職人の街・金沢は “外観から入る街” です。そして、“一点もの” が大好きな街です。
金沢駅の鼓門も、金沢21世紀美術館も、鈴木大拙館も一点ものです。ひがし茶屋街を彩る金箔も一点ものと言えますし、日本三名園のひとつ・兼六園も一点ものです。その金沢に誕生した新しい “一点もの” が石川県立図書館です。
全国の都道府県立の図書館で唯一、年間の来館者数が100万人を超える人気スポットになりました。公立図書館ですので、本来は地元の人たちのために建設された施設ですが、近頃では観光客の姿も目立って増えてきています。

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総事業費は150億円
石川県立図書館は地上4階、地下1階で、延べ床面積は約22,000㎡です。来館者が書棚から手に取ることができる開架冊数は約30万冊、蔵書数は2025年現在で約110万冊で、書庫には200万冊が収納できます。また、閲覧用に約500席が用意されています。
建設用地は金沢大学工学部跡地で、2019年に着工し、2022年3月に竣工式が行われました。総事業費は約150億円です。
ひとつ裏話をご紹介しますと、新しい県立図書館には「百万石ビブリオバウム」という愛称がついていますが、舌を噛みそうな名前は当初から評判が悪く、金沢ではこの愛称を口にする人はほとんどいません。


館内はローマ遺跡の雰囲気
県立図書館の館内は、ローマの古代遺跡・コロッセオをイメージさせるデザインで、1階の中心部から3階にかけて書棚が円形劇場のように連なっています。書棚にある本は表紙が見えるように置かれ、本屋さんの感覚で探すことができます。
この施設の特長はイスが多いことでしょう。書棚から興味のある本を手に取って、すぐ近くのソファで読むこともできますし、3階には本格的な調べ物をしたい方向けに読書灯とコンセントの付いたテーブル席が用意されています。
初めて訪れる方に立ち寄ってみたいと思わせる空間が、3階の「北・東エリア」と「西・南エリア」を結ぶ渡り廊下です。ブリッジと名付けられた廊下から館内を360度見渡すことができ、高級ホテルのようなセレブリティ感覚を味わえるスポットです。
肝心の本の貸し出しについては、館内のいたるところにセルフ貸出機が設置されています。最初は少し戸惑うかもしれませんが、スーパーのセルフレジを利用している方でしたら簡単に操作できるかと思います。


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「加賀は天下の書府」を再び
江戸時代の加賀藩は、百万石という莫大な石高を所領していたことから日本有数の裕福な藩でした。そして、歴代の藩主は膨大な資金を武力増強には使わずに文化振興に充てました。そのひとつが全国から書物を集めることでした。
中でも、加賀藩の5代藩主・前田綱紀は学者だったこともあって、全国に散らばる書物の収集に力を注ぎました。ある時には書物を買い取ったり、ある時には古くなった書物を修復する代わりに書写するなどして蔵書を増やしていきました。
前田綱紀の蔵書は、当時、国内最高の学者と称された新井白石から「加賀は天下の書府」と称賛されたと伝えられています。21世紀の石川県立図書館も「天下の書府」への第一歩を踏み出したと言えるのかもしれません。


金沢美大とセットでの訪問も
2023年10月に、石川県立図書館に向かい側に金沢美術工芸大学が移転してきました。“美大”の独創的なイメージに合致したハイセンスなキャンパスです。
金沢美大は一般の人も入場できます。キャンパスでは、アートコモンズと名付けられたスペースで在校生の美術工芸作品を鑑賞できる他、附属図書館も利用可能です。また、学生ラウンジで在校生に交じって休憩することもできます。
県立図書館を見た後に美大に行くと、2つの施設でワンセットという感覚になります。ただし、入場できるのは平日のみで、土・日・祝日はクローズしています。

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金沢駅からは東口の6番のりば
石川県立図書館への行き方は以下のとおりです。
まず、金沢駅東口の6番のりばから石川県立図書館行きのバスが1時間に2本ほど出ています。同じ6番のりばから発車の東部車庫、湯涌温泉、北陸大学薬学部、上辰巳行きのバスでは「崎浦・県立図書館口」下車、徒歩2分です。運賃は260円です。
上記の行き先のバスは「武蔵ヶ辻・近江町市場」「橋場町(ひがし茶屋街)」「兼六園下・金沢城」にも停車しますので、それぞれの観光名所から県立図書館に行かれるのも良いでしょう。


兼六園から歩いて30分~40分
石川県立図書館は、兼六園の小立野口からまっすぐに伸びる小立野通りに位置しています。兼六園からは2km少々の距離がありますので、徒歩で30~40分ほどかかりますが、歩くことが気にならない方は歩いて行かれるのも良いかと思います。
兼六園から小立野通りに入ると、アニメ「花の慶次」に出てくる奥村家の板塀が続き、その先にはアニメ「ラブライブ」の新たな聖地となった金沢くらしの博物館があります。
金沢大学病院を過ぎると「和菓子の高砂屋」「おでんの若葉」などの人気店が並ぶ商店街があり、加賀藩の3代藩主だった前田利常の正室・珠姫を祀った天徳院へと続きます。そして、天徳院から10分ほども歩くと石川県立図書館です。
なお、石川県立図書館は月曜日が休館日ですのでご注意ください。※月曜日が祝日の場合は翌平日が休館日となります。

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