尾山神社の見どころ-街を彩る個性的な神門は150年前の現代アート

金沢の神社仏閣#1

近年の金沢で、外国人観光客を中心に訪れる人が増えているのが尾山神社です。金沢で一番のメインストリートに面するこの神社は、初代の加賀藩主である前田利家と正室のおまつの方が祀られています。

大通り沿いにある「南町」の石碑を目印に参道に入ると、その先に石段があり、石段の上には窓にガラスが入った三層の建物がそびえています。西洋風とも中国風とも受け取れるこの建物が、国の重要文化財に指定されている神門です。

観光で訪れる若い人たちの間では「ステンドグラスの神社」として広まっているようですが、尾山神社のホームページでは、ステンドグラスとは言っておらず「ギヤマン」と称しています。ギヤマンとはポルトガル語でガラスのことです。

この神門は明治8年のデザインです



個性的な神門は人寄せパンダ

尾山神社の神門は金沢の人たちにとって子供の頃から馴染みのある景色です。尾山神社の創建は明治6年ですが、個性的な神門は2年後の明治8年に完成しました。

なぜ、2年のタイムラグがあり、このような奇抜なデザインにしたのかと言いますと、創建当初、参拝者が全く来なかったからです。当時の金沢の人たちは、前田家は尊敬するけれど、利家はどうでもよかったのです。前田利家は尾張の人なのです。

神社としては、何とかして参拝者を集めようということで、文明開化の流れに乗って、色付きガラスをはめ込んだ西洋風の神門を建てたのです。人寄せパンダとしての役割は果たしたようで、今では金沢で最も初詣客を集める神社となりました。

余談ですが、神門が建築された当時、斬新すぎる外観は「利家公を祀る神社にふさわしくない」という不評の声も多かったそうです。ちなみに、神門に付けられている避雷針は日本で初めてのものです。

尾山神社
この神門の目的は「人寄せ」でした

利家が祀られたのは明治時代

この場所に前田利家を祀る神社が創建されたのは1873年(明治6年)のことです。この場所は、江戸時代には跡目を譲った前の藩主が余生を過ごした金谷御殿 (かなやごてん) がありました。前田家では生前退位が基本でした。

江戸時代に最大の外様大名であった前田家は幕府から謀反の疑いを掛けられないように、金沢城内の神社には徳川家康を祀り、自分たちの藩祖である利家を、浅野川の向こう側の、ひがし茶屋街の先にある宇多須神社に祀っていました。

そして、明治の世を迎えて徳川家に気を遣う必要がなくなり、さらに明治政府の意向で前田家が東京に移住したことから、御殿のあった場所に利家の御霊を移し、尾山神社としてスタートしたわけです。

前田利家像。背負っているのは母衣です

前田家を守った「おまつの方」

前田家では家名存続のために幕府に忠誠の意思を示しました。その代表的なものが、利家亡き後、おまつの方(芳春院)が自ら人質となり江戸に渡ったことです。

息子たちに「母は死んだと思いなさい」と言い残して江戸に旅立ちました。後世の歴史家の間では、前田利家よりも、おまつの方を評価する声が目立ちます。

おまつの方の像

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神社のイメージを覆すガラス張りの授与所

尾山神社の境内で目を引くのは全面ガラス張りの授与所です。

この授与所は2015年秋に完成した施設で、若いカップルがおみくじを引くために仲良く入って行く姿が多く見られます。モダンな雰囲気の神門とともに、尾山神社の進取の気性を象徴する施設といえるでしょう。

授与所の前には、前田利家の兜の像が設置されています。金色の兜をかぶった利家はまさに傾奇者でした。そして、傾奇者の御霊を祀る尾山神社も十分に傾いています。

前田利家公の兜は金色
神社らしくないお洒落なデザインの授与所

庭園も見どころです

神門をくぐると拝殿があり、その奥が本殿になります。拝殿の右手には神苑と呼ばれる庭園が整備されています。兼六園のお膝元らしく池泉回遊式の美しい庭園です。

庭園の前には前田利家とおまつの方の像が置かれています。

利家公の像から境内の奥へ進んでいくと、旧金沢城の二の丸の唐門であった東神門があります。金沢城のたび重なる火災の中でも消失することのなかった縁起の良い門で、唐門の二匹の竜が水を呼び込んだためと言い伝えられています。

神苑

隠れた人気スポット「カエルのオブジェ」

参拝に訪れる観光客の方が最もカメラを向けるスポットは個性的な神門ですが、尾山神社には隠れた人気の撮影スポットがあります。それが金箔のカエルのオブジェです。

2011年に寄進された作品で、この作品の前を歩く人は必ずと言っていいほど足を止め、にこやかに笑いながらカメラを向けています。元々はカエルは1匹だけだったのですが、その後、母ガエルと3匹の子ガエルが追加されました。

蓮で遊ぶ金箔カエルが参拝者の足を止めます

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鼠多門橋から金沢城公園へ

香林坊武蔵ヶ辻の中間に位置する尾山神社は、金沢の観光名所へ行きやすい位置にあります。

まず、神門の反対側に復元された鼠多門橋(ねずみたもんばし)が金沢城公園の玉泉院丸庭園と直結しています。金沢城公園から兼六園へ、兼六園から金沢21世紀美術館へと続く「加賀百万石回遊ルート」を満喫できます。

また、神門を出て百万石通りを右手に入り8分ほども歩くと近江町市場で、百万石通りを渡って真っすぐに坂道を下ると10分足らずで長町武家屋敷跡です。

鼠多門橋を渡ると金沢城公園です

Guide
玉泉院丸庭園-金沢城公園に復元された庭園美

最寄りのバス停は南町・尾山神社

現地までバスを利用される方は、最寄りのバス停の「南町・尾山神社」で降りて香林坊方向に3分ほど行くと到着します。「南町・尾山神社」は金沢の繁華街である香林坊からも武蔵ヶ辻からもひとつ先のバス停です。

ちなみに、南町(みなみちょう)は金沢を代表するビジネス街で、かつて東京の若い女性が「丸の内のOL」に憧れたように、金沢では「南町のOL」が若い女性の憧れでした。

尾山神社から下ると金沢で一番のビジネス街

利用案内

尾山神社
住所:金沢市尾山町11-1
TEL076- 231-7210
尾山神社ホームページ

尾山神社の周辺スポット

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金沢で主要な観光名所は1日で回れます。なぜなら、人気スポットが東京ディズニーランドと同じくらいのエリアに集っているからです。とりあえず見た!という感じでよろしければ、1日あれば充分です。

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金沢では、1周約4.3kmの百万石通りが観光エリアです。金沢城公園~兼六園~21世紀美術館は隣接し、ひがし茶屋街と主計町は隣町です。近江町市場や長町武家屋敷跡へもご近所へ行くような感覚です。

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バス移動では北陸鉄道バスの「1日フリー乗車券」をお買い求めください。料金は800円です。路線バスの210円区間と金沢周遊バスを購入日に何度でも利用できます。ほとんどの観光名所がカバーできます。

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金沢駅は観光名所が集まる中心部から少し離れています。1泊の場合は駅チカの方が安心できるかと思いますが、2泊以上の場合は香林坊、片町、武蔵ヶ辻などの繁華街に宿泊する方が圧倒的に便利です。

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金沢観光ガイド 南 武志

観光客の方が「ひがし茶屋街」の最寄りのバス停に並ばれているのを見て、兼六園も近江町市場も歩いて10分なのに…と思ったことが、このサイトをはじめたキッカケでした。 金沢の街は歩いて回れます。自分だけの観光プランで城下町・金沢を満喫してください。

2016年5月18日