2026年3月27日付の北國新聞に、陶芸家・建築家の奈良祐希さんが手掛け、昨年の大阪・関西万博で展示されたオブジェが、しいのき迎賓館に設置されたという記事が掲載されていました。
万博の会期中から、石川県の地元メディアで紹介されていた作品で、記事には、能登半島地震からの復興への祈りを込め、手と手を合わせたようにも、地球のような球体に見えるデザインとなっていると記されていました。

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奈良さんから石川県に寄贈
オブジェ「Prayer Vessel (祈器)」は縦2.48m、幅2.15m、奥行き2.15m。国連に加盟する国の数と同じ196枚のアルミニウム版でできており、万博ではアメリカとフランスのパビリオン付近の「光の広場」で展示されました。
制作を担った金属加工会社のステンレスが万博終了後に保管していました。国内外から購入希望を受けましたが、奈良さんは地元で多くの人に見てほしいと、作品を石川県に寄贈しました。
設置場所はしいのき迎賓館の東側の緑地で、広坂交差点のそばです。設置作業を見守った奈良さんは北國新聞の取材に対して「(オブジェを見て) 能登に思いをはせて語り合ってほしい」とコメントしていました。

奈良祐希氏プロフィール
奈良祐希氏は、日本芸術院会員の11代・大樋長左衛門氏のご長男で、金沢では、見る人に強烈なインパクトを与える「鋭角」的なデザインが注目を集めています。素人も私から見ても、底知れぬ芸術センスを感じる方です。
奈良祐希氏の作品は、金沢の観光エリアですと、大樋美術館に隣接するギャラリーで見ることができます。以下に、奈良祐希氏の公式ホームページに掲載のプロフィールを転載させていただきます。
・1989年 金沢市に生まれる
・2013年 東京藝術大学美術学部建築科 卒業
・2016年 多治見市陶磁器意匠研究所 首席卒業
・2017年 東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻 首席卒業
・2018-2020年 株式会社北川原温建築都市研究所 勤務
・2021年 株式会社EARTHEN 設立

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作者名と作品名がありません
北國新聞の記事を見て、私も展示されたオブジェを見てきました。花が開く瞬間のようにも見える作品の谷間から、北國新聞本社が見えていることが印象的でした。
ひとつ気になったのは、作品の周囲のどこを探しても、作者名と作品名が記されていないことです。
これから、どこかのポジションに設置されるのかもしれませんが、もし、奈良さんの希望で、あえて作者名と作品名を出していないのでしたら素晴らしい理念ですね。

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地元の建築家による“一点もの”を
金沢は職人の街です。このことから、何事にも外観から入るという市民性があります。そして、一点ものが大好きという特性も持ち合わせています。金沢駅の鼓門も、金沢21世紀美術館も、鈴木大拙館も、石川県立図書館も一点ものです。
ただし、金沢市民にとって自慢の “一点もの” も、設計したのはすべて東京の建築家です。鼓門ともてなしドームは白江龍三氏、21美は妹島和世さんと西沢立衛さんのユニット・SANAA、鈴木大拙館は谷口吉生氏、県立図書館は仙田 満氏。
一昨年にお亡くなりになった谷口吉生氏は、金沢出身の偉大な建築家・谷口吉郎氏のご子息ということで、唯一、金沢と所縁のある方ですが、谷口氏以外の方は、石川県外で生まれ育った方でした。

地元の建築家による一点ものを
このような書き方をすると、とても排他的に受け取られるかもしれませんが、ステンドグラスの神社として知られる尾山神社は、金沢の人が設計したことを考えると、東京の建築家に頼っている現状に寂しさを感じます。
ぜひ、奈良祐希氏には、金沢市民が全国の人たちに自慢したくなるような建築作品やアート作品を生み出していただきたいものです。
奈良さんの作品には “鋭さ” を感じるのですよ。私は、何世代か前の金沢人には前衛的な “鋭さ” があったはずだと思っています。しかしながら、現代では、金沢の人たちは良い意味での “鋭さ” を内に秘めてしまったように感じています。
だからこそ、見る人に大きなインパクトを与える奈良祐希氏の才能に期待するのです。

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