saiseimuseum

Muro-Saisei-Museum
(Museum vol.18

金沢の三文豪の一人、室生犀星

金沢で生まれた子供たちは、中学から高校にかけての国語の授業で地元の三文豪について学びます。

金沢の三文豪とは室生犀星、泉鏡花、徳田秋聲の3人です。中でも室生犀星は国語の教科書に出ていることもあって、地元では三文豪の中で最も知られている作家です。

犀星の生家跡に2002年に建てられたモダンな建物が室生犀星記念館です。にし茶屋街のすぐ近くにありますが、閑静な住宅街に位置していますので観光客の方には少しわかりにくいかもしれません。

なるべくわかりやすく説明してみます。

犀川大橋のひとつ下流の新橋を渡り200mほど直進すると、十字路の右手に「白菊町」と記された石碑が立っています。この十字路を石碑と反対方向の左手に入り50mほども行くと右手に犀星記念館の洒落た建物が見えてきます。

ロビーの壁には犀星の作品が展示されています

ロビーの壁には犀星の作品が展示されています

入場料は一般が300円、65歳以上が200円、高校生以下が無料で、開館時間は午前9時から午後5時(入館は午後4時30分まで)となっています。なお、年末年始と展示替えの期間は休館です。

写真撮影については、展示室の内部では撮影禁止ですが、展示室以外の室内の風景については撮影することができます。

記念館はガラス張りの現代風の建物で、入口の左手には犀星の作品で最も有名な「ふるさとは遠きにありて思ふもの」の詩が、犀星の筆跡で黄色の布地に印刷されて飾られています。

犀星の筆跡による「小景異情」

犀星の筆跡による「小景異情」

犀星は小さくて可愛い字を書く人だったようです。筆跡による性格診断ができる人でしたら、犀星は引っ込み思案な人だと言うかもしれませんね。

館内に入ると目の前に小さな庭園があります。庭づくりが生涯を通しての趣味であった犀星の意を汲んで、庭園には犀星が実際に使用していた石塔やつくばいが配されています。

ミニ庭園には犀星が使用した「つくばい」が置かれています

ミニ庭園には犀星が使用した「つくばい」が置かれています

展示室は1階が常設展示で2階が特別展示です。犀星の年表をパネルで説明している他、自筆の原稿や、友人知人にあてた書簡、さらには生前に愛用した家具や小物などが展示されています。書簡の中には「原稿料をありがとう」という記述も見られます。

1階のミュージアムショップでは室生犀星ゆかりの書籍や、犀星のネーム入りの小物などを販売しています。

その中で興味深いのは、入口の横に飾られている「ふるさとは遠きにありて思ふもの」の自筆の詩が、原稿用紙に印刷されて販売されていることです。犀星ファンにとっては最高のグッズなのではないでしょうか。

ミュージアムショップ

ミュージアムショップ

不遇な環境があの有名な詩を生みました

室生犀星は明治22年(1889年)に現在の「にし茶屋街」の近くで生まれました。

父親が使用人の女性との間に宿した子だったことから、生後すぐに生家から近い雨宝院というお寺に預けられました。そして、雨宝院の住職であった室生真乗と養子縁組を結び、室生姓を名乗ることとなります。

両親の愛情に触れることなく幼年期から少年期を過ごしたことが、犀星の作風に大きな影響を及ぼしたと言われています。

犀星の残した詩の中では「小景異情」と題された次の詩が最も有名ですが、犀星の生い立ちを知ったうえで読むと、この詩を詠んだ時の犀星の心情が分かります。

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小景異情

ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの
よしや
うらぶれて異土の乞食となるとても
帰るところにあるまじや
ひとり都のゆふぐれに
ふるさとおもひ涙ぐむ
そのこころもて
遠きみやこにかへらばや
遠きみやこにかへらばや

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さて問題です。犀星はどこでこの詩を詠んだのでしょうか。次の4つの中からお答えください。

  1. 東京
  2. 金沢
  3. 東京から金沢へと向かう列車の中
  4. 金沢から東京へと向かう列車の中

これは私の高校時代に国語の試験で出た問題です。

正解は、2の金沢です。私も地方から東京へ出た経験を持っていますが、地元にいるのが嫌で東京に出て行った人でも、東京で長く暮らしていると故郷が懐かしく感じられるものです。

犀星も望郷の念が強まったことから金沢へと帰ってきますが、私生児として生まれた犀星は、金沢の実父の家庭では招かれざる客でした。

「東京で物乞いをするほど落ちぶれても、帰るところではない」と読まざるを得ないほどに、故郷でひどい仕打ちにあったのだと推測できますが、残念ながら犀星にこのように言わしめる風土が金沢にあるのは事実です。

室生犀星記念館は金沢市の中心部からは少し外れていますが、来館者が間断なく訪れています。文学がお好きな方にはぜひ訪れていただきたい記念館です。

ロビーの一角に設けられた映像コーナー

ロビーの一角に設けられた映像コーナー

室生犀星記念館ホームページ


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