石川県立美術館の見どころ-21美の街に佇む正統派の美術館

金沢の美術館・記念館#2

日本三名園のひとつに数えられる兼六園の周辺は、美術館、博物館、記念館が集まるミュージアム・エリアです。そして、中心的な存在となっているのが石川県立美術館です。

兼六園の真弓坂口の右手にある広坂を上り切ったところに位置し、威容を感じさせるシンプルかつ重厚な外観で本多の森に佇んでいます。兼六園から行かれる場合は、随身坂口を出て真っすぐに下ると建物が見えてきます。

石川県立美術館は1959年(昭和34年)に開館しました。石川県にゆかりのある作品を中心に収集展示する美術館で、地方の県立美術館としては最も早い時期に建設された美術館のひとつです。

開館当時は現在のいしかわ生活工芸ミュージアムの場所にありましたが、1983年(昭和58年)に現在の場所に移りました。

重厚な雰囲気を醸し出すロビー
石川県立美術館の展覧会
・企画展「食を彩る工芸」(11/9日~12/8)
・コレクション展



県美は正統派の美術館

広坂の坂下にある金沢21世紀美術館が、市民が気軽に立ち寄ることのできる憩いの場を創出しているのに対して、石川県立美術館は、洗練された高級感を漂わせる正統派の “美術館” といった雰囲気です。

21世紀美術館では展示室でおしゃべりをしても注意されることはないのですが、県立美術館の展示室では静かに鑑賞することを求められます。また、訪れる人の服装も、カジュアルな21美に対して、フォーマルな県美といった感じです。

敷地の周囲にはハイセンスな緑地も

国宝が撮影可能です

所蔵作品では、野々村仁清作の『色絵雉香炉(いろえきじこうろ)』が国宝に指定されている他、6つの作品が国の重要文化財です。また、石川県にゆかりの作家やご遺族からの寄贈も多く、新たな収蔵品を展示する展覧会が定期的に行われています。

国宝の『色絵雉香炉』は撮影が許可されています。

国宝の色絵雉香炉 (右の作品)

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建物の1階には女性に人気のカフェ

金沢で暮らす女性の中には「県立美術館の建物の中には入ったことがあるけれど、展示室に入ったことはない」という人が結構います。その女性たちが訪れるのは、1階ロビーの奥にあるカフェ『ル ミュゼ ドゥ アッシュ KANAZAWA』です。

同店は石川県の和倉温泉出身のパティシエ・辻口博啓氏がプロデュースしたカフェで、辻口ブランドのスイーツを味わうことができる他、カフェの窓からは本多の森の自然が一望できるなど、とても贅沢な雰囲気です。

このカフェの推奨ポイントのひとつが、ガラス窓越しに調理現場を見学できることです。お洒落なスイーツはひとつの芸術作品です。パティシエの手さばきをアート鑑賞のような感覚で眺めるのもいいでしょう。

パティシエの技能はまさにアートです

第1月曜日は無料観覧日

石川県立美術館の観覧料は、2階のコレクション展は一般が370円、大学生と65歳以上が290円で高校生以下は無料です。

また、コレクション展は毎月第1月曜日が無料観覧日となっています。1階の特別展については展覧会によって料金が異なりますが、だいたい800~1,000円ほどと見ておけば良いかと思います。

開館時間は午前9時30分から午後6時(入館は午後5時30分)までで、展示替え期間として1ヶ月で3日間の休館日があります。カフェは年中無休です。写真撮影については、石川県立美術館の所蔵作品のみ撮影可能です。

受付の横にはミュージアムショップが

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本館の周囲は絶好のお散歩コース

石川県立美術館のある本多の森は、加賀藩の筆頭藩士で5万石の禄高を誇った本多家の屋敷跡を整備した緑地で、上屋敷のあった小立野台地から、下屋敷のあった平地へと降りていく断崖には、街中と思えないほどの自然が残されています。

断崖には辰巳用水から水路が引かれ、その水が滝となって滑り落ちていきます。静寂の森に響く滝の水音が心を癒してくれるようです。滝と並行して「美術の小径」と名付けられた長い石段が設けられています。

高所恐怖症の人には怖いくらいの急勾配ですが、この石段を下り切ったところには金沢市立中村記念美術館があり、さらに「緑の小径」を歩いていくと鈴木大拙館の「水鏡の庭」に出ます。

このあたりは人通りも少なく、自然がお好きな方にとっては最高の散策ルートです。

美術館の裏手の遊歩道。右手にはガラス張りのカフェ

文化財修復工房

石川県立美術館の本館の隣には同美術館の広坂別館があります。

広坂別館に隣接して設けられているのが「石川県文化財保存修復工房」です。この施設は年月とともに劣化していく文化財を修復する施設で、東京にある同様の施設よりも大きな規模の工房です。

施設内は無料で見学することができますので、お時間に余裕のある時には立ち寄られるのもお薦めです。運が良ければ実際の修復作業を見ることができます。

広坂別館の館内は無料で見学できます

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隠れた人気スポット・文化財保存修復工房

利用案内

石川県立美術館
いしかわけんりつびじゅつかん
住所:金沢市出羽町2-1
TEL076-231-7580
料金:一般 370円、大学生と65歳以上 290円、高校生以下は無料
時間:午前9時30分~午後6時(入館は午後5時30分まで)
休館:1ヶ月に3日間の休館日 ※カフェは年中無休
撮影:石川県立美術館の所蔵作品のみOK
石川県立美術館ホームページ

最寄りのバス停
・金沢周遊バス、路線バス「広坂・21世紀美術館」徒歩5~6分
最寄りの観光名所
・兼六園(随身坂口)から徒歩2分
行き方の参考ページ
兼六園への行き方

Guide
兼六園・金沢城周辺の16施設の共通券「文化の森おでかけパス」

石川県立美術館の周辺スポット

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金沢観光ガイド 南 武志

観光客の方が「ひがし茶屋街」の最寄りのバス停に並ばれているのを見て、兼六園も近江町市場も歩いて10分なのに…と思ったことが、このサイトをはじめたキッカケでした。 金沢の街は歩いて回れます。自分だけの観光プランで城下町・金沢を満喫してください。

2016年5月16日