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陶芸家の11代目・大樋長左衛門氏。日本芸術院会員に

2025年2月21日付の北國新聞の1面トップは、陶芸家の十一代・大樋長左衛門氏が日本芸術院の会員に選ばれたという記事でした。石川県内在住者の芸術院会員の就任は故人を含めて6人目となります。

大樋氏は、文化勲章受章者で日本芸術院会員の大樋陶冶斎氏 (十代・大樋長左衛門) の長男で、2016年に十一代・大樋長左衛門を襲名しました。伝統の大樋焼の表現を背景として、大樋年雄の名で欧米や中国などで独自の現代アート作品を展開し、国際交流にも努めました。

紙面には、馳浩石川県知事、村山卓金沢市長、石川県美術文化協会会長の祝辞が掲載されていました。

厳かな雰囲気を漂わせる大樋焼の窯元



石川県内在住者では6人目

石川県内在住者の会員就任は、1979年の高光一也氏 (洋画家)、1984年の二代浅蔵五十吉氏 (陶芸家)、1999年の十代大樋長左衛門氏 (陶芸家)、2002年の三谷吾一氏 (漆芸家)、2010年の武腰敏昭氏 (陶芸家)に続き15年ぶりです。

いずれも故人で、大樋氏は石川県在住で唯一の会員なります。なお、今年度の新規会員は以下の15名の方々です。

新会員の皆さん

大樋長左衛門氏 (陶芸家/66歳)
坂茂氏 (建築家/67歳)
隈研吾氏 (建築家/70歳)
多和田葉子氏 (小説家/64歳)
中林忠良氏 (版画家/87歳)
十文字美信氏 (写真家/77歳)
畠山直哉氏 (写真家/66歳)
藤井貞和氏 (詩人/82歳)
倍賞千恵子氏 (俳優/83歳)
中村魁春氏 (歌舞伎/77歳)
桐竹勘十郎氏 (浄瑠璃/71歳)
尾高忠明氏 (指揮者/77歳)
野田秀樹氏 (劇作家/69歳)
橋爪功氏 (俳優/83歳)
富野由悠季氏 (アニメーション監督/83歳)

兼六園~ひがし茶屋街の間という絶好の立地

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大樋長左衛門氏は金沢の名士

今回、日本芸術院会員に選ばれた十一代・大樋長左衛門氏は、金沢では名士中の名士で、一般の人にも良く知られている方です。大樋家は茶道の茶わんの大樋焼の窯元で、初代の大樋長左衛門から350年にわたって受け継がれてきました。

歴史を紐解くと、茶道・裏千家の創始者である千仙叟宗室が加賀藩に招かれた際に、茶碗作り師の土師長左衛門が同道し、陶芸に最適な粘土質の土が採れる大樋村に窯を建てました。

長左衛門は、千仙叟宗室が京都に戻った後も大樋村の土から離れることなく金沢に残り、初代・大樋長左衛門を名乗りました。その名前が今日まで受け継がれています。

千仙叟宗室の旧居跡

21美の初期からの賛同者

北國新聞の記事にあるとおり、大樋長左衛門氏は大樋年雄の名前で現代アート作品を生み出しています。現代アートというキーワードから想像できるかもしれませんが、同氏は金沢21世紀美術館に多大な貢献をしています。

金沢21世紀美術館の2代目館長の秋元雄史氏は、自身の10年間の金沢生活を振り返る回顧録『おどろきの金沢』の中で、十一代・大樋長左衛門氏に感謝の意を表しています。

同著は「金沢21世紀美術館の嫌われぶりにおどろく」という章から始まります。2004年のオープン当時、21美が金沢の美術界の重鎮と呼ばれる人たちから大バッシングを受ける中で、大樋長左衛門氏はいつも21美を支持してくれたのだそうです。

十一代・大樋長左衛門の作品は街中にも

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日本の工芸界は2つに分かれます

日本の工芸界には2つの会派があります。ひとつが日本工芸会で、もうひとつが日展です。

日本工芸会の最高の栄誉は重要無形文化財保持者 (人間国宝)で、日展の最高栄誉が日本芸術院会員です。そして、工芸部門の文化勲章受章者は日本芸術院会員から選ばれるのが慣例です。

窯元の敷地にある大樋美術館

日本芸術院会員は定員120名

日本芸術院は、美術、文芸、音楽、演劇などの分野で優れた功績のある芸術家を優遇し顕彰するために設立された文化庁の特別機関です。英文では「The Japan Art Academy」と表記し、国立アカデミーであることを海外に発信しています。

「美術」「文芸」「音楽・演劇・舞踊」の3分野があり定員は120名です。終身会員ですので、亡くなられた方が出ると新規会員を選定するという形式を取っています。

お茶室では歴代の長左衛門作の器で呈茶を

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