Ohi-Museum
(Museum vol.15

初代~十一代の大樋長左衛門の作品を展示

金沢は地方都市にしては美術館や記念館などの多い街だと思います。

その中でも、茶道に興味のある方にとって訪れておきたいミュージアムが、茶道具の陶芸で知られる大樋焼の作品を展示している大樋美術館です。

茶の道へといざなうミュージアム

藩政期の金沢は江戸、大坂、京に次いで全国で4番目の大都会でした。このことから加賀友禅、九谷焼、金箔などの伝統工芸や、能、日本舞踊、素囃子などの伝統芸能などの華やかな文化が育まれてきました。

金沢が文化都市へと発展していった理由のひとつに、加賀藩主・前田家が全国から数多くの著名な人材を金沢に招いたことが挙げられます。百万石を超える豊かな財源を有していた加賀藩では、財源を軍備に充てるのではなく文化に注ぎ込んだのです。

1665年(寛文6年)に加賀藩の五代藩主・前田綱紀によって京都から金沢に招かれたのが、茶道・裏千家の初代宗室である千仙叟宗室です。

そして、お茶を点てる千仙叟に同道して、茶碗造り師の土師長左衛門も金沢に移住しました。

土師長左衛門は千仙叟宗室が京都に戻った後も金沢に残り、金沢郊外の大樋村(現在の金沢市大樋町)に茶道具の窯元(大樋焼)を創設するとともに、自らの姓を大樋と改め初代・大樋長左衛門となりました。

長左衛門の名は350年にわたって受け継がれ、現在の大樋長左衛門氏は十一代目にあたります。

格子戸の先が受付です

百万石通りに面する隈研吾氏設計のギャラリー

大樋美術館は、金沢の観光名所のツートップである兼六園とひがし茶屋街のちょうど中間に位置しています。

兼六園の桂坂口から、幹線道路の百万石通りをひがし茶屋街に向かって下って行くと、右手に古代ギリシアのパルテノン神殿を思わせるデザインの建物が見えてきますが、それが大樋焼の作品を展示販売している大樋ギャラリーです。

大樋ギャラリーは新国立競技場の設計者として知られる隈研吾氏が設計した建物です。

ガラス張りの大樋ギャラリーの脇が入場門で、白地に黒文字で「大樋美術館・大樋長左衛門窯」記されています。現代表記の左から右に記されるのではなく、戦前表記の右から左へ記されているところに大樋焼窯元の誇りとこだわりを感じます。

隈研吾氏が設計の大樋ギャラリー

門を入ると洗練された雰囲気の小径が続き、小径を進むと目の前に茶色に彩られたシックな外観の美術館が姿を現します。茶道の精神を体現する施設らしく前庭も丁寧に整備されています。

館内では初代・大樋長左衛門から、現在の十一代・大樋長左衛門までの作品が展示されています。

茶道の嗜みがある方にとっては、350年間にわたって脈々と受け継がれてきた大樋長左衛門の作品を眺めることは、感慨深いものがあるかと思います。また、それぞれの代における作風の違いや特徴を感じることでしょう。

なお、大樋美術館はミシュランの個人美術館の格付けで一つ星に認定されるなど高い評価を得ています。

前庭も洗練された雰囲気です

お茶室では本格的な裏千家の呈茶を

大樋美術館では、お茶室で中庭を眺めながら抹茶と和菓子を楽しまれるのもお奨めです。

千仙叟宗室の流れを汲むだけあって、本格的な裏千家の抹茶です。また、和菓子は藩政期に創業し金沢で一番の老舗として知られる「森八」から取り寄せています。ちなみに森八本店が大樋美術館の向かい側にあります。

お茶室は椅子席の「松濤間(しょうとうのま)」と、お座敷の「芳土庵(ほうどあん)」があり、芳土庵ではお客様同士が相席にならないように配慮されています。

左手が松濤間、右手が芳土庵です

こちらでの呈茶のセールスポイントは、お茶室の入口に置かれている大樋焼の茶碗の中からお好きな茶碗を選べることです。

大樋焼は、ろくろを使用せず手の指先だけで形作っていることから、抹茶を嗜む方の指先に絶妙にフィットします。抹茶を飲み終わった後に、茶碗を間近で眺めてみてはいかがでしょうか。

また、お茶室に面して松濤庭と名付けられた中庭があり、樹齢500年の「折鶴の松」がそびえています。

樹齢500年の折鶴の松

抹茶を楽しまれた後は、大樋ギャラリーで大樋焼の作品を購入されるのもお奨めです。茶道の茶碗だけではなく、湯呑茶碗、徳利、お皿、花瓶などのアイテムが揃っています。

さて、大樋美術館の開館時間は午前9時から午後5時です。

入館料は一般が700円、小中学生が500円で、呈茶とのセットは一般が1,500円、小中学生が1,300円です。なお、呈茶のみの利用も可能で、一般が1,000円、小中学生が700円となっています。

左手が大樋ギャラリー、右手がお茶室

大樋美術館ホームページ


大樋美術館から近い「お立ち寄り」スポット

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観光名所から観光名所への距離と徒歩時間


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