金沢建築館-国内でも珍しい建築専門ミュージアム

金沢の美術館・記念館#20

この20年の間に、金沢では多くの美術館や記念館がオープンしました。今では、人口46万人の地方都市とは思えないほどの数のミュージアムがあります。その中で、国内でも珍しい建築専門館が「谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館」です。

金沢の建築文化の発信拠点となるミュージアムで、文化勲章を受章した著名な建築家・故谷口吉郎氏の住まいの跡地に整備され、吉郎氏の息子で、金沢では鈴木大拙館の設計で知られる谷口吉生氏が設計しました。

建物は国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に指定されている寺町寺院群に位置し、街のメインストリートの寺町通りに面しています。

周辺には観光スポットが点在し、忍者寺の愛称で知られる妙立寺とは200mほど、金沢の三茶屋街のひとつ・にし茶屋街とは300m少々、金沢の三文豪の一人・室生犀星記念館とは600mほどの距離です。

金沢建築館は重伝建の寺町通りに
谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館の展覧会
・企画展「谷口吉郎とみんながつくった建築」(12/10~6/2)
・常設展示



開放感のあるコンクリート空間

館内に入ると2階まで吹き抜けになったラウンジあり、ミュージアムショップと茶房が併設されています。また、寺町通りに面した大きな窓からは伝統的な街並みを眺めることができます。

受付から展示エリアに入ったところがホールです。地下1階から2階まで吹き抜けとなった空間で、館内での導線が一目で変わるレイアウトになっています。

鈴木大拙館に行かれたことがある方でしたら、打ちっ放しのコンクリートをメインとしたシンプルな内装と、見る人の心に静寂をもたらす空間の使い方は、鈴木大拙館と似ていると感じるかもしれません。

吹き抜けになっている1階ホール

お客様は1日1組です
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谷口吉郎氏の代表作「游心亭」を再現

2階の常設展示室には、谷口吉郎氏の代表作である、迎賓館赤坂離宮の和風別館「游心亭(ゆうしんてい)」の広間と茶室が再現されています。

游心亭の再現は、金沢建築館の最大の特徴となっているキーポイントで、息子の吉生氏が何度も現地に足を運んで測定し再現しました。ちなみに、赤坂の「游心亭」の広間は、1986年の東京サミットでワーキングランチの会場として使用されました。

金沢建築館のイチ押しポイント・広間

半透明の白い自動扉が開くと、右手に游心亭の広間があり、左手に游心亭の池を模した水庭が設けられています。水庭の前にはベンチが置かれていますので、ベンチに座ってゆっくりと佇むのも風流です。

そして、広間の先には游心亭の茶室が再現されています。

游心亭の茶室

館内の展示を見終わった後は、1階のラウンジにある茶房やミュージアムショップに寄られるのもお奨めです。ショップでは色鉛筆が販売されているところが建築ミュージアムらしいところです。

金沢建築館のもうひとつの特徴は、建物の外の無料ゾーンに、寺町通りと犀川べりを結ぶ回遊路が整備されていることです。犀川べりは晴れた日には絶好のお散歩コースです。

水辺と緑がマッチした水庭

金沢は都市型テーマパーク!

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谷口吉郎氏は金沢市の名誉市民第1号

金沢は日本で初めて「景観保存条例」が制定された都市です。この条例は、谷口吉郎氏からの提言によって1968年(昭和43年)に制定されました。

なお、吉郎氏は金沢市の名誉市民第一号となっています。

谷口吉郎氏は、1904年(明治37年)に金沢市の寺町で生まれました。実家は九谷焼の窯元で、ご本人によると、職人さんの誇りをもって仕事に携わる姿が建築家としての礎になったそうです。

前述の游心亭をはじめ、東宮御所(現 赤坂御所)、ホテルオークラのメインロビー、帝国劇場のロビーと客席などを設計し、1973年(昭和48年)に文化勲章を受章しました。

息子の谷口吉生氏は、鈴木大拙館、東京国立博物館法隆寺宝物館、ニューヨーク近代美術館などの有名ミュージアムの設計で知られ、日本、米国、英国の建築家協会の名誉会員となっています。

吉生氏の作品は、打ちっ放しのコンクリートに水辺と緑を融合させたクールなデザインが特徴です。

寺町通りから犀川べりへの回遊路

ゆっくり寛げる記念館です

金沢建築館の入館料は、常設展が一般 310円、65歳以上 210円で高校生以下は無料です。開館時間は午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)です。

休館日は月曜日(月曜日が祝日の場合は翌平日)と、年末年始(12月29日~1月3日)となっています。※展示資料の整理のため休館することがあります。

なお、写真撮影については、地下の企画展示室だけは撮影が禁止されていますが、それ以外の館内は撮影可能です。このあたりも、展示室以外は撮影okという鈴木大拙館と同じです。

金沢建築館は、ゆったりと寛げるミュージアムです。

展示を見た後はラウンジでゆっくりと

利用案内

谷口吉郎・吉生記念金沢建築館
かなざわけんちくかん
住所:金沢市寺町5-1-18
TEL076-247-3031
料金:常設展:一般 310円、65歳以上 210円、高校生以下 無料
時間:午前9時30分から午後5時(入館は4時30分まで)
休館:月曜日 (祝日の場合は翌平日)、展示替え期間、年末年始
撮影:地下1階の企画展示室は撮影NG。それ以外は撮影ok
金沢建築館ホームページ

最寄りのバス停
・金沢周遊バス、路線バス「広小路」徒歩2~4分
最寄りの観光名所
・にし茶屋街から徒歩4分
行き方の参考ページ
にし茶屋街への行き方

金沢建築館の周辺スポット

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3

バス移動では北陸鉄道バスの「1日フリー乗車券」をお買い求めください。料金は800円です。路線バスの210円区間と金沢周遊バスを購入日に何度でも利用できます。ほとんどの観光名所がカバーできます。

4

金沢駅は観光名所が集まる中心部から少し離れています。1泊の場合は駅チカの方が安心できるかと思いますが、2泊以上の場合は香林坊、片町、武蔵ヶ辻などの繁華街に宿泊する方が圧倒的に便利です。

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金沢観光ガイド 南 武志

観光客の方が「ひがし茶屋街」の最寄りのバス停に並ばれているのを見て、兼六園も近江町市場も歩いて10分なのに…と思ったことが、このサイトをはじめたキッカケでした。 金沢の街は歩いて回れます。自分だけの観光プランで城下町・金沢を満喫してください。

2019年8月6日