2020年2月25日付の北國新聞に、金沢の奥座敷・湯涌温泉の冬の風物詩「氷室の雪入れ」で、氷室に貯蔵する雪がゼロになったという記事が掲載されていました。
氷室の雪入れは、江戸時代の加賀藩が、冬場に氷室小屋に貯蔵した雪氷を、夏場に江戸の将軍家に献上した風習を再現した恒例行事で、1月の「氷室の仕込み」と、6月の「氷室開き」は地元メディアで大きく報じられます。
例年、氷室の仕込みでは1m以上の雪が積もる中、玉泉湖の湖畔にある氷室小屋に湯涌温泉観光協会の関係者や一般参加者が雪を詰める様子が見られますが、1月26日に行われた行事では積雪ゼロの状態でした。
このことから、当日は、関係者が空っぽの小屋へ雪をかき入れる仕草をする異例の仕込みとなりました。2月上旬には約30cmの積雪があったものの量が足りなかったため、観光協会では雪詰め作業を断念しました。
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暖冬の影響。復活から35年目で初めて
小屋に貯蔵する代わりに小屋周辺の雪を発泡スチロールの箱に小分けして計2トンを入れ、近江町市場冷蔵庫協同組合で貯蔵してもらうことになりました。6月の氷室開きでは、近江町市場に貯蔵した雪を使用するとのことです。
観光協会の会長さんは、「金沢の風物詩として定着してきたので、雪を保存する場所を変えても行事は継続したい」とコメントしていました。
なお、「氷室の仕込み」と「氷室開き」は、1986年に湯涌温泉観光協会が復活させたものです。今回で35回目となりますが、雪入れがゼロになったのは初めてのことです。
金沢は雪かきなく冬が終わりそうです
今回の冬は全国的に記録的な暖冬になりました。金沢も例外ではなく、今年の冬はほとんど雪が降りませんでした。まもなく3月を迎えますので、雪に関してはこのまま逃げ切れそうな雰囲気です。
観光で金沢へお越しの方の中には、雪のない金沢を残念に思われる方も多いようです。地元民のひとりとしては、スキー場関係の方には申し訳ないのですが、雪は降らないに越したことはありません。
地元の人たちの間で「金沢の奥座敷」として知られる湯涌温泉では、観光客の増加に向けていろいろな施策を行なっています。そのひとつが今回ご紹介する氷室の雪入れです。
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前田家から徳川家への気遣い
かつての加賀藩は、前田家の存続のため、江戸の将軍家に気を遣い過ぎるほど気を遣いました。そのひとつが、毎年夏に加賀の氷を将軍家に献上したことでした。
冬の間に貯蔵した雪を夏の時期に取り出し、江戸まで溶けないように運ぶのは大変な作業だったと思います。私が小学生の頃に聞いた話しでは、金沢で詰め込んだ氷は、当然のことながら、江戸に着く頃には溶けてかなり小さくなっていたそうです。
さて、金沢に旅行される方の中には、ゆっくりと温泉に浸かりたいという方も結構いらっしゃいますが、福井県に近い加賀温泉郷や、能登半島の和倉温泉に宿を取ると、金沢へ出るまでが大変です。
金沢の近場で温泉宿をお探しの方は、湯涌温泉を候補に入れてはいかがでしょうか。山間のしっとりとした温泉地です。
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