kyokamuseum

Izumi-Kyoka-Museum
(Museum vol.12

文学賞にその名を残す金沢が生んだ文豪

徳田秋聲、室生犀星とともに金沢の三文豪の一人に数えられているのが、浪漫と幻想の世界で女性たちを魅了してきた泉鏡花です。

泉鏡花は1873年(明治6年)に金沢市の下新町(しもしんちょう)で生まれました。本名は鏡太郎といい、9歳の時に母親を亡くします。そして、12歳の時に父と詣でた麻耶夫人像に母親の面影を重ね合わせたことが、その後の幻想文学の礎になったと言われています。

尾崎紅葉の作品に触れたことで小説家を志すようになった鏡花は、上京し紅葉の門下生となります。

紅葉は門下生の中でも鏡花をことのほか可愛がったと伝えられていますが、作品に入れられる紅葉からの添削が鏡花の才能を磨いていきました。

そして『義血侠血』『高野聖』『婦系図』『歌行燈』などの名作を生み出し、1939年(昭和14年)にこの世を去りました。

金沢市では1973年(昭和48年)に『泉鏡花文学賞』を制定しました。

この賞はその年に刊行された単行本の中から、鏡花の作風にみられるような浪漫性の高い作品を表彰するもので、毎年11月の授賞式の模様は地元テレビ局で大きく報道されています。

ちなみに、地方自治体が主催する文学賞としては、泉鏡花文学賞が全国で最初に制定されたものです。

鏡花はこの場所で生まれ育ちました

鏡花はこの場所で生まれ育ちました

鏡花の幻想文学を育んだ艶やかな周辺環境

泉鏡花記念館は鏡花の生家跡に建設されたミュージアムです。

記念館のある下新町は主計町茶屋街の隣町で、記念館の前の通りは新町・鏡花通りと名付けられています。観光でお越しの方は、ひがし茶屋街から主計町を経由して泉鏡花記念館へと向かう行程を組まれるといいでしょう。

浅野川沿いの鏡花のみちから裏通りに入り、暗がり坂を上って久保市乙剣宮の境内を抜けると、すぐ左手に泉鏡花記念館へと通じる和風の門が見えてきます。

主計町茶屋街の裏道を歩いて記念館までくると、鏡花の浪漫と幻想を育んだのはこの艶やかな周辺環境であったと思えるのではないでしょうか。

門を入ると前庭があり、鏡花父子の銅像が設置されています。この場所は生家跡に建てられた施設ですので子供の像が鏡花です。そして、前庭の向こうに和風建築の本館が佇んでいます。

お時間のない方は、記念館の前庭をご覧になるだけでも十分に雰囲気を感じることができます。

また、泉鏡花記念館へは、大通り沿いにある柳宗理記念デザイン研究所のロビーを通り抜けていくこともできます。

一般的には「通り抜けはご遠慮ください」とロビーに立て看板を出している建物が多いと思いますが、ここでは観光客への利便性を考慮してか、「こちらから、泉鏡花記念館へ通り抜けいただけます」と案内されています。

柳宗理記念デザイン研究所から鏡花記念館へ通り抜けできます

柳宗理記念デザイン研究所から鏡花記念館へ通り抜けできます

鏡花の浪漫と幻想を醸し出す考えられた内装

和風建築の格子状の自動ドアから館内に入ると、受付までの純和風のエントランス空間にはロマンチックな雰囲気が漂っています。

天井を見上げるとモジャモジャとしたものが吊り下げられていますが、記念館のリーフレットには『高野聖』の蛭の森をイメージしたとあります。

受付横にあるミュージアムショップへの入口の格子戸は、鏡花の終の棲家となった「番町の家」(現東京都千代田区六番町)の玄関をイメージしています。

また、ショップでは鏡花原作の書籍をはじめ、図録やポストカードなどのオリジナルグッズが販売されています。

展示室では鏡花の年表がパネルで紹介されている他、自筆資料、初版本、生前のこだわりの遺愛品、代表作のジオラマなどが常設展示されています。やや照明を落とした展示室に入ると、板の間に反響する来館者の靴音が、鏡花の神秘的なイメージと重なってきます。

泉鏡花記念館の入館料は一般が300円、65歳以上が200円で高校生以下は無料です。開館時間は午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分)までで、年末年始と展示替えの期間は休館となります。

なお、館内での写真撮影は禁止されていますが、入口付近から館内の雰囲気を撮影するだけでしたらokです。

泉鏡花記念館はひがし茶屋街と主計町茶屋街から近いこともあって、女性の来館者が次々に訪れています。

『高野聖』の蛭の森をイメージした装飾

『高野聖』の蛭の森をイメージした装飾

泉鏡花記念館ホームページ


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暗がり坂を上って久保市乙剣宮を抜けると泉鏡花記念館です

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