新町・鏡花通りは主計町茶屋街に隣接する小路

主計町茶屋街の見どころ#5

金沢を訪れる方の中には、主計町茶屋街と泉鏡花記念館をセットにして予定を組まれている方もいらっしゃることでしょう。

泉鏡花記念館は、幻想とロマンの作風で多くの女性読者を魅了してきた泉鏡花の生家跡に建設された記念館で、記念館が面する通りは「新町・鏡花通り」と名付けられています。

このあたりは下新町(しもしんちょう)という町名で、金沢で旧町名が復活した14の町のひとつです。住宅街と商店街がミックスされた通りには、佃煮、茶葉、金箔などの老舗が点在しています。

老舗商店と民家が融合しています

主計町茶屋街が3分でわかる画像集



鏡花にちなんだ掛行燈

下新町の大きな特徴は、それぞれの建物の玄関に鏡花にちなんだ掛行燈が付けられていることです。この行燈は白地に木枠が施され、正面にウサギの絵が描かれています。ウサギは鏡花の生まれた年の干支の向かい干支です。

向い干支とは、十二支の向かい側(7つ先)に位置する干支のことで、鏡花は子供の頃に亡き母から水晶の兎の置物を渡される際に次のように言われたそうです。

「鏡太郎(鏡花の本名)や、これはね、水晶の兎ですよ。鏡太郎は酉年でしょう。酉年から数えて七番目のものを持つと身のお守りになるのですよ。出世をしますよ」(出典:鏡花幻想譚2 海異記の巻 解説「鏡花と兎」泉名月氏著)

また、白地の行燈には『義血侠血』『高野聖』『婦系図』『照葉狂言』などの鏡花の作品名が記されています。そして、玄関先の行燈は商店だけではなく民家にも掛けられています。

行燈の横面にはお店の名前が記されています

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久保市乙剣宮は主計町への通り道

泉鏡花記念館の左斜め前にあるのが久保市乙剣宮です。鏡花も子供の頃にはこの神社で遊んだと言われています。

境内を通り抜けると主計町茶屋街へと下りていく石段坂があります。この石段坂は暗がり坂と呼ばれ、現実の生活の場から、ひと時の夢の世界へと入って行く誘導路のような趣きを漂わせています。

久保市乙剣宮

主計町茶屋街の見どころ#2

照葉狂言の文学碑は一読の価値あり

久保市乙剣宮の鳥居の横には小説『照葉狂言』の文学碑が置かれ、鏡花が下新町を紹介した一節が記されています。(このページのトップ写真)

文学碑には、下新町は一方だけが大通りに繋がっていて、もう一方は行き止まりになっているので往来が少なく、朝から夕方まで人力車などは一両も通らないと記されています。

現在もこの通りは車の往来が少なく、自動車よりも歩行者の方が多いくらいです。この文学碑に記されている文面を読んでから、右斜め後ろにある泉鏡花記念館へ入って行くのもいいでしょう。

泉鏡花記念館

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佃煮にお茶。小路には老舗の食料品店

泉鏡花の『照葉狂言』には、自らが暮らす下新町は、かつて商店だった建物が、商いを仕舞って普通の民家になった “仕舞家” ばかりと記されていますが、現在もいくつかの老舗が営業を続けています。

まず、泉鏡花記念館の向かい側には、金沢では佃煮の老舗として知られる佃食品があります。「佃の佃煮」というキャッチコピーを知らない金沢市民はいないと言っても良いくらい、地元では有名なお店です。

佃煮という食品は、東京の佃島で生まれたことから名付けられたと言われていますが、今も金沢の人の中には、佃食品が造ったから佃煮と言うのだと思っている人が結構います(笑)。

佃の佃煮

茶葉の老舗も

下新町には茶葉の老舗である上林茶舗があります。このお茶屋さんは、京都・宇治の「上林春松本店」という創業450年の歴史をもつ老舗から暖簾分けを許された茶舗で、抹茶をはじめ、加賀某茶、煎茶、和紅茶など豊富な品揃えです。

私は抹茶を飲めるお茶室やカフェで「茶葉はどこから仕入れているのですか」と聞くことがあるのですが、自信満々に「うちは上林さんです!」と答えるお店がとても多いです。

上林茶舗

金箔の老舗も

上林茶舗の向かい側にあるカタニ産業も下新町の老舗のひとつです。

ブルーの暖簾に記された「あぶらとり紙」の文字が印象的な店内では、あぶらとり紙をはじめ食用・美容用金箔や金箔グッズが販売されています。個人的には金箔クリアファイルが面白いと思います。

また、このお店では金箔貼り体験を実施しています。お一人様から40名様まで予約可能ですので、金箔工芸にご興味のある方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

カタニ産業

主計町茶屋街への行き方

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外観から入る街・金沢は公衆トイレが綺麗です



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1

金沢で主要な観光名所は1日で回れます。なぜなら、人気スポットが東京ディズニーランドと同じくらいのエリアに集っているからです。とりあえず見た!という感じでよろしければ、1日あれば充分です。

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金沢では、1周約4.3kmの百万石通りが観光エリアです。金沢城公園~兼六園~21世紀美術館は隣接し、ひがし茶屋街と主計町は隣町です。近江町市場や長町武家屋敷跡へもご近所へ行くような感覚です。

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バス移動では北陸鉄道バスの「1日フリー乗車券」をお買い求めください。料金は800円です。路線バスの210円区間と金沢周遊バスを購入日に何度でも利用できます。ほとんどの観光名所がカバーできます。

4

金沢駅は観光名所が集まる中心部から少し離れています。1泊の場合は駅チカの方が安心できるかと思いますが、2泊以上の場合は香林坊、片町、武蔵ヶ辻などの繁華街に宿泊する方が圧倒的に便利です。

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金沢観光ガイド 南 武志

観光客の方が「ひがし茶屋街」の最寄りのバス停に並ばれているのを見て、兼六園も近江町市場も歩いて10分なのに…と思ったことが、このサイトをはじめたキッカケでした。 金沢の街は歩いて回れます。自分だけの観光プランで城下町・金沢を満喫してください。

2016年7月23日