と思ったことが、このサイトをはじめたキッカケでした。 金沢の街は歩いて回れます。自分だけの観光プランで城下町・金沢を満喫してください。

2016年5月26日