小立野通り-兼六園から石川県立図書館へと続く道

金沢のお散歩コース#19

金沢は気ままにお散歩するのに向いている街です。ゆっくりと時間を気にせずに街中を散策していると、観光ガイドには載っていないのだけれど、ちょっとした風情のある景色に出会うことがあります。

兼六園の裏門とも言える小立野口から一直線に伸びる小立野通りも、藩政期の趣きを感じる道です。

お散歩が趣味という方は、一直線に伸びる道を見ると行けるところまで行ってみたくなりますよね。特に、小立野通りは藩政期からの板塀から始まる道ですので、吸い寄せられるように足を踏み入れる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

小立野通りを彩る藩政期からの板塀



藩政期の板塀からスタート

小立野通りは、旧町名が復活した下石引町(しもいしびきまち)と飛梅町(とびうめちょう)からはじまります。

下石引町は加賀八家のひとつに数えられる奥村宗家の上屋敷があった場所です。加賀藩の奥村家といえば、アニメファンの方でしたら『花の慶次』の奥村助右衛門を思い出される方も多いと思いますが、まさにその奥村家です。

奥村家の上屋敷があった場所は、現在は金沢医療センターという国立病院機構が運営する総合病院となっています。

奥村家の板塀

藩政期から流れる辰巳用水

下石引町から飛梅町にかけて板塀が続き、歩道と板塀の間には国の史跡に指定されている辰巳用水が流れています。辰巳用水は1632年(寛永9年)に、3代藩主・前田利常の命を受けた板屋兵四郎が完成させたと伝えられています。

辰巳用水は小立野口のあたりで分水され、分流は兼六園へと流れ込んでいきます。そして、霞ヶ池と瓢池を経由して再び市中へと流れ出て行きます。

旧奥村家の板塀に沿って歩いて行くと洋館の建物を目にします。この建物は、金沢の人たちに古くから親しまれてきたミッションスクールの施設で、藩政期の板塀に洋風建築が自然に溶け込んでいます。

和風の板塀と洋風建築が調和しています

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天徳院への直線道路は藩政期からの道

小立野通りを彩る藩政期の板塀を過ぎた後も、一直線に伸びる道は「天徳院」に向かって続きます。天徳院は3代藩主・前田利常の正室・珠姫のお寺として知られ、寺院めぐりがお好きな方の間では観光スポットとなっています。

兼六園の小立野口から「珠姫の寺 天徳院」までは1.5kmほどの距離です。不動産業界で使われている80m=1分という計算式に当てはめると20分ほどの所要時間です。

曲がりくねった道が多い金沢にあって、小立野通りは兼六園から一直線に伸びていることが特徴です。兼六園が作庭される以前の古地図にも、天徳院へと通じる直線道路が記されています。

なぜ、この道が直線なのかと言いますと、金沢城の築城の際に、石垣に使用する石を運んだ道だからです。

珠姫の寺・天徳院

金沢くらしの博物館

兼六園と天徳院の間にあるのが金沢くらしの博物館です。ここは金沢の昔のくらしを紹介するミュージアムで、1899年(明治32年)に建てられた旧制金沢二中の三尖塔校舎を活用しています。

ちなみに、金沢くらしの博物館の建物は国の重要文化財に指定されています。

金沢くらしの博物館

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石川県立図書館は訪れる価値あり

兼六園から金沢くらしの博物館~天徳院と歩かれる方は、あと10分ほど足を延ばして石川県立図書館へ行かれるのも良いでしょう。

石川県立図書館は2022年にオープンした施設で、ローマのコロッセオを彷彿とさせるデザインが初めて訪れる方を驚かせます。地元では開業前から大きな話題となったこともあって、都道府県立の図書館ではトップクラスの来館者数を誇ります。

兼六園からここまで歩かれた方は、お帰りは県立図書館前からの始発バスで市街地に戻るのがベストかと思います。

石川県立図書館

金沢美術工芸大学

石川県立図書館の向かい側にあるのが、金沢の芸術文化に多大な貢献をしてきた金沢美術工芸大学です。東京芸術大学、愛知県立芸術大学、京都市立芸術大学、沖縄県立芸術大学とともに、公立の5芸大として認知されています。

キャンパス内には一般向けの閲覧エリアが設けられており、絵画や工芸などの美大生の作品を見ることができます。県立図書館に行かれたついでに立ち寄られるのも良いでしょう。

金沢美術工芸大学

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金沢観光ガイド 南 武志

観光客の方が「ひがし茶屋街」の最寄りのバス停に並ばれているのを見て、兼六園も近江町市場も歩いて10分なのに…と思ったことが、このサイトをはじめたキッカケでした。 金沢の街は歩いて回れます。自分だけの観光プランで城下町・金沢を満喫してください。

2016年6月4日