国立工芸館が金沢の本多の森にオープン

名誉館長に中田英寿さん

日本海側で初めての国立のミュージアム・国立工芸館が2020年10月25日に金沢にオープンしました。

国立工芸館が建設されたのは金沢の文化エリアである本多の森で、兼六園とは道路を挟んでお向かいさんというロケーションにある他、金沢21世紀美術館からも徒歩7分ほどの距離です。

10月25日付の北國新聞では、1面トップでオープン前日に行われた開館記念式典の記事が掲載されていました。

式典では名誉館長の中田英寿さんの挨拶があり、中田さんは「10年ほど全国の工芸産地や作家を訪ね、工芸が非常に好きになった。開館に立ち会えるのは本当に光栄だ」と喜びを口にしました。

また、中田さんは全国行脚を通じて工芸界の苦境も見たとし「大きな問題は作家や産地と消費者が離れたこと。その距離を縮めていくため、工芸館の役割は重要であり、そうした企画を発信できるよう勧めたい」とコメントしました。

国立工芸館は本多の森に佇んでいます

国立工芸館の正式名称は東京国立近代美術館工芸館で、国は石川県の提案を受けて2016年3月に移転を決定しました。石川県と金沢市は旧陸軍第九師団司令部庁舎と金沢偕行社を移築、復元し、今年の4月5日に竣工しました。

日本芸術院会員と人間国宝の作品約1,400点を含む約1,900点が東京から金沢に移されます。開館日は当初7月15日を軸に調整していましたが、新型コロナウィルスの影響を受けて約3か月遅れの開館となりました。

10月25日から来年1月11日は、石川移転開館記念展Ⅰ「巧の芸術 素材・わざ・風土」が開催され、近代日本工芸の名作約130点が展示されます。

なお、新型コロナ感染防止対策として、当面は定員を設けたオンライン事前予約制となります。

金沢駅・もてなしドームにも工芸館の垂れ幕



平日なら当日券で入れそうです

国立工芸館への入館については、三密を避けるため、入館時間を9時30分から16時30分まで1時間単位で区切り、各時間帯で入場制限を行います。そして、オンライン予約がメインとなっています。

ただし、高齢の工芸ファンの中にはオンライン予約ができない環境の人もいることから、当日券も若干用意されています。

私はオープン2日目の10月26日(月)にオンライン予約をして入館しましたが、当日券で入っている人が結構いました。係員によると、あらかじめ用意されている若干枚にオンラインで残った枚数を加えて販売していますとのこと。

参考までに、オープン最初の土曜日となる10月31日の予約状況をお知らせいたします。

10/31(土)の予約状況 ※10/28の11時現在

①9:30(残り29枚)
②10:30(〃15枚)
③11:30(〃40枚)
④12:30(〃70枚)
⑤13:30(〃24枚)
⑥14:30(〃41枚)
⑦15:30(〃41枚)
⑧16:30(〃45枚)

オンライン予約がわかりにくい

ご覧いただいてお分かりのとおり、オープン直後の週末にもかかわらず、オンラインチケットにはまだまだ余裕があります。金沢で暮らす者にとってはかなりショックな実情と言えます(笑)。

名誉館長の中田さんがおっしゃっているとおり、作家や産地と消費者が離れたことで、工芸そのものに興味のある人が少ないという見方もできますが、オンライン予約のやり方がわかりにくいのも事実です。

まず、オンライン予約のページにたどり着くまでに手間がかかります。また、予約フォームの電話番号の記入欄では、自宅の固定電話の番号しか入力できないかのような説明がなされています。

どうしても国立工芸館に行きたい方は、何とか予約フォームにたどり着いて予約するでしょうけど、絶対に行きたいという思いのない方は予約フォームから離れていくのではないかと心配になるような作りです。

チケットには余裕があるようです



想像以上に面白いが、入れる建物はひとつだけ

展示自体は、私が想像していたよりも面白い見せ方をしていました。多くのミュージアムでは壁際に展示ケースが設けられ作品を後ろから見ることができないのですが、国立工芸館では展示作品を後ろから見える展示ケースもあります。

また、随所に大型のタッチパネルがあり、中には画面をスワイプすると作品の裏側が見られるタッチパネルもあります。

より知りたい方はタッチパネルが説明版

何よりも嬉しいのは展示作品を撮影できることです。ただし、作品に悪影響を与えることからフラッシュ撮影は禁止されています。まさか国立の美術館で作品の写真撮影がokになっているとは思いませんでした。

話しは逸れますが、金沢21世紀美術館も、前の館長の時代は撮影禁止のマークのある作品以外は撮影okでした。しかし、新しい館長になってからは作品の撮影が原則禁止になりました。21美にも国立工芸館を見習ってほしいものです。

作品のレイアウトは想像以上にお洒落です

館内の展示作品は、人間国宝の高名な作品だけではありません。2階には若手作家の作品を紹介するコーナーもあり、日本の工芸会を盛り上げていこうという意図を感じます。

また、会場には複数のQRコードがあり、スマホで読み取ると作品の詳しい説明が見られるなど、作家と一般の人たちとの垣根をできる限り低くしようという施策も見られます。

若手作家の作品紹介コーナー

金沢偕行社は事務所スペースで入館禁止

国立工芸館では、とてもがっかりしたこともありました。それは、展示室が旧第九師団司令部庁舎のみで、金沢偕行社は事務所スペースとなっており立ち入り禁止になっていることです。

係員の話しでは、今後も作品展示は第九師団庁舎のみとのことで、金沢偕行社については多目的ホールで催しがある時のみ入館できるかもしれないとのことです。建物が2つあるにもかかわらず、1つだけしか入ることができないのです。

このことには大いに失望しました。私は工事中に何度も建設現場の前を通り、白を基調とした第九師団司令部庁舎と、緑のラインの金沢偕行社の建物を連絡通路で行き来しながら鑑賞できれば楽しいだろうなと思っていました。

そして、2つの建物が全て展示室になるのならスペースとして十分だと思っていました。1つの建物だけですと、はっきり言って展示スペースは少ないです。国立工芸館を楽しみに金沢を訪れる方に申し訳ない思いです。

来館者が入れるのは手前の白い建物だけ

次の期待は全国で7番目の国立美術館

国立工芸館の正式名称は東京国立近代美術館工芸館で、国立工芸館の館長は、東京国立近代美術館では工芸課の課長という役職です。このことから、どこまで石川県の色を出していけるのかが少し不安です。

近い将来の方向性として、石川県にとってベストなのは工芸館が東京国立近代美術館から独立することです。

もちろん、国立工芸館という正式名称で独立するのもありですが、正式名称が「いしかわ国立工芸館」「金沢国立工芸館」「国立工芸館 at 金沢, 石川」などになるとさらにベストでしょうね。

現在、独立行政法人国立美術館には6つの国立美術館があります。

東京国立近代美術館
京都国立近代美術館
国立西洋美術館(東京)
国立国際美術館(大阪)
国立映画アーカイブ(東京)
国立新美術館(東京)

国立工芸館が東京国立近代美術館から独立するためには、1つの建物にしか展示室がない現状は致命的だと思います。来館者にちょっと物足りないという印象を与えてしまっては、東京の一部署に甘んじるのも仕方がないでしょう。

ぜひ、事務所棟を別に建設してほしいものです。

2階への階段は明治31年当時の趣きです

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