2018年3月4日付の北國新聞に、当サイトでも何度かご案内した「金沢三文豪×文豪とアルケミスト」スタンプラリーが始まったという記事が掲載されていました。
このイベントは、金沢の三文豪が登場し、若い女性を中心に人気が広がっているオンラインゲーム「文豪とアルケミスト」と、三文豪の記念館とのコラボレーション企画として行なわれるものです。
徳田秋聲記念館を出発点に、泉鏡花記念館、室生犀星記念館を回り3つのスタンプをすべて集めると、限定のポストカードとゲーム内アイテムが進呈されます。
スタンプラリーは金沢市と金沢市文化振興財団が主催し、3月31日まで行われる予定です。
見出しは「三文豪女子」金沢に集結
記事によると、スタート地点となった東山1丁目の徳田秋聲記念館では、午前9時30分の開館前から行列ができ、ラリーの参加に必要な、三文豪がデザインされた限定1DAYパスポートが200枚以上売れたとのことです。
徳田秋聲記念館は年間の入館者数が約1万人で、1日平均で30人ほどの静かな館内が、この日は一転、女性の熱気であふれました。
担当者によると、午前中の来館者はほとんどがスタンプラリーの参加者で、3月4日(日)の朝にも多くの来館者が見込まれることから、通常よりスタッフを増やして対応するそうです。
東京在住で、ゲームを縁にツイッターで知り合った石川県の友人と参加した25歳の女性は、「どうしても初日に回りたくて夜行バスできました。きょう泊まって、明日また夜行バスで帰ります」とコメントしていました。
地元のファンも初めての企画を楽しんでいました。
友人と2人で参加した石川県内の女子学生は、文豪同士の掛け合いを楽しめるのがゲームの面白さと紹介し、「泉鏡花記念館に来るのは初めて。文豪の書簡など、ゲームのネタ元が分かって楽しかった」と笑顔を見せていたそうです。
紙面には、泉鏡花記念館の前庭に設置されている「鏡花父子像」を見つめる女性ファンの写真が掲載されていました。
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金沢にはオタッキーな素養があります
文アルとのコラボ企画が始まりましたね。スタンプラリーの参加者に満足いただける内容になっているといいですね。
北國新聞の記事の中に、徳田秋聲記念館の1日あたりの入館者が30人程度とありましたが、私が平日に何度か訪れた時も、入館者が私ともう1組という感じでした。
浅野川の対岸にある泉鏡花記念館には間断なく来館者が訪れているのとは対照的で、秋聲さんがちょっと可哀想に思えていたのですが、大勢のファンが訪れてくれてよかったなと思います。
金沢の三文豪では、室生犀星は国語の教科書に出てきますし、毎年秋には泉鏡花文学賞のニュースが地元メディアを賑わしますので、犀星と鏡花については金沢の人に結構知られているのですが、秋聲はあまり知名度がありません。
というのは、秋聲の作風が男と女の愛憎劇を描いたものだからです。
女と別れたいと思いながらも決断ができずズルズルと時間を浪費していく男と、本音では男と別れたいのにもう少し付き合っていた方が得だと考える女、このような作風ですので教科書に載ることはありません。
徳田秋聲は、恋愛小説で人気を博した流行作家でした。流行作家は時代の流れとともに忘れられてしまいます。
残念ながら、徳田秋聲記念館は三文豪の記念館の中では最も来館者が少ないのですが、記念館の名誉のために付け加えると、常設展示は金沢のミュージアムの中でもトップ3に入るほどの出来栄えです。
学芸員の方の秋聲への思いが伝わってくるようです。
さて、今回の文アルコラボについては、いかにも金沢らしい企画だという気がします。金沢の人にはオタッキーな素養があるのです。
金沢は職人の街です。その代わり商売は悲しくなるほど下手です。
職人と呼ばれる人たちは「こだわり」の強い人たちですよね。つまり優れた職人は皆オタッキーです。明治維新以降の150年間は、つまらないこだわりが足枷となって、金沢は時代の波に取り残されてきたのかもしれません。
21世紀に入って、ようやく金沢に時代の波が来たように思えます。つまり、日本の社会自体が、お金儲けよりもこだわりが重視される社会になってきたのです。
これからスタンプラリーで訪れる方には、金沢のこだわりを感じていただければと思います。
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