2017年11月26日付の北國新聞の一面トップは “金沢城公園『石垣回廊』完成へ” でした。
記事の内容は、金沢城公園の西側で石垣景観の整備を進めている石川県が、都市計画公園区域に唯一残っていた民有地の金沢中央ビルディング跡地を、取得する方針を固めたというものです。
ビルが解体された跡地に新しい建築物を建てずに緑地化することで、ビルの背後にあった石垣が通りから常時見えるようになります。2021年度までに隣接する丸の内園地と一体的に整え、石川門からビル跡地まで約840mの「石垣回廊」を完成させるとのことです。
記事では、石垣回廊が完成すれば、いもり堀から丸の内園地へと連なる金沢城公園西側の景観が一変し、「石垣の博物館」と称される金沢城の史跡的価値と魅力の向上につながると紹介されていました。
さらに尾山神社や長町武家屋敷跡へ延びる新たな観光周遊ルートが期待されます。
城壁沿いのビル跡地を石川県が取得方針
1962年(昭和37年)に建設されたビルは、老朽化に伴い2017年5月に解体が始まりました。既に建物は撤去され、約40m区間の石垣が見えるようになりました。
石川県は所有する金沢中央ビルディングから、工事完了後に跡地約1,700平方メートルを購入する予定で、取得費は約2億6,000万円を見込んでいます。
ビルが解体されるまでは、石川門から丸の内園地までは石垣が連なる様子が見て回れましたが、その先にある金沢商工会議所の向かい側のビルがあった場所は、石垣を見ることができませんでした。
石川県は金沢城公園の西側で2010年にいもり堀を復元して水を張り、2015年には玉泉院丸庭園を復元し、旧県営丸の内駐車場を丸の内園地として整備しました。現在は、鼠多門と鼠多門橋の復元が進んでいます。
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歩行者も少なく絶好のお散歩コース
この記事にある金沢中央ビルディング跡地は、尾崎神社と尾山神社の中間に位置しています。
跡地の前の通りは、かつてのお堀を埋め立てた「お堀通り」にあたり、金沢商工会議所会館や大谷廟所といった広い敷地を持つ建物が続きます。
金沢城公園~兼六園~金沢21世紀美術館と結ぶ、今日の金沢観光のメインルートから少し外れていることから、このページのトップ写真のとおり、普段は人通りも少なくとても閑静なお散歩コースです。
地元の人だけではなく、日本人の観光客の皆さんもほとんど歩くことのない通りですが、欧米から観光で訪れる方は忠実に金沢の史跡をめぐっているようで、道行く人を見ると欧米系の人の割合がとても高くなっています。
3年後には素晴らしい景観に
私は金沢中央ビルディングが石垣を隠していたという感覚はなかったのですが、北國新聞の記事を読むと、あのビルがなくなれば石垣がずっと続くという感覚はよく分かります。
この通りは、現在、鼠多門と鼠多門橋の復元工事が行われており、壮大な石垣が続く景観を目にするのは東京オリンピックの前後になりそうです。あと3年、じっくりと待ちましょう。
さて、北國新聞の記事にもあるとおり、金沢城は「石垣の博物館」とも称されています。藩政期には大地震で石垣が崩れたことがあり、その都度、その当時の最新技術を駆使して復旧してきたことで、各時代の石垣構築の技術を見ることができます。
なお、いもり堀沿いの遊歩道と、城内の鶴の丸休憩館の前には石垣が展示され、それぞれの時代における石垣構築の技術が紹介されています。
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