しいのき迎賓館-旧県庁の趣きを残す憩いの場

しいのき迎賓館 (げいひんかん)
金沢のお散歩コース vol.5
(兼六園・21美~香林坊エリア)
加賀百万石の城下町・金沢でも、時代の流れとともに地元の人たちに親しまれてきた建物が姿を消していきました。
私が子供の頃は築年数の経っていそうな建物を見ると「古くさい」と思ったものですが、今にして思うと、あの建物を取り壊したのはもったいなかったと感じることもあります。
金沢で随一の繁華街である香林坊と兼六園を結ぶ百万石通りは、中央分離帯には桜並木が、歩道にはケヤキ並木が続き辰巳用水が流れる綺麗な並木道です。
香林坊から兼六園に向かって右側の歩道沿いは、民間の商業ビルが次々と建て替えられすっかり景観が変わってしまいましたが、左側の歩道沿いには大正時代からの景観がそのまま残されています。

今は百万石通りと名前が変わった旧広坂通りは、石川県庁と金沢市役所が通りの向かい側に位置する地方行政の中心地でした。
市役所の前に県庁があって、県庁の隣に旧制第四高等学校の赤レンガ造りの校舎が並ぶ景色は、金沢市民が子供の頃から見続けてきたものです。
県庁自体は2002年に移転したのですが、かつての県庁舎は現在も残されています。それが「しいのき迎賓館」です。
2010年4月に総工費20億円をかけて完成した建物で、大通り沿いは旧い県庁舎の外壁をそのまま残し、建物の裏手に回るとガラス張りの最新の外観になっています。
東京の丸の内では、歴史のあるビルを高層ビルに建て替える際に、低層階は旧い外観のままで、中層階以上が最新の外観という工法がトレンドとなっていますが、しいのき迎賓館は表が昔、裏が現代というデザインです。

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内部は旧さと新しさがシンクロナイズ
旧県庁舎は1924年(大正13年)に建設された、石川県内で最も旧い鉄筋コンクリート建築のひとつです。県庁の移転がバブル期の前でしたら、旧庁舎は取り壊されていたかもしれませんね。
幸いにも、金沢市民の間で旧い建物を残そうとする意識が醸成されてきた時期での移転でしたので、大通り沿いの外壁だけとはいえ、「市役所の前が県庁」という市民にとって思い出深い景観が残されることとなりました。
「しいのき迎賓館」の名前の由来は、旧県庁舎の前に、国の天然記念物に指定されている堂形のしいのきが2本あることから名付けられたものです。
旧県庁舎の正面玄関から建物内に入ると、目の前に旧庁舎時代の階段が残されており、階段の踊り場の壁には巨大な石川県の地図が掲げられています。
この地図は、漆の上に沈金という金箔の伝統的な技法を用いて造られています。

館内には随所に県庁舎の時代の旧い内装が残されています。
前を向くと新装された最新の設備、後ろを振り返ると90年以上も前のアンティークな施設というコントラストは、金沢の思い出のひとつとして見ておくのもいいかもしれません。
新しい現代風の出入口から外に出ると、「しいのき緑地」と名付けられた芝生の広場が広がり、その向こうには金沢城公園の城壁が広がっています。
しいのき緑地には舗装された遊歩道と小川が流れ、晴れた日には絶好のお散歩コースです。ちなみに、小川の水は辰巳用水という水路から兼六園の池を経由して取水されています。

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しいのき迎賓館は金沢観光の中継地点
しいのき迎賓館からは金沢の各観光名所へもすぐ近くです。
旧県庁舎の玄関から出て大通りを左手に行くと兼六園の真弓坂口で、右手に行くと香林坊から長町武家屋敷跡へと続きます。また、目の前の信号を渡ると金沢21世紀美術館へと通じています。
反対側の新しくなったガラス張りの玄関から出ると、芝生の広場の先にいもり堀と呼ばれる復元されたお堀があります。
そして、いもり堀を左手に行くと金沢城公園の玉泉院丸口があり、尾山神社の裏門へと続きます。

また、新しい玄関を出て左手に行くと、アメリカ楓通り~いしかわ四高記念公園を経由して香林坊まで緑の遊歩道が続きます。
しいのき迎賓館は観光地ではありませんし、何か特別なモノがあるというわけでもありませんが、金沢観光の途中でホッと一息つける場所です。
また、しいのき迎賓館の1階にあるフレンチレストランでティータイムを取られるのもお薦めです。

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しいのき迎賓館の近くにある「お立ち寄り」スポット
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