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隠れた人気スポット・文化財保存修復工房

2019年12月6日

2019年12月5日付の北國新聞に、石川県文化財保存修復工房の入館者の記事が掲載されていました。記事によると、修復工房の今年度の入館者数が11月末時点で29,444人となり、2016年度のリニューアル以降、過去最多のペースで推移しています。

修復作業の常時公開を目当てに足を運ぶ団体客が増えているためで、外国人観光客からも人気が高まっています。石川県では、自治体が運営する国内唯一の修復施設を引き続きアピールし、さらなる認知度の向上につなげていきたいとのことです。

文化財保存修復工房は2016年4月の移転改修で作業スペースが確保され、文化財を修復する様子を常時見学できるようになりました。

これまで国宝や重要文化財を含む500点以上を修復し、東京、京都の国立博物館や、米国のメトロポリタン、ボストンの有名美術館からも関係者が視察に訪れています。

外観に格子を施して金沢らしさを演出



地元からの団体鑑賞が増加の一因

昨年度(2018年)の入館者数は過去最多の33,365人を数えました。今年11月時点の入館者数は、前年同月比で3,822人(14.9%増)多くなっています。

修復工房で江戸時代の帳面づくりなどのイベントを数多く企画したところ、地域の女性グループや地元大学生の団体鑑賞が続いたことが、入館者数の増加の大きな要因となりました。

また、修復工房には2017年6月に当時の皇太子さまが、昨年11月に秋篠宮さま、今年7月に秋篠宮妃紀子さまがそれぞれ視察されました。紙面では、皇族方が視察されたことによって、修復工房の全国的な知名度が高まったことも入館者増に繋がったと分析しています。

石川県の修復工房で請け負うのは、絵馬や掛け軸などの修復です。今年は、前田利家の六女で、7歳で死去した菊姫の肖像画など11月末時点で25件を手がけました。県庁の文化振興課では「工芸王国の技術力を引き続きアピールし、入館者を増やしていきたい」とのことです。

兼六園と21美からは徒歩2~3分です

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美術工芸ファンには隠れた穴場です

石川県文化財保存修復工房は、石川県立美術館・広坂別館の脇に整備された施設です。

兼六園の随身坂口から徒歩3分程度、兼六園の真弓坂口と金沢21世紀美術館から徒歩2分程度のロケーションにあります。真弓坂口と21美からは上り坂になりますので、同じくらいの所要時間と言えます。

当サイトでは、ちょうど2年前の2017年12月6日付で「石川県文化財保存修復工房の入館者数が増加」という記事を掲載しました。

その時には、私は欧米からの観光客の方が文化財の修復作業に興味を抱いて来館しているのだろうと思いましたが、今回の記事では地元の人たちが多く訪れるようになったと紹介されていました。

そう言われてみれば、金沢の人たちへの知名度向上という観点から見ると、頷けるものがあります。

北國新聞の記事には、皇族方がご来訪されたことが全国的な知名度の向上に繋がったとありますが、私は全国的な知名度よりも、皇族方のご来訪によって地元の人たちの知名度が上がったのだと考えます。

石川県に限らず、地方では皇族方のご来訪はテレビのローカルニュースではトップニュースで報じられますし、地方紙でも一面と社会面で大々的に取り上げられます。

そのことから、皇族の方々が訪れた場所を自分も訪れてみたいと思われた方が多いのではないでしょうか。

石川県文化財保存修復工房

金沢は職人の街です。職人は、良くも悪くも「こだわり」が強いものです。

戦後の金沢は、こだわりの強さが発展を妨げたという側面もあると思いますが、文化財保存修復工房については、金沢のこだわりの強さが良い方向に出ているように感じます。

2020年の7月には、文化財保存修復工房のある県立美術館・広坂別館から徒歩3分ほどのところに国立工芸館がオープンしますので、修復工房の存在意義がますます高まるのではないでしょうか。

なお、開館時間は午前9時30分~午後5時(最終入館は午後4時30分まで)で、入館は無料です。

閑静な「本多の森」に位置しています

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観光客の方が「ひがし茶屋街」の最寄りのバス停に並ばれているのを見て、兼六園も近江町市場も歩いて10分なのに…と思ったことが、このサイトをはじめたキッカケでした。 金沢の街は歩いて回れます。自分だけの観光プランで城下町・金沢を満喫してください。

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