加賀百万石の城下町・金沢は、現代アートで知られる金沢21世紀美術館の街でもあります。金沢を訪れる方の中には、金沢駅通りをはじめとする街中で、オブジェなどのアート作品を目にすることもあるかと思います。
金沢市では、鼓門のある金沢駅東口と近江町市場とを結ぶ金沢駅通りで、屋外展示されているオブジェの夜間ライトアップを開始しました。
このライトアップは、10月14日(土)に開幕した「いしかわ百万石文化祭2023」の盛り上げ策のひとつとして実施されるものですが、百万石文化祭の閉幕後もオブジェの夜間ライトアップは継続されるとのことです。
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21美オープン当時の金沢市の構想とは?
金沢21世紀美術館がオープンした2004年当時、金沢市には、金沢駅から金沢市役所までオブジェを並べようという構想があり、2004年と2006年の2回にわたって「金沢・まちなか彫刻作品・国際コンペティション」を実施しました。
2004年の国際コンペでは最優秀賞1点と優秀賞3点が、2006年の国際コンペでは最優秀賞1点と優秀賞2点が選ばれました。そして、金沢駅通りに5点、香林坊交差点と市役所に1点ずつの計7作品が屋外展示されています。
◆金沢・まちなか彫刻作品・国際コンペティション優秀作品
2004年
最優秀賞 「走れ!」郡 順治氏
作優秀賞 「Corpus Minor ♯1」ヤンネ・クリスティアン・ヴィルックネン氏作、「The Sundial」バルトゥオミィエイ・ストゥージク氏作、「FUGA(風雅)」阿部 守氏作、
2006年
最優秀賞 「やかん体、転倒する。」三枝一将氏作
優秀賞 「BREAKFAST」岡村光哲氏作、「WISDOM」アシュラフ・ゲイファー氏作
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苦情が相次ぎ2回で終了
金沢駅から金沢市役所までオブジェを並べるという構想は素晴らしいアイデアだと思います。しかし、金沢の人たちの間に現代アートが根付いていなかった2004年当時、市役所には「街中に変なものを置くな!」という苦情が多くあったそうです。
特に、金沢駅通りに設置された鉄の玉のようなオブジェ「Corpus Minor ♯1」が不評だったとのこと。私は、個人的にはこの作品が一番好きなのですが、20年前はガラクタと思われたようです。
このことから、2006年の国際コンペを最後にオブジェを並べるという構想は残念ながら終了してしまいました。おそらく、高齢者からの苦情が多かったのだと推測しますが、今にして思うと、もったいないことをしたものです。
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20周年記念のコンペをやればいいのに
金沢駅から金沢市役所までオブジェを並べる。もう一度、この構想に着手すれば良いのにと私は思っています。
この20年で金沢21世紀美術館は国内でも有数の人気美術館に成長しました。そして、21美がメジャーになっていくのに合わせて、金沢の人たちの21美を見る目も「批判」から「賞賛」へと変わっていきました。
それならば、2024年と2026年に国際コンペを行なって優秀作品を街中に並べ、21美がオープンした2004年の感性と、2024年の感性の違いを市民に感じ取ってもらうことは大いに意義のあることだと思います。
さらに言えば、2044年と2046年にも国際コンペを実施すれば、加賀百万石の城下町というアピールポイントだけではなく、アートの街としてもアピールできるのではないでしょうか。
オブジェがあるのは通りの左側
金沢駅から近江町市場まで歩きながらオブジェを楽しみたい方は金沢駅通りの左側を歩いてください。逆に近江町市場から金沢駅へは通りの右側になります。金沢駅から近江町市場までは徒歩10分少々、信号待ちの時間を入れても15分程度です。
ライトアップされたオブジェの中で意外と見落としがちなのが、金沢駅に展示されている2006年の最優秀作品「やかん体、転倒する。」です。鼓門のある東口を出て左手に行くと、文字通り「やかん」が転がっています。
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