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石川県立歴史博物館で作品の撮影解禁

2018年7月26日

2018年7月23日付の北國新聞に、赤レンガミュージアムの通称で知られる石川県立歴史博物館で、2019年度から展示作品の撮影が解禁されるという記事が掲載されていました。

県立歴史博物館では、2019年4月から「石川の歴史と文化」をテーマにした常設展示室で資料の撮影を許可します。これまでは撮影には申請が必要でしたが、案内映像や複製品、個人を特定できる史料などを除き、土器や甲冑、小文書などの大半を解禁する予定です。

歴史ファンの要望や小中学校の課外学習の撮影などに応じるためで、個人での使用に限り撮影を認め、インターネットでの拡散は現状禁止する考えです。

文化財の扱いが「保護」から「活用」へと変わる中、同館の学芸主幹の方は北國新聞の取材に対し「館の応援団たる愛好家の発言力に期待したい」とコメントしていました。

2019年度から常設展示の撮影がok

歴史博物館では2008年の同館のリニューアルから野々村仁清作の国宝「色絵雉香炉」の撮影を許可しています。欧米では撮影自由な美術館も多く、外国人観光客をはじめ「旅の記念になる」と好評です。

雉香炉は撮影対象が限定できる展示室にあります。複数の作品のある他の展示室では、原則、撮影を含めてスマートフォンは使用できません。

歴史博物館の館長は「古九谷などの館蔵品は許可しようという話しもあったが今のところは禁止している。だが今後、規制は緩やかになっていくだろう」と見ています。

晴れた日には赤レンガが陽光に照らされ綺麗です

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撮影okは全国的な傾向

一方で、すでに撮影を認めているミュージアムでは、意図せぬ苦労も起きています。課題は「鑑賞ではなく撮影を目的とした来場者」の存在です。

現代作家の作品を展示いる金沢21世紀美術館では、多くの作品が著作権の問題で撮影できませんが、目玉作品のひとつ『スイミング・プール』は作者のレアンドロ・エルリッヒ氏の意向により撮影が許可されています。

しかし、写真撮影のために展示空間を「独占」する順番待ちの行列ができることもあり、混雑を助長しています。

作品は季節や時間によって変わる光や、内部で生まれる対話を楽しんでもらうのが主眼ですが、撮影に夢中で作品を味わうことなく帰る鑑賞者も少なくありません。21美の広報室長は「撮影したい気持ちもわかるが、作品の記憶を持って帰ってほしい」とコメントしています。

各ミュージアムでは、撮影や利用の条件を場内で周知しますが、個々が撮影した画像の扱いは「追跡するには限界があり止められない」と言い、鑑賞者の良識に任せるしかないのが現状とのことです。

2020年の東京五輪に向けて、全国的には撮影を解禁する流れにあります。一方で「じっくり静かに鑑賞したい」というニーズは根強いものがあります。「シャッター音が不快だ」と苦情が出ることもあり、施設にとり、どこまで解禁を進めるかは検討課題となっています。

歴史博物館(赤レンガミュージアム)の休憩所

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撮影okとSNSでの拡散okはセット

石川県立歴史博物館は、いしかわ赤レンガミュージアムの3つの赤レンガ棟の2つを占めるミュージアムで、兼六園の随身坂口から近い本多の森に位置しています。

入館料は一般が300円、大学生と65歳以上が240円で高校生以下は無料です。

このミュージアムの外観は絶好のインスタ映えスポットで、外観を見るだけでも立ち寄る価値があります。また、本多の森から「美術の小径」と「緑の小径」を歩いて鈴木大拙館へと出るルートはお薦めです。

さて、歴史博物館が常設展示に限るとはいえ撮影okとなるのは良い傾向だと思います。

インターネットが発達し、多くの情報が無料で手に入るようになった今の時代に、撮影を禁止することで、PRの機会を自ら手放してしまうのは何とも勿体ないことですよね。

今回の歴史博物館はインターネットでの拡散は禁止する方針とのことですが、せっかく撮影を解禁するなら、とことん解禁しなければ、来館者へのサービスという意義が薄れてしまうと思います。

そして、インターネットでの拡散も認める中で、商用利用を見つけた際には、そのサイトを運営している企業や個人に対して著作権料を請求すればいいのです。

歴史博物館は本多の森に佇んでいます

時代に逆行する21世紀美術館

実は、北國新聞の記事で触れられていた金沢21世紀美術館は、時代の流れに逆行しています。

前の館長が在任していた2017年3月までは、基本的に撮影okで、一部の展示室に「撮影禁止」の掲示がされていました。それが、新しい館長が就任した2017年4月以降は、基本的に撮影不可で、撮影okの展示室が1つか2つあるだけとなってしまいました。

記事では、21美で最も人気のある「レアンドロのプール」が、作者のご好意により撮影okであることが紹介されていました。

作者のレアンドロさんは、21美のプールの写真が広く拡散されたことで知名度が上がり、他の都市でも特別展を開催しています。また、開催都市の人たちも、21美のプールの知名度で展覧会に足を運んでいるようです。

私は、インターネットでの拡散を望むアーティストの方が多いのではないかと考えていますが、いかがでしょうか。

21美はSNSによって人気美術館となったはずなのに

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