観光都市・金沢は新型コロナウィルスの影響を大きく受けています。2015年3月の新幹線開業を契機に飛躍的に増えた欧米からの観光客が皆無となり、地理的に国内旅行者の中心である東京、大阪、名古屋から訪れる方も激減しました。
今では、コロナ以前は長蛇の列ができていたひがし茶屋街のフルーツ大福のお店は待ち時間なしで入れることもありますし、兼六園の人気撮影スポットの虹橋は誰の邪魔をすることなく普通に渡れます。
この5年間の新幹線バブルとも言える活況から、街全体がしぼんでしまったような雰囲気の金沢にあって、一番静かに佇んでいるイメージのある金沢城には新たな息吹が漂っています。
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鼠多門と鼠多門橋がオープン
まず、金沢城への入城門のひとつ鼠多門と、金沢城と尾山神社を結ぶ鼠多門橋が復元され、2020年7月18日(土)より一般公開されました。
鼠多門は石川門、大手門、黒門とともに城外から城内へと通じる門のひとつで、1884年(明治17年)の焼失から136年ぶりに復元されました。また、藩政期に「いもり堀」の上に架けられていた鼠多門橋も併せて復元されました。
風情を感じる鼠多門橋は、前田利家を祀る尾山神社へと通じる橋です。ちなみに、尾山神社は明治期に創建された神社で、藩政期には隠居した藩主が暮らす金谷出丸が置かれていました。
前田家の跡目相続は生前退位が基本で、息子に跡目を譲った藩主がお堀を渡って余生を過ごす住居へと移っていったのです。
鼠多門は、名前のとおり「ねずみ色」のナマコ壁が特徴です。残されている明治初期の写真を見ると白壁に見えるのですが、遺構調査で発掘された出土品から「ねずみ色」の壁だったことがわかりました。
使用している材木は、柱と梁が関東地方のケヤキ、梁が東北地方の松、壁板と床板が石川県の能登ヒバ、屋根化粧裏版が石川県の杉です。なお、鼠多門は内部見学もできます。入場無料です。
鼠多門橋の完成によって、長町武家屋敷跡から尾山神社、玉泉院丸庭園、金沢城、兼六園、金沢神社、金城霊沢、本多の森へと通じる回遊ルートが出来上がり、観光で訪れる方の利便性が格段に向上しました。
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二の丸御殿の復元に向け遺構調査開始
石川県の悲願である金沢城・二の丸御殿の復元に向けて、7月から、かつて御殿が存在した二の丸広場で遺構調査が始まりました。
1881年(明治14年)に焼失した二の丸御殿については、写真がほとんど残っていないことや、建物の内装・外装に関する資料がなかったことから、現状では歴史に忠実に復元できないとのことで、これまでは全くの手つかずの状態でした。
転機となったのが2019年です。二の丸御殿が最後に再建された翌年の文化8年(1811年)に前田家の御大工頭が作成した「二之御丸御殿御造営内装等覚及び見本・絵型」が確認され、念願の復元に向けた遺構調査が始まったものです。
金沢城公園は、1999年(平成11年)に金沢城の新たなシンボルとなった五十間長屋の復元工事が開始されて以降、河北門、橋爪門、いもり堀、玉泉院丸庭園、鼠多門と、敷地のどこかで絶えず工事が行われています。
やっと鼠多門の工事にともなって玉泉院丸庭園に張り巡らされていた工事用のフェンスが取り除かれたと思ったら、今度は二の丸広場に白いフェンスが張られてしまいました。
平成の築城は令和の時代になっても続きます。ちなみに、二の丸御殿の復元工事は10年ほど続くのではないかと言われています。このあたりは時間がゆっくりと過ぎていく金沢ならではの時間感覚と言えるかもしれません。
金沢は都市型テーマパーク!
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コロナ対策で五十間長屋の階段が使用休止
新型コロナウィルスの影響は、金沢城の「菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓」にも見られます。2階から、菱櫓と橋爪門続櫓の最上階にあたる3階へと上がる階段が使用停止となっています。
藩政期の建築様式を忠実に再現したこの階段は、現代の住居では考えられないほどの急傾斜です。そして、櫓の一番上に上る方法が急階段しかないことから、皆さん恐る恐る上り下りしています。ここは金沢城の隠れたお楽しみスポットでした。
その急階段が新型コロナの感染拡大防止のため使用停止となっているのです。
係の人に理由を聞くと、階段が急すぎることから、降りてくる際に皆さん手すりをしっかりと触りながら降りてくるので、手から手へのウィルス伝播の危険性があるとのことで使用を停止していますとのことでした。
ちょっとしたところにも新型コロナウィルスの影響がみられます。
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金沢城公園の見どころ
・金沢城の五十間長屋は「21世紀の築城」のシンボル
・金沢城の重要文化財は石川門・三十間長屋・鶴丸倉庫
・石川門、河北門、橋爪門は金沢城を守った三御門
・金沢城の主なエリアは本丸・二の丸・三の丸・新丸
・本丸園地-天守があった金沢城本丸は自然の雑木林
・鶴の丸は五十間長屋が一番美しく見えるエリア
・玉泉院丸庭園-金沢城のお茶室・玉泉庵からの庭園美
金沢城公園への行き方
・金沢城公園への行き方
・金沢駅から金沢城公園への行き方
・近江町市場から金沢城公園への行き方
・兼六園から金沢城公園への行き方
・金沢21世紀美術館から金沢城公園への行き方
・ひがし茶屋街から金沢城公園への行き方
・主計町茶屋街から金沢城公園への行き方
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金沢城公園の周辺スポット
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金沢城公園から他の観光名所へ
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主要な観光名所は8つ+金沢駅
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金沢がイメージできるページです
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金沢の主要な観光名所は1日で回れます
金沢で主要な観光名所は1日で回れます。なぜなら、人気スポットが東京ディズニーランドと同じくらいのエリアに集っているからです。とりあえず見た!という感じでよろしければ、1日あれば充分です。
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金沢観光マップ-地図を見てルートを決めたい方へ
金沢では、1周約4.3kmの百万石通りが観光エリアです。金沢城公園~兼六園~21世紀美術館は隣接し、ひがし茶屋街と主計町は隣町です。近江町市場や長町武家屋敷跡へもご近所へ行くような感覚です。
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金沢の観光エリアのバス運賃は210円
バス移動では北陸鉄道バスの「1日フリー乗車券」をお買い求めください。料金は800円です。路線バスの210円区間と金沢周遊バスを購入日に何度でも利用できます。ほとんどの観光名所がカバーできます。
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金沢のホテル/1泊なら駅周辺、2泊以上は繁華街
金沢駅は観光名所が集まる中心部から少し離れています。1泊の場合は駅チカの方が安心できるかと思いますが、2泊以上の場合は香林坊、片町、武蔵ヶ辻などの繁華街に宿泊する方が圧倒的に便利です。
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