2020.4.18掲載
新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、緊急事態宣言の対象地域が全国に広げられました。私が暮らす石川県は「特定警戒都道府県」に指定され、金沢の観光エリアから人通りがなくなりました。
ここからは、各都道府県の民度が試されることになります。つまり民度の高い都道府県から新型コロナウィルスが収束していくのではないでしょうか。
今、各県の民度が試されています
収束に向けてどれだけ一丸となれるか、自治体がどこまで情報を公開するか、感染者をはじめ医療従事者や配送ドライバーへの差別をどれだけ抑えられるかが問われる局面となりました。
全国「民度」選手権とも呼べるフェーズに入ります。もちろん、このような大会はありませんが、今こそ石川県の民度を全国に示す時です。そして、それぞれの都道府県が民度第1位を目指して努力すれば日本全体の民度が高まることでしょう。
石川県の現状を見てみると、残念ながら後方に位置していることは認めざるを得ません。特に全国からの知事への評価を見ると、石川県は愛知県や兵庫県とともに最後方グループに置かれていると言ってもいいほどです。
ここまでは仕方がありません。ここから一丸となって1つずつ順位を上げていきましょう。
石川県庁がPCR検査を阻んでいる
今回の新型コロナ騒動で、私が注目しているポイントはPCR検査数です。PCR検査数はその自治体の感染拡大防止への基本姿勢を示していると思います。注目すべきは新潟県で、全国に先駆けてドライブスルー検査を導入しています。
石川県では、一昨日(4/16)の検査数が77件でした。これまでで最高の件数が行なわれたことは評価できるものの、お隣の富山県では同じ日に156件の検査を実施しています。石川県の半数以下の感染者しか出ていないにもかかわらずです。
また、石川県のこれまでの累計検査数は903件で、これは全国32位の数字です。感染者数が11位の石川県が全国32位の検査数というのは少なすぎます。さらに言いますと、14日の時点では30位でした。それが15日に31位に落ち、16日には32位です。
特定警戒県に指定されるほど感染が広がっている県が、PCR検査数の順位を下げてどうするのですか。
石川県にはPCRの民間検査会社が5つあります。そのうちの2社は金沢市が本社の会社で、中でも調剤薬局で知られるアルプでは日本海側で最大級のラボラトリーを所有しています。一方の富山県は2社でいずれも首都圏に本社があります。
これほど有利な状況にありながら、PCR検査が進まないというのは、石川県の行政に問題があるのだと言わざるを得ません。
先進の検査体制を石川県でも導入すべき
PCR検査の拡充を訴える私も、もしかすると日本人は新型コロナウィルスにかかりにくいのではないか、感染したとしても重症化しにくいのではないかという淡い期待を心の片隅に抱いているのは事実です。
メディアで報じられているBCG接種や、清潔好きなところが感染防止に繋がっているのではないか。また、味噌などの日本食が新型コロナに効果があるのではないかという秘かな希望を持っています。
でも、これらのことが淡い期待で終わってしまうならば、金沢市と石川県は、近い将来の武漢やミラノやニューヨークになっても不思議ではありません。
さて、PCR検査については、4月17日の安倍首相の記者会見で、東京都医師会が提言していたPCR検査センターを積極的に開設していくとの方針が示されました。
東京都医師会の提案とは、これまで各地の帰国者・接触者相談センターと、帰国者・接触者外来を通して実施されてきたPCR検査を、かかりつけ医からPCR検査センターに直接依頼することで検査数の拡充を促進するものです。
メディア報道によると、各地の医師会の協力を得て「PCR検査センター」の設置を進めるとのことです。
検査センターを総合病院に近い体育館に
PCR検査センターを金沢市内に設置するに際しては、私は重症や中等症の患者の入院が可能と思われる感染症指定病院、協力医療機関、指定地方公共機関の近辺の小中学校の体育館に設置するのがベターではないかと考えています。
予算があれば陰圧テントを購入して設置するのがベストだと思うのですが、予算がネックとなって検査センターの設置が延び延びになるのであれば、セカンドベストの方策として天井の高い小中学校の体育館を使用するのが良いと思います。
全国のクラスター発生例を見ると、私の知る限りでは、ライブハウス、飲食店、スポーツクラブなどの天井の低い屋内ではクラスター感染が発生していますが、コンサートホールなどの天井の高い施設については発生していません。
このことから、小中学校の体育館の扉をすべて開放して風通しを良くして検査センターを設置するのが良いのではないかと思います。その際には、PCR検査センターの周辺住民の方にはご理解とご協力をいただきたいと思います。
ちなみに、病院とセンター設置候補地については以下のとおりです。
医療機関名 | 最寄りの検査センター設置候補地 |
石川県立中央病院 | 石川県議会議場 |
金沢大学付属病院 | 小立野小学校 |
国立金沢医療センター | 紫錦台中学校 |
金沢赤十字病院 | 伏見台小学校 |
金沢市立病院 | 十一屋小学校 |
石川県済生会金沢病院 | いしかわ総合スポーツセンター |
重症者は入院、軽症者はホテルへ
現状の検査機器で実施する場合は、PCR検査センターで検体を採取し、民間検査会社に検体を持ち込み翌日に検査結果が出ます。
そして、入院が必要と判断された感染者は検査センターの最寄りの医療機関に入院し、軽症者は石川県指定の宿泊施設に隔離されることになります。
今後、短時間で陽性判定ができる検査キットが採用された場合は、検査センターで検査までを行ない、感染されている方はその場で入院か隔離かを判断するのが良いと思います。
保健所の増員か、通さないのか
現状、PCR検査を劇的に増加させる方法は2つあると思います。
ひとつは保健所の電話対応のオペレーターを5倍~10倍の規模で増員すること、もうひとつは、保健所を通さずにPCR検査ができる体制を構築することです。
先日、地元テレビ局で保健所の人たちが問い合わせの電話対応で手いっぱいになっている姿が報じられました。
保健所の人たちは感染者の濃厚接触者にコンタクトするという大切な業務も担っていること、さらに保健所の職員を増員することで感染リスクが高まることを考慮すると、PCR検査の問合せ業務から保健所を外す方が効率的なのではないでしょうか。
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新型コロナ収束までの局面は2つ
新型コロナ収束に向けての局面(フェーズ)は、次の2つに分けられると思います。
第1段階 感染者ランキングの上昇
第2段階 感染者ランキングの下降
今は第1段階です。いま求められているのは1人でも多くの感染者を見つけることです。石川県の職員の方は感染者数のランキングが上がることを怖れないでください。ランキングが上がることを恥ずかしいと思わないでください。
そして、私たち市民も、今はランキングが上がることを嘆く必要はありません。なぜなら、感染者ランクが上がることはPCR検査を促進していることの証しなのですから。
次に来るのが第2段階です。その時期が緊急事態宣言で指定されたの5月6日になるのか、それよりも遅くなるのかはわかりませんが、ある時点から感染者ランキングが下降することが民度となると思います。
感染者ランキングの下降は新規の感染者が出ていないこととイコールです。つまり、石川県民が自粛要請に自主的に従ってきたことの証明になるのです。
イタリア人と似ている金沢人
私は金沢で生まれ育ち、大学進学からの30年間を東京で暮らし、10年前にふるさとに帰ってきました。金沢と石川県を客観的に見る年月がありましたので、自分なりに故郷の良いところ、悪いところをわかっているつもりです。
石川県民の短所は危機意識が極めて低いことです。先の戦争では空爆を免れ、壊滅的な自然災害も経験していないことから、自分たちは大丈夫と安心しきっています。危機に直面した経験がないのです。
金沢はイタリア人に人気の街となりましたが、イタリア人と金沢人には共通点を感じます。ひとつは外観から入ること(笑)。もうひとつは超楽観的な性格です。イタリア人も金沢人も本当の命の危険に遭わないと回避行動をしないように思えます。
その意味で、金沢市が10万人当たりの感染者数で東京を上回り全国1位となり、特別警戒県に指定されたことで、少しは真剣になるのではないでしょうか。でも、正直なところ、私も含めてまだまだ危機意識が低いですよね。
私は、PCR検査の拡充によって感染者数を増やすことは、石川県民の危機意識を高める上でも効果があると考えています。
石川県の最優先課題は情報公開
新型コロナ騒動において、各都道府県で大きな差が出ているのが情報公開です。大阪府の吉村知事が積極的に府民に情報を開示している姿を見るとうらやましく思います。情報を公開するからこそ市民が協力するのです。
一方の石川県においては情報公開がなされていません。このように言うと「石川県も必要な情報公開を行なっている」反論されるかと思いますが、大阪府と比較すると、全く情報を出してくれないよね、と指摘したくなるレベルです。
風評被害や差別を心配するあまり、感染者や被害の出た店舗の情報公開に消極的になるのも分かります。
もしかすると、県の担当者は感染者の出たお店に店名を公表させて欲しいとお願いしているのかもしれません。しかし、お店から店名は出さないでくれと懇願されていたり、居丈高に出られて罵声を浴びせられているのかもしれません。
そのような状況であっても、情報は公開されなければなりません。なぜなら、今の日本では誰もが加害者になり得るからです。お店から感染者が出た場合は、少なからず風評被害に遭ってしまいます。それは致し方のないことです。しかし、
店名を公表する場合は、被害者としての風評被害になりますが、店名を公開しない場合は、加害者としての風評被害になるのです。新型コロナウィルスが収束した時、被害者としての風評被害の方が早く立ち直れることは明快に推測できます。
情報公開こそが民度です。
県職員は声を上げてください
私は石川県庁で働く方々にお願いしたいことがあります。それは、声を上げてくださいということです。
県民に向けて仕事をしてきた方たちであれば、さらなる感染拡大を危惧しているはずです。そして、自分なりに「こうすればいいのに」というアイデアを持っているはずです。所属部署は関係ありません。今は石川県のために声を上げてください。
石川県知事はまず県民に謝罪すべきと思っている職員も多いと思います。検査体制や軽症者の隔離体制をこういう風に改善すべきと考えている方も多いでしょう。
私たち石川県民の最大のウイークポイントは意見を言わないことです。アイデアを出してもいいのです。自分の言葉がどのように受け取られるのかを気にしなくてもいいのです。アイデアとは中身ではなく口に出して言うことに意味があるのです。
地元メディアは提案してください
新型コロナウィルスの感染拡大によって大きく顕在化したものがあります。それは、地元メディアのレベルの低さです。新聞・テレビの各社は石川県庁からの発表をそのまま報道するだけで、ジャーナリストとしての意見がありません。
例えば、テレビの報道番組や情報番組では、コロナ自粛によって困っている方が紹介されています。そのこと自体は良いのですが、困っている方を助けるための提案がなされていません。提案がないから行政が動かないのです。
おそらく、県庁の担当部署の職員からすれば、テレビ局が報道したことはこっちでも分かっている。わかっていてもでできないから悩んでいる。という感じでしょうね。それならば提案すればいいのです。提案しないから相手にされないのです。
私は東京で最初についた仕事が中央官庁の孫会社の広告代理店でした。だからよくわかります。外部の人たちが指摘することは「そんなことはわかってる!」ということが多いのです。わかっていてもやれない(やらない)のがお役所です。
ですから、地元メディアでジャーナリストとして仕事をしている方は提案をしてください。皆さんは、一般企業の社員に比べて遥かに高年収を得ているのですから、ジャーナリストの責任として提案をしてください。
民度が分かるのは差別の有無です
ここまで長々と述べてきましたが、今のような非常時に、その県の民度が一番よく分かるのは差別の有無です。私は人様に自慢できるように人生を送ってきたわけではありませんが、少なくともコロナ感染者とそのご家族を差別することはしません。
なぜなら、いつ、どこで、誰から感染したのかが分からないからです。自分可愛さの立場から言うと、いつ自分が差別される立場になってしまうか分からないから差別しないのです。
新型コロナの怖いところは、無症状の人が悪意なく他人に感染させることです。もしかすると、差別されている人は、差別している人から感染したのかもしれません。そして、差別している人は自分の免疫力で治ってしまったのかもしれません。
石川県を情報公開をすべきと述べましたが、感染者が出たお店としても、あるいは感染者の濃厚接触者としても、差別がなければ情報公開に同意するはずです。
中には、感染したあの人はこれまでデカい態度で私たちを馬鹿にしてきたのだから、差別されて当然だと言いたくなる例もあるかもしれませんね。でも、これまでの憂さ晴らしで差別すると、今回の騒動が収まると差別返しをされますよね。
そうなると、いつまでたっても差別の応酬になってしまうではないですか。
今、日本全国で、その土地の民度が試されています。一丸となって、コロナとの戦いに打ち勝っていきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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