2017年10月29日付の北國新聞に、金沢市と東京都目黒区が友好都市協定を結んだという記事が掲載されていました。
締結式が行われたのは、金沢市の大樋美術館のお茶室で、「茶婚式」を模したしつらえで行われ、山野金沢市長と、青木目黒区長が、金箔をあしらった抹茶椀で濃茶を飲みかわしました。
目黒区在住で加賀藩前田家18代当主の前田利祐氏が立会人を務め、陶芸家の十一代大樋長左衛門氏が司婚者、茶道裏千家今日庵業躰の奈良宗久氏が茶人を担いました。
裏千家ゆかりの大樋美術館のお茶室で
儀式のあと、山野市長と青木区長が協定書に調印しました。前田氏、山野市長、青木区長が名入れした茶碗は、12月3日に目黒区総合庁舎内の茶室で開かれる記念茶会で使用されます。
山野市長はあいさつで「若い方の交流がますます活発となるような場を増やしていきたい」と述べました。
青木区長は、目黒区に前田家16代当主利為が建てた重要文化財「旧前田家本邸」があることに触れ、「前田家の縁、今日までの交流という縦の糸、横の糸が織りなす両都市の発展を期待したい」と語りました。
また、記事では、前田家の縁でつながる両都市は、ともに裏千家にゆかりがあることから、茶婚式での締結式が実現したと述べられていました。なお、金沢市の友好都市協定は、首都圏では東京都板橋区に次いで2例目となります。
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地元テレビ局のローカルニュースでも
今回の大樋美術館での締結式については、新聞だけでなく、地元のテレビ局でも夕方のローカルニュースで大きく報じられていました。
テレビ局のニュースでは、大樋美術館の「芳土庵」というお茶室で、床の間を背にして目黒区長と金沢市長が横並びに座り、L字になった上手に前田家当主が座っていました。
ちょっと違和感を感じたのが、畳のお部屋に、戦の陣中にあるような椅子が置かれ、三人が椅子に座って行事が進行していたことでした。
茶室では床に腰を下ろす想定で庭園も造られています。大樋美術館の芳土庵でも、緋毛氈に腰を下ろすと樹齢500年の折鶴乃松を良い感じで眺めることができます。なぜ、わざわざ椅子を用意したのだろうかと不思議に思いました。
三人のうちのどなたかが、長時間の正座に耐えられないほど足が弱っていらっしゃるのかもしれませんので、一概に反対意見を述べるのもいけないかなとは思いますが、はっきり言って違和感がありました。
もし、藩政期の協定締結を連想させるような演出として出たアイデアなのであれば、ちょっと今回のアイデアは的を外してしまったかもしれませんね。
このことはさておき、大樋美術館で提供される裏千家の抹茶は、素人の私から見ても金沢で一、二を争う美味しさだと思います。
焼物師の初代・大樋長左衛門は、裏千家の始祖である千仙叟宗室に従って京から金沢に赴いてきましたが、大樋焼だけではなく裏千家の伝統も受け継がれているようです。
料金は、美術館の見学とセットの場合は1,500円、抹茶のみの場合は1,000円です。抹茶とともに供される和菓子は、大樋美術館のお向かいさんにあたる森八本店からの仕出しです。
大樋美術館は、兼六園とひがし茶屋街のちょうど中間地点に位置していますので、歩いて移動される方は、ぜひ立ち寄ってみてください。
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