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北國新聞の社会面トップ「柳原氏、発言で謝罪」

2017年7月26日

2017年7月26日付の北國新聞に、“知事「石川けなされた」” との見出しで、独立行政法人国立美術館の柳原正樹理事長(黒部市)が、金沢に謝罪に訪れたという記事が掲載されていました。

柳原氏は13日に、「金沢の県立美術館なんて誰も行きません。そこに工芸館が行くとなると、誰も来ない場所になる」と発言しました。

また、金沢21世紀美術館(通称:21美)の入館者数に対して「数字のマジック。入口と出口で全て足し算している」と指摘し、石川県の地元メディアから大反発を受けていました。

谷本知事「石川県全体がけなされた」と苦言

この発言は、柳原氏が自らの出身地である富山県庁で、とやま美術政策顧問の移植を受けた後の会見で、東京国立近代美術館工芸館の金沢への移転に関して発言したもので、翌14日に発言を撤回していました。

25日に金沢を訪れた柳原氏は、石川県庁、金沢市役所、石川県立美術館、21美の4カ所を訪れ、谷本県知事、山野市長、両美術館の館長に直接謝罪しました。

谷本知事は知事室に招き入れた柳原氏に対して「県民が怒りを覚えている。美術館を運営される方の発言とは到底思えない」と厳しい表情で語り、柳原氏は「ご迷惑をおかけしました」と陳謝したとのことです。

また、谷本知事は都道府県立美術館の入館者数を記した資料を提示し、書類を指でトントンと叩きながら「石川県立美術館は63施設のうち7番目に多い。誰も来ていないと言うなら、ここから下の美術館はないのも同じだ」とまくし立てました。

さらに、谷本知事は工芸館が移転する兼六園周辺の本多の森について「石川を象徴する施設が集約する魂ともいうべき場所。こちらは移転先を選ぶのに最大限の配慮をしている」と、改めて柳原氏の発言を残念がったとのことです。

紙面には、柳原氏が知事室で両手を膝に置き頭を下げている写真と、21美で官庁から入館者のカウントシステムについて説明を受けている写真が掲載されていました。

国立近代美術館工芸館となる予定の旧陸軍金沢偕行社

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石川県と富山県は仲が悪いのです

当サイトでは、7月20日に「金沢21世紀美術館の入館者数の集計方法」のタイトルで、柳原氏の発言と、21美の入館者のカウント方法についてご紹介しました。

その時の記事でも触れましたが、今回の件が地元で大きな話題となった背景には、石川県と富山県は仲が悪いということが根底にあります。おそらく福井県の人には理解してもらえると思います(笑)。

北國新聞の記事でも、「柳原氏(黒部市)」と同氏が富山県出身であることをご丁寧に記しています。富山の人からの発言でなければ、石川県のメディアもこれほど過剰に反発しなかったかもしれません。

また、柳原氏においても、石川県に国立のミュージアムが移転することに内心忸怩たる思いがあるのでしょうね。特に、石川県選出の馳浩文科大臣の時に、金沢移転に舵が切られたことが面白くないのかもしれませんね。

そのことから、ご自身の故郷での会見で、思わず本音が出てしまったのではないでしょうか。

観光客の方にアドバイスです。金沢と富山と両方回られる方は、金沢では絶対に富山を褒めては駄目です。逆に富山で金沢を褒めるのも避けた方が良いでしょう。

金沢では「やっぱり金沢が一番ですね」、富山では「私は金沢よりも富山が好きです」と言っておけばサービスの質が上がりますよ。

さて、工芸館の移転予定地については、谷本知事と柳原氏の双方の言い分はよく理解できます。柳原氏の発言にも正しい部分はあります。

まず、石川県サイドが最高の芸術環境をご用意したというのは本当です。兼六園から本多の森にかけてのエリアは、石川県立美術館、いしかわ赤レンガミュージアム、県立能楽堂、本多の森ホールなどの芸術関連の施設が集まっています。

一方で、柳原氏が言うように、人通りが少ないのも事実です。広坂を下った金沢21世紀美術館のあたりは人通りが多いのですが、坂道を上って本多の森にやって来る人は極めて少数です。

もしかすると、ご本人が以前に石川県立美術館を視察された時に、周辺を歩いている人が一人もいなかったのかもしれませんね。

なお、国立近代美術館工芸館は2020年に金沢へ移転の予定です。

工芸館の建設予定地(右手が石川県立美術館)

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