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文化のまちに託す、金沢蓄音器館に寄贈続々

2016年7月11日

2016年7月11日付の北國新聞に、金沢蓄音器館に全国各地の蓄音器やレコードの愛好家から、所有のコレクションが次々に寄贈されているという記事が掲載されていました。

記事では、高齢化の進む「レコード世代」が、思い入れのある収集品を後世に残すことで社会貢献に役立てたいという思いから、寄贈先に文化水準の高い金沢を選んでいるとみられると記されています。

現在、金沢蓄音器館では蓄音器約600台とSPレコード約3万枚を所蔵しています。八日市屋典之館長によると、高級な蓄音器を愛用した著名人の遺族らから「大切にしていたものを捨てるのはしのびない。文化レベルの高い金沢で、多くの人に役立ててほしい」との相談を受けることが多いそうです。

橋場交差点の手前にある斬新かつレトロなデザイン

貴重な品々が続々と寄贈される好循環

記事によると、2016年に音楽文化研究家の長田暁二さん(86)から同館にレコード約2,000枚が贈られました。寄贈されたコレクションは、戦前にハワイで日本人向けに生産された珍しい蓄音器の他、当時の蓄音器の製造年やメーカーを記した資料も含まれ、金沢市は長田さんに感謝状を贈ったとのことです。

長田さんは寄贈を決めた理由について、「これまで音楽解説イベントなどで金沢蓄音器館との交流が深く、文化的な風土にもほれ込んだ」と語っています。

また、福島県のコレクターからは、米国の発明家トーマス・エジソンの大型蓄音器が届けられました。大正初期の製造とみられ、表面の意匠に彫刻を施した逸品だということです。

この他にも、金沢蓄音器館では前田家17代目当主の前田利建氏が愛用した蓄音器や、電機メーカー「ソニー」創業者の盛田昭夫氏のリードオルガンなども寄贈されています。

金沢蓄音器館では、希少価値や修復の可能性を判断したうえで引き取っています。八日市屋館長は、「送られてくるレコードや蓄音器の中に必ず宝が紛れ込んでいる。寄贈していただいた人の思いを大切にして、後世に残すことが館の使命と思っている」とコメントしています。

寄贈しても良いと思えるようなハイセンスな内装

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館長の聴き比べ解説はほのぼの

金沢蓄音器館は2001年(平成13年)にオープンした記念館で、歴史的価値のある蓄音器をはじめ、SPレコードのジャケットが展示されています。

オープンに際しては、八日市屋家が所有してきた蓄音器540台、SPレコード約2万枚のコレクションが金沢市に寄贈されました。八日市屋家と聞いても、金沢の人たちにおいては「えっ、なに家?」という人が多いと思いますが、山蓄の創業家と聞くと即座に理解することでしょう。

2009年に営業を終えた山蓄は金沢で最も親しまれていたレコード店で、山蓄の香林坊本店は金沢の若者たちの憧れのお店でした。

当然のことですが、レコードはどのお店で買っても同じ曲が同じように収録されていますが、山蓄で買うレコードは他のレコード店とは違う、という感覚で香林坊本店に入って行ったものです。山蓄の濃紺の商品袋からは、購入した人の「私は音楽センスに優れている」という自負心が漂っていました。

私が高校時代を過ごした1970年代後半には、「YAMACHIKU」の商品袋を小脇に抱えて、自慢げに香林坊から片町、竪町を歩く若者の姿が多く見られました。中でもLP版の大きな商品袋は間違いなく金沢の若者にとってのステータスでした。

かさばるLP版のレコードは最後に買えばよいものを、最初にLPレコードを買って、次の買い物に行く人もいたくらいです。

「山蓄コレクション」によって開館した金沢蓄音器館では、毎日11時、14時、16時に行なわれている蓄音器の聴き比べ実演が観光客の方々に大好評です。特に好評なのは、八日市屋館長による解説です。

仕事というよりも、館長自らが音を楽しんでいるという思いが伝わってきて、実演中は来館者の笑い声が聞こえるなど、とてもアットホームな雰囲気です。

蓄音器の聴き比べ実演会が行なわれるフロア

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金沢観光ガイド 南 武志

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