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現代美術展「初回は戦後2か月、80回目は震災後3か月」

2024年4月10日

石川県立美術館と金沢21世紀美術館で「第80回 現代美術展」が開催中です。現代美術展は石川県の美術界が会派を超えて開催する展覧会で、毎年この時期に開催され、今年で80回目を迎えます。

一般財団法人石川県美術文化協会、北國新聞社、一般財団法人石川県芸術文化協会、北陸放送、テレビ金沢、石川県、金沢市、石川県教育委員会、金沢市教育委員会が主催し、県内の各市町が後援するなど石川県が一丸となって開催します。

今年が80回目ということでお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、石川県の現代美術展は1945年(昭和20年)に第1回が開催されました。8月15日の終戦から2か月後の1945年10月に、金沢では美術鑑賞の場が設けられたわけです。

幸いにして、金沢市を中心とする石川県は戦災を免れたことから、終戦直後に美術展を開催できました。80回目の今年は、元日の能登半島地震から3か月後の開催となりました。

展示室前の飾りつけは意外と簡素です



展覧会場は県美と21美

現代美術展の会場は石川県立美術館金沢21世紀美術館です。2つの会場は広坂という坂道で結ばれており、坂上が県美で、坂下が21美です。県立美術館では洋画、彫刻、工芸、写真の4部門、21世紀美術館では日本画と書の2部門が展示されています。

会期は3月29日(金)~4月15日(月)です。開場時間は午前9時30分~午後6時で、午後5時30分が最終の入場時間となっています。入場料は両館合わせて1,000円で、それぞれの展示会場の入口で購入できます。

県美と21美は広坂で繋がっています

会員と一般を合わせて1,103作品

今回の現美では、石川県美術文化協会の役員・会員の委嘱出品作と、一般公募からの作品を合わせた1,103点が展示されています。石川県の人口が110万人強ですので、石川県民の1,000人に1人が出展していることになります。

1,000人に1人の出展率が高いのか低いのかはわかりませんが、展示されている作品がある程度のレベルに達していることを考慮すると、割合としては高いのかもしれませんね。

作品のカテゴリーは日本画、洋画、彫刻、工芸、写真、書の6部門です。6つのカテゴリーの作品が一堂に展示されることの利点は、来場者自身が自分の好きなカテゴリーを認識できることでしょう。

ちなみに、私は彫刻と工芸のカテゴリーが好きみたいです。

金沢21世紀美術館

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会派を超えての開催が特徴です

現代美術展を主催する一般財団法人石川県美術文化協会は、1945年10月11日に設立されました。当時、石川県内の美術工芸作家を中心に、創作分野や所属会派を超えて設立されました。県内で最大の美術団体です。

「所属会派を超えて」という部分が石川県の現代美術展のセールスポイントです。

美術に関しては全くの素人の私は、美術界では「人間国宝」が一番すごいのだと思っていました。もちろん、人間国宝に認定された方は最高峰の芸術家なのですが、人間国宝とは別に、もうひとつ最高峰の称号があります。それが、日本芸術院会員です。

日本の美術界には2つの大きな流れがあり、人間国宝と日本芸術院会員の2つの称号を持つ方はほとんどいません。美術に詳しい人の中には、日本の美術界に存在する2つの潮流が交じり合おうとしないことが大きな問題だと力説する人もいます。

石川県立美術館

東京への反発があったのかも

第1回の現代美術展から会派を超えての展示が可能となった背景には、この記事の最初にも述べたとおり、幸いにして石川県が戦災を免れたことが最も大きな要因だと思います。

それとともに、石川県が日本海側の小さな県だということも要因のひとつだと思います。別の見方をすると、80年前の金沢を中心とする石川県の美術界の人たちには、東京への反発心があったのかもしれません。

江戸時代に日本の三大文化圏のひとつであった旧加賀藩は、明治維新以降、日本の発展=太平洋側の発展という図式の中で次第に取り残されていきました。美術界においても、東京を中心とする太平洋側の考え方が主流となりました。

そのことへの反発もあって、会派を超えて団結したのではないかと思います。現代美術展は、戦後の石川県のひとつの象徴と言えそうです。

県立美術館の展示室は2階と地下の2つです

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金沢観光ガイド 南 武志

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