寺島蔵人邸-現代に残る加賀藩の中級武士の屋敷

金沢の旧家庭園#1

金沢を訪れる人たちの間で、近年人気が高まっているのが藩政期の武士の住まいである旧家と庭園です。中でも欧米からの観光客が目立って増えています。

一つひとつのお部屋が壁で仕切られている欧米の生活様式に馴染んでいる方は、襖と障子を取り外すと大広間に早変わりする日本の建築様式にとても興味を持つようです。

ひがし茶屋街と兼六園のちょうど中間に位置する旧家が寺島蔵人邸です。金沢城の正門にあたる大手門から5分少々という最高のロケーションにあります。



周辺は大手町の閑静な住宅街

日本のお城では、一般的に正門を大手門(追手門)と呼び、大手門の目の前にある街を大手町と呼ぶことが多いですよね。ちなみに、寺島蔵人邸の住所は金沢市大手町です。

寺島蔵人邸は幹線道路の百万石通りから1本入った通りにあり、老舗の和菓子屋さん「森八」の裏手に位置しています。閑静な住宅街に佇む立派な門構えの家屋ですので、見過ごしてしまうことはないと思います。

このお屋敷は、1988年(昭和63年)まで寺島家の末裔の方が実際に暮らしていました。そして、同年に寺島家から金沢市に旧家屋が寄付され、一般の人たちに公開されることとなったものです。

奥座敷から眺める庭園

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寺島蔵人の人生は「出る杭は打たれた」

寺島蔵人(てらしま くらんど/1777年~1837年)は、禄高450石の中級武士として加賀藩に仕えた藩士で、農政と財政の分野で実務能力を発揮しました。

12代藩主・前田斉広(なりなが)が有能な藩士を抜擢する中で、蔵人も藩政改革を行なう教諭方という新しい親政機関の一員に加えられました。しかしながら、その年に藩主・斉広が急逝したことにより教諭方は解散となります。

その後、正義感の強かった蔵人は、藩の重臣による行政方針と対立していったことで役職を外され、さらに能登島に流刑されその地で生涯を閉じました。まさに「出る杭は打たれた」わけです。

雅号を持つ風流人

寺島蔵人は卓越した実務家であったとともに画家としても秀でた才能を発揮した人で、独学で絵画を学び「応養」という雅号を持っていました。邸内には蔵人本人の筆による水墨画が描かれた掛け軸が展示されています。

この他、展示スペースには加賀蒔絵の硯箱、お椀、お盆などの工芸品を見ることができ、寺島蔵人の風流人としての趣きが伺えます。また、廊下には鴬張りが施されています。

寺島蔵人邸の見どころのひとつが庭園です。加賀藩の中級武士の屋敷には日本庭園が造られましたが、蔵人邸にも小さいながらも綺麗なお庭が整備されています。

中でもドウダンツツジが有名で、初夏の満開の頃には地元のテレビ局がよく取材に訪れています。

初夏にはドウダンツツジが満開になります

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お奨めしたい抹茶と落雁のセット

入館料は一般が310円、65歳以上が210円で、高校生以下は無料です。開館時間は午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分)までで、年末年始と展示替えの期間は休館です。

室内の写真撮影は許可されていますがフラッシュ撮影は禁止されています。

寺島蔵人邸へ行かれる際は茶室で抹茶を楽しむのも風流です。呈茶料は350円です。

お茶室は「乾泉亭(けんせんてい)」と名付けられています。この屋敷の庭の池に水が入っていないことに因んだもので、奥座敷の庭に面した欄間には、画家の浦上玉堂の書による「乾泉」と記された額が掛けられています。

抹茶には紅白の落雁(らくがん)が付きます。この落雁は寺島家のために特別に製造されているもので、寺島家の三つ丸の家紋が入っています。また、大樋焼の器も特注で、器の外側には浦上玉堂の「乾泉」の文字が刻まれています。

茶室に座ってゆっくりと抹茶を

Check
金沢で風流を味わうなら「お茶室で抹茶」

兼六園もひがし茶屋街も徒歩圏内

茶室「乾泉亭」は抹茶を嗜む人だけが入ることのできるお部屋です。抹茶を飲むつもりがなかった人でも、茶室をご覧になると、ゆっくりと座って風情を感じたいと思われるかもしれませんね。

毛氈に座って抹茶を飲みながら、ゆったりとした気分で木々の緑を眺めていると心が癒されてきます。

なお、寺島蔵人邸からは、兼六園金沢城公園と、ひがし茶屋街主計町茶屋街までいずれも5分から10分足らずの距離です。兼六園とひがし茶屋街を歩いて移動される方は、寺島蔵人邸に立ち寄られることをお奨めします。

茶室『乾泉亭』は、抹茶を嗜む人だけが入室できます

利用案内

寺島蔵人邸
てらしまくらんどてい
住所:金沢市大手町10-3
TEL076-224-2789
料金:一般 310円、65歳以上 210円、高校生以下 無料/抹茶料 350円
時間:午前9時30分~午後5時(入館は4時30分まで)
休館:展示替え期間、年末年始
撮影:展示室の撮影OK。ただしフラッシュ撮影は禁止です。
寺島蔵人邸ホームページ

寺島蔵人邸の周辺スポット

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金沢で主要な観光名所は1日で回れます。なぜなら、人気スポットが東京ディズニーランドと同じくらいのエリアに集っているからです。とりあえず見た!という感じでよろしければ、1日あれば充分です。

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金沢では、1周約4.3kmの百万石通りが観光エリアです。金沢城公園~兼六園~21世紀美術館は隣接し、ひがし茶屋街と主計町は隣町です。近江町市場や長町武家屋敷跡へもご近所へ行くような感覚です。

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バス移動では北陸鉄道バスの「1日フリー乗車券」をお買い求めください。料金は800円です。路線バスの210円区間と金沢周遊バスを購入日に何度でも利用できます。ほとんどの観光名所がカバーできます。

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金沢駅は観光名所が集まる中心部から少し離れています。1泊の場合は駅チカの方が安心できるかと思いますが、2泊以上の場合は香林坊、片町、武蔵ヶ辻などの繁華街に宿泊する方が圧倒的に便利です。

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金沢観光ガイド 南 武志

観光客の方が「ひがし茶屋街」の最寄りのバス停に並ばれているのを見て、兼六園も近江町市場も歩いて10分なのに…と思ったことが、このサイトをはじめたキッカケでした。 金沢の街は歩いて回れます。自分だけの観光プランで城下町・金沢を満喫してください。

2016年6月3日