金沢のお散歩コース#12
金沢で21世紀になってから観光地として整備されたのが、浅野川大橋の対角線上に位置する「ひがし茶屋街」と「主計町茶屋街」です。お時間に余裕のある時には、浅野川沿いをゆっくりとお散歩されるのもお奨めです。
蛇行しながら流れ「女川」と呼ばれる浅野川は、2人の偉大な作家・泉鏡花と徳田秋聲を生みました。
主計町茶屋街の裏手の下新町で生を受けたのが泉鏡花で、ひがし茶屋街寄りの川沿いに旧居跡があるのが徳田秋聲です。金沢市では、浅野川の主計町寄りの沿道を「鏡花のみち」、ひがし茶屋街寄りの沿道を「秋聲のみち」と名付けています。
陽光が燦々と降り注ぐ「秋聲のみち」とは対照的に、浅野川の南岸に位置する「鏡花のみち」は、建物の影に覆われる時間帯が長いことが特徴で、幻想文学で一世を風靡した鏡花の作風とマッチしています。
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天神橋は鏡花の『義血侠血』の舞台
鏡花のみちは天神橋がスタート地点で、下流に向かって梅ノ橋、浅野川大橋、中の橋と続きます。町名は天神橋~浅野川大橋が並木町、浅野川大橋~中の橋が主計町です。並木町も主計町も旧町名が復活した由緒ある町です。
主計町は茶屋街として知られていますが、並木町にも割烹料理店などの和食のお店があります。また、並木町の川沿いの一等地にはマンションが次々に建設され市内有数のマンションストリートとなりました。
並木町は川沿いの松並木にちなんで名付けられた町で、天神橋から梅ノ橋を過ぎるあたりまで、今も綺麗な松並木が続いています。
ご当地ソングも
梅ノ橋に向かって歩いていくと、1989年に発売されたご当地ソングである『友禅流し』の歌碑があります。この曲は牧村三枝子さんの歌唱により発表された楽曲で、当時はオリコンチャートのTOP100に56週間もランクインしました。
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鏡花ファン必見「滝の白糸像」
鏡花のみちが天神橋からスタートしているのは、天神橋が鏡花の出世作となった『義血侠血』の舞台となっているからです。
小説では、主人公である女水芸人の「瀧の白糸」が、橋の上に寝転がっている男性に近づいてみると、瀧の白糸が思いを寄せていた男性であったという場面が描かれています。
そのことを記念して、鏡花のみちには瀧の白糸の記念碑と主人公の水芸人の像が設置されています。説明版には「河は長く流れて向山の松風静に渡る処、天神橋の欄干に凭れて」という原作の一説が記されています。
2014年にオペラ『滝の白糸』が上演されたこともあって、文学ファンやオペラファンの女性が多く訪れています。
鏡花のみちの周辺スポット
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並木町から主計町茶屋街へ
鏡花のみちは浅野川大橋を過ぎると主計町茶屋街へと入って行きます。鏡花は主計町の隣町である下新町が生誕の地で、鏡花の生家跡地は泉鏡花記念館となっています。
主計町に入って少し行くと五木寛之氏の小説『浅の川暮色』の文学碑があります。若い頃に金沢で暮らした五木氏は、金沢を題材とした小説や随筆を数多く執筆していますが、この小説は1978年(昭和53年)に発表されました。
文学碑は小説の中で舞台となった太郎という鍋料理のお店の前に設置されています。
撮影スポット・中の橋
中の橋の前には主計町緑水苑と名付けられた緑地が整備されています。鏡花の『化鳥』の文学碑が設置されている他、休憩用のベンチやトイレがありますので、ここで一休みされるのもいいでしょう。
鏡花のみちは中の橋あたりで終わりを告げます。浅野川大橋のひとつ上流の梅ノ橋と、ひとつ下流の中の橋は、明治・大正の風情を残すレトロな雰囲気の橋で、木製の欄干が付けられています。
いずれも歩行者と自転車専用の橋ですので、車の往来を気にすることなく写真撮影ができます。「鏡花のみち」と「秋聲のみち」を行き来する際に利用されることをお薦めします。
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鏡花のみちの周辺スポット
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❶主計町茶屋街 | ❷泉鏡花記念館 | ❸金沢蓄音器館 | ❹金沢文芸館 | ❺大樋美術館 | ❻秋聲のみち | ❼徳田秋聲記念館 | ❽ひがし茶屋街
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素顔の金沢がある市民エリア
お散歩コース -19選-
金沢城のお堀は美しいお散歩コース
・百間堀-金沢城と兼六園の境界にあたる緑の散歩道
・白鳥路-金沢城に隣接する並木道は屋外美術館
・大手堀-江戸時代の金沢城の景観を残す桜並木
・いもり堀-金沢城公園で復元された第2のお堀
・黒門前緑地-通り抜けるミニ緑地は豪姫の住居跡
兼六園と21美の周辺は緑のオアシス
・いしかわ四高記念公園-赤レンガの校舎と木々の緑
・しいのき迎賓館-旧県庁の趣きを残す憩いの場
・アメリカ楓通り-金沢城公園と21美を結ぶ並木道
・広坂-中心街から緑のオアシスへの誘導路
・本多の森-緑のオアシスは森の都の文化エリア
・時が止まる散歩道「美術の小径」と「緑の小径」
文学にゆかりの散歩みち
・鏡花のみち-天神橋から主計町への浪漫の散歩道
・秋聲のみち-浅野川大橋から秋声記念館への並木道
・犀星のみち-犀川沿いの桜並木は文豪が愛した道
・W坂-犀川と寺町寺院群を結ぶ石段は「文学の坂」
ちょっと歩いてみたくなるストリート
・せせらぎ通り-用水沿いの飲食店街は欧風の街並み
・柿木畠-金沢市民に親しまれてきた飲食店街
・尾張町-古い建物が残る街並みは「オールド金沢」
・小立野通り-兼六園から石川県立図書館へと続く道
繁華街 -4選-
郊外のスポット -4選-
金沢港・大野・金石 | 湯涌温泉 | 卯辰山 | 金沢市民芸術村
主要な観光名所は8つ+金沢駅
金沢駅 | 兼六園 | 金沢城公園 | ひがし茶屋街 | にし茶屋街 | 主計町茶屋街 | 長町武家屋敷跡 | 金沢21世紀美術館 | 近江町市場
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