金沢への提言

北國新聞の社説は東京の人から笑われるだけ

2017年5月31日

2017年5月30日付の北國新聞の社説に、「新幹線の影響検証 ~金沢らしさの基本忘れずに~」と題された記事が掲載されていました。

当サイトでは、5月25日に「量より質?金沢はそのうち総スカンを食います」というタイトルで、金沢市の観光客に対する意識は間違っているという意見を述べましたが、北國新聞の社説も自惚れが滲み出ている内容でした。

もちろん、これは私の見解であって、必ずしも私が正しいということではありません。また、金沢は楽しい街ですよというコンセプトでサイトを運営しているのに、お堅い記事を載せるのもどうかという思いもあります。

しかしながら、東京の人がこの社説を読んだら大笑いするだろうなと感じましたので、あえて今一度、私の意見を述べさせていただきます。

金沢は自惚れで時代に遅れたのではないのか

北國新聞の社説の概略は以下のとおりです。

・金沢市は北陸新幹線の影響の検証を始め、庁内では宿泊税と民泊の対応を検討する。

・新幹線開業後は観光客の増加が経済に活力を生んだ。その一方で住民の生活に支障が出ている。何もしなければ取り返しがつかなくなる恐れがある。

・大事なのは、金沢の主役は観光客ではなく、住民であるという原点を確認することで、金沢らしさを大切にする。この基本を忘れなければ、進むべき道はおのずと見えてくるのではないか。

・金沢らしさの根底には、歴史を背景にした文化の厚みがある。緑と水が美しい城下町で育まれた趣きは、騒々しい大都市の活気とは一線を画している。質にこだわる気風は金沢の個性と言ってもいい。

・新幹線が金沢以西に延びると効果はさらに高まるだろう。ただし、目先の利益を追うだけの投資が増えるのは歓迎できない。

・金沢の魅力は文化が暮らしに息づいているところにある。市民が大切にしてきた本物の魅力を開業後の喧騒の中で消費してしまうわけにはいかない。新幹線効果を狙う事業者には自制が求められる。

・検証会議では、マイナス面で深刻な実態も浮かび上がっている。ひがし茶屋街(東山)や長町武家屋敷跡では、民家をのぞき見る外国人がいる。東山では、傘立てや郵便受けにゴミを捨てられた事例もある。

そして、社説は「手遅れになる前に対策を急がなければならない」と結んでいます。

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金沢を訪れる人はマナーが良い

まず、社説で触れられているマイナス面については、お迎えする側の対策不足です。

民家をのぞき見る外国人がいる点に関して言えば、海外、特に欧米からの観光客は、目の前の建物がお店なのか民家なのかが分からないから玄関の扉を開けるのです。

例えば、それぞれの建物の玄関に「Shop」か「Private House」の札を付けておけば解決する話しです。

ゴミのポイ捨てに関しては、ゴミ箱がないから捨てるのです。傘立てや郵便受けに捨てるということは、ゴミ箱があればゴミ箱に捨てるということです。少なくとも道路にポイ捨てはしていないということです。

外国人の方でしたら、傘立てをゴミ箱だと思ったのかもしれません。

私は、当サイトで金沢城公園にオープンした鶴の丸休憩館にゴミ箱が設置されていないことに疑問を呈しました。

金沢の街を歩いていると、空のペットボトルを持っている外国人をよく見かけます。もしかすると、ゴミ箱がないので仕方なく手に持っているのかもしれません。

それでも、ポイ捨てすることなくゴミ箱のあるところまで持ち歩いてくれています。

人が動けばゴミも出ますよ。

これまでは、ひがし茶屋街のある東山や長町は、ほとんど人通りがなかったのでゴミが出なかっただけです。人間は排泄する動物です。人がいれば汚いものが出るのは当たり前のことです。

傘立てにゴミを捨てられるくらいは笑い話のひとつです。市民生活が脅かされるほどの深刻な問題だとは私には思えません。

この社説を書いた人は、東京や大阪に行ったことがないのでしょうか。東京を訪れる観光客と比べて、金沢に来る観光客は遥かにマナーが良いですよ。

それでも我慢できないのであれば、観光客を呼ばなければ済む話です。

北國新聞では、少し前に、金沢は現在のホテル計画が完了すると、地方都市では超異例の客室1万室を超えると誇らしく書いていましたが、ホテルも誘致しなければいいでしょう。

金沢の主役は観光客ではなく住民という考え方は決して間違っていませんが、住民が主役というのであれば、必死に観光客を呼ぶのを止めれば良いじゃないですか。お招きするのであれば、お招きする人が主役です。

基本的に、金沢はゴミ箱が極端に少ない街です。北國新聞は、迷惑を受けている住民の話題よりも先に、ゴミ箱が少ないことを報じるべきではないですか。

観光客への気遣いは行っているのに

金沢だけが文化に厚みがあるとは自惚れ

「金沢らしさの根底には、歴史を背景にした文化の厚みがある」という記述には苦笑いしてしまいます。

金沢に文化の厚みなんてないですよ。文化の厚みがあれば尾張町にある古い家屋は全て残っていたはずです。尾張町を歯の抜けた櫛のような街並みにしておいて、何が文化の厚みですか。

本当に金沢に文化の厚みがあれば、現在の和服姿で街を歩くトレンドは、金沢の女性から生み出されているはずです。実際には、女性観光客が和服姿で楽しんでいるのを見て、ようやく金沢の女の子たちも和服を着るようになりました。

芸妓さんの世界でも、北陸新幹線の開業後にお披露目された8名の新花さんの中で、地元出身の方は2名だけです。金沢に文化の厚みがあるのであれば、地元の女性の中からもっと芸妓志望者が出ていたはずです。

仮に、金沢に歴史を背景とした文化の厚みがあるとしましょう。その場合は、全国の都市に、それぞれの歴史を背景とした文化の厚みがあるということになります。

何も金沢だけに文化の厚みがあるわけではありません。日本中の都市が、江戸時代から明治、大正、昭和と時代を積み重ねてきたわけですから、全ての都市に独自の文化がありますよ。

金沢の人たちは、自分たちの故郷を特別な街であると教わって育ちますが、そう思っているのは金沢の人だけです。

東京では、金沢県金沢市と思っている人がいます。男性は高校野球を見ますから県名と県庁所在地は言えるのですが、女性の方は「金沢って何県?」という人が結構います。

そのことは金沢の女性も同じでしょう。「仙台って何県か知ってる?」「松江は?高松は?松山は?」と聞かれて答えられない人も結構いると思います。

金沢から東京に出た人たちが一度は経験する屈辱は、金沢って金沢県でしょと言われることです。室生犀星や泉鏡花もほとんど知られていません。

東京で日本海側の都市に話題が振られることは滅多にありません。金沢も所詮は地方都市のひとつなのです。

そのような現状で、東京で何の話題にもならない金沢の文化を守ることに汲々とするのはやめませんか。東京から見ると滑稽なだけです。

北國新聞の社説は自惚れ以外の何ものでもありません。

そして、その自惚れが、江戸時代に江戸、大坂、京に次ぐ4番目の大都会だった金沢を衰退させてきたのです。北國新聞さん、金沢は自惚れと勘違いによって時代から取り残されてきたのではないですか。

今の金沢は、楽しい街になったからこそ観光客が増えたのです。ひがし茶屋街が金沢で随一の観光スポットとなったのも楽しいからです。

楽しさをサポートするために、ゴミ箱ぐらい置いてもいいじゃないですか。

まだまだ書き足りませんが、今日はこのあたりで。

楽しいから人が集まる「ひがし茶屋街」(カフェ波結)

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金沢観光ガイド 南 武志

観光客の方が「ひがし茶屋街」の最寄りのバス停に並ばれているのを見て、兼六園も近江町市場も歩いて10分なのに…と思ったことが、このサイトをはじめたキッカケでした。 金沢の街は歩いて回れます。自分だけの観光プランで城下町・金沢を満喫してください。

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