金沢への提言

新型コロナ民度選手権。石川県の浮上のカギはPCR検査

2020年4月23日

2020.4.23掲載

新型コロナウィルスの感染拡大が続いていますね。

私が暮らす石川県は4月22日現在の感染者数が214名で、全国で11番目に多い数となっています。また、10万人あたりの感染者数では東京都に次いで全国2位の高さで、金沢市だけを見てみると10万人あたりで東京を上回る感染率となっています。

人口が少なく感染者が多いのは石川だけ

テレビの生放送では朝から晩まで新型コロナ報道一色ですので、私もかなり知識が付いてきました(笑)。テレビを見ていて感じるのは、本当のところを分っている人は誰もいないということです。なぜなら、PCR検査の検査数が少なすぎるからです。

日本には、いわゆる基礎データがありません。このことから、現状ギリギリのところで踏ん張っているのか、あるいは10倍~100倍の感染者がいるのかを判断することができないのです。

今も検査を受けられない人が大勢いると報道されています。一方で、医療崩壊を招くのでPCR検査を無制限に増やせないという意見も、未だに残っています。ひとつ推測できるのは、東京では今後も検査数が増えないのではないかということです。

東京は人口が多過ぎるのです。テレビでは東京とニューヨークはよく似ているとして両都市の比較がなされていますが、ニューヨークの惨状を見ると、東京ではPCR検査の拡充に二の足を踏んでしまうのも致し方ないのかもしれません。

となりますと、どこかの小さな県でモデルケースとなるような試みが必要となってくると思います。

東京の1/10の規模なら石川モデルを作れる

私は、石川県の規模ならば、PCR検査拡充のモデルケースとなり得るのではないかと考えています。

石川県の人口は113万人です。おおよそで見て、東京の10分の1、全国の100分の1の規模です。まず石川県でやってみて、良い部分を東京でも実施する際は10倍に、日本中に広めるなら100倍にすればいいわけですから、イメージがしやすいですよね。

また、石川県民にとっては不本意ながら、人口の少ない地方のわりには、10万人当たりの感染者数は東京と同レベルですので、PCR検査を一気に増やすことによるメリット、デメリットが見えやすいのではないでしょうか。

もし、感染者数が爆発的に増えた場合は、軽症者や無症状者は石川県で借り上げたホテルの個室に隔離されますので、医療崩壊のリスクは軽減されます。金沢市内にある1万室の客室を最大限に活用するわけです。それこそが新幹線効果です。

さらに言いますと、万一、PCR検査の拡充によって医療崩壊を招いてしまったとしても、国内の1%の規模であれば、全国からの支援によって被害を少なくすることもできると思います。医療崩壊が東京で発生すると、大阪も名古屋も助けられません。

まず、石川県がモデルケースとなりましょう。

日本人はコロナに強いのかもしれない

インターネットでは、日本人は元々コロナに強い体質なのではないかとの説も見られます。その根拠となっているのがBCG接種です。また、清潔好きの国民性がオーバーシュートを防いでいるという記事も目にします。

ここで重要になってくるのが死者数です。国内では、新型コロナと診断されないまま亡くなられた方が多数いらっしゃるのではないか。これは多くの人が感じていることでしょう。私はこの1か月ほどの石川県内の死者数を調べてみました。

参考サイト「石川 お悔やみ情報 - おくやみ info」

月日 石川県内の死者数
3/23(月)~3/29(日) 153名
3/30(月)~4/5(日) 149名
4/6(月)~4/12(日) 155名
4/13(月)~4/19(日) 170名
4/20(月)~4/26(日) 136名
4/27(月)~5/3(日) 165名
5/4(月) 20名
5/5(火) 25名
5/6(水) 17名
5/7(木) 新聞休刊日
5/8(金) 45名
5/9(土) 21名
5/10(日) 20名
5/11(月) 21名
5/12(火) 22名

先々週の155名から先週の170名に死者数が上がった時は不安になりましたが、今週の月~木の数値は1週間で140名のペースに落ち着いています。この数字を見る限り、石川県で死者数が増え続けているということはないようです。

もちろん、この数値だけで安心することはできませんが、少なくとも、爆発的な蔓延が起っているのであれば、おくやみ欄に掲載される方がもっと多くなっているはずです。そして増え続けているはずです。

報道によると、日本では近々に抗体検査が実施されるとのこと。

抗体検査については、石川県よりも早く感染者が出た東京、大阪、北海道などのエリアから実施するのがベストです。そして、抗体検査の数値と、石川県のPCR検査の数値を分析することで精度の高い仮説が導き出されると思います。

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1日で最大のPCR検査件数は?

私は、このサイトで石川県内のPCR検査を拡充しましょうと述べてきましたが、ポイントとなるのが、石川県では1日に最大で何件のPCR検査を行うことができるかということです。以下に私なりに推測してみました。

石川県内でPCR検査が可能な施設は以下のとおりです。

・石川県保健環境センター  機器4台=96名分
・県内の民間検査会社  5社
・県内の医療機関  22病院

4月22日付の北國新聞によると、石川県保健環境センターでは、当初は1台の機器で一度に検査できる人数が4名分でした。そして、検査は1日に3回転(1回6時間程度)することから、1台1日あたり12名×4台=48名を1日あたりの最大件数としてきました。

記事には、検査担当者の作業スキルが熟練したことで、一度に検査できる人数が8名分になったと記されていました。現在、保健環境センターでの最大検査数は96名となります。

次に民間検査会社5社について見てみると、それぞれのPCR検査機器の所有台数を1台のみしか所有していない場合でも、1台1日あたり12名×5台=60名分がプラスされます。

調剤薬局で知られるアルプでは、日本海側で最大級のラボラトリー(研究所)を所有しているとのことですので、所有台数が1台だけということはないはずです。また、日本海側最大級であれば、検査員の経験も豊富なのではないかと推測します。

私は、アルプが日本海側で最大級のラボを所有していることを知った時に、瞬間的に1日1,000件程度の検査もできるのではないかと思いました。日本海側で最大級ならば、少なくとも数100件規模の検査はできるはずです。

22の医療機関については、それぞれ1台ずつの検査機器を所有していると想定すると、12名×22施設=264名分となりますが、医療機関では入院中のコロナ患者の退院に向けての検査が優先されるでしょうし、医療従事者へのPCR検査も必要でしょう。

このことから、石川県民が利用できるのは保健環境センターと民間検査会社になると思います。民間検査会社の検査可能数にもよりますが、何とか1日200件の検査をしてもらいたいものです。

石川県では4月18日(土)からPCR検査の実施数が発表されています。これはとても良いことですね。できれば、1日あたりのPCR検査可能件数も公表して欲しいと思います。

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県がアルプと金大にPCRを外部委託

4/23付の北國新聞に、PCR検査の拡充に関して希望を持てそうな記事が掲載されていました。それは、石川県ではアルプと金沢大学付属病院にPCR検査を外部委託するというものです。

記事によると、現時点で依頼されるのは退院時の陰性確認のためのPCR検査とのことです。そして、1日最大20件程度の陰性検査を担当し、石川県全体で1日100件規模の検査体制を確立するとのこと。

当サイトでは4月18日に「新型コロナ民度選手権開幕!石川県は最後方から巻き返すぞ」という記事を掲載し、石川県庁がPCR検査を阻んでいると記しましたが、県庁でもPCR検査の拡充を考えていることが分かりました。

ただ、せっかく外部依頼に舵を切るのでしたら、感染者を抽出するための検査も依頼すべきでしょう。徹底的に検査拡充に踏み出すべきです。良いことを考えているのに詰めが甘いのは石川県民のウイークポイントです。徹底的にやってください。

新試薬でPCR検査の時間が半分に

石川県白山市の診断薬メーカー「キュービクス」では、新型コロナウィルスのPCR検査にかかる時間を短縮できる試薬を開発しました。

地元メディアの報道によると、新しい試薬は、これまでPCR検査で必要とされた6種類の試薬を2種類に減らしたものです。試薬の種類を減らしたことで、従来の6時間かかっていたPCR検査を2~3時間に短縮できるとのことです。

従来の半分の時間で検査が可能となるのであれば、石川県内で1日あたり500件以上の検査も可能となるのではないでしょうか。

石川県立中央病院をコロナ専門病院に

厚生労働省では、各都道府県に一つずつ第一種感染症指定医療機関を設けています。石川県で指定されているのが石川県立中央病院です。※東京、大阪、埼玉、兵庫、沖縄には複数開設。

私は金沢市内のコロナウィルス患者については、県立中央病院に集めるのがベストだと考えています。

まず、県立中央病院に入院中のコロナ以外の患者を他の総合病院に転院させます。その際、主治医と担当看護師も患者の転院先の病院に期間限定で出向します。

逆に、現在、各病院に入院しているコロナウィルス感染者は、主治医、担当看護師とともに県立中央病院に転院します。コロナウィルス患者をひとつの病院に集めることで、他の病院での院内感染を防ぎます。

県立中央病院への集約化に際しては、石川県庁と石川県医師会が連携を取って進めることになります。

県議会議場をコロナ検査センターに

石川県立中央病院の病床数は630床です。4月22日現在で感染者数が214名ですから、まだ400名以上の余裕があります。また、重症者と中等症者のみが入院し、軽症者および無症状者はホテルの個室での隔離となります。

PCRの検査センターを石川県議会の議場に設置するのがいいでしょう。※PCR検査センターは「コロナ検査センター」の名称になるようです。

県議会議場と石川県立中央病院とはお向かいさんの位置関係ですし、天井が高いことから感染リスクも軽減できます。本会議場の議員席で検査をすることに差支えがあるようでしたら、2階の傍聴席や1階のロビーを活用するのもいいでしょう。

検査の予約に際しては、従来の帰国者・接触者相談センター(保健所)を通すことはしません。保健所は感染者の濃厚接触者へのコンタクト業務に専念することになります。コロナ検査センターへはかかりつけ医から直接予約を入れることとします。

前述の新しい試薬によって検査時間が短縮されるようなら、検査結果が出るまでの間は議場内で待機してもらい、陰性の場合は帰宅、陽性で要入院の場合は県立中央病院へ、陽性で隔離の場合は石川県の提携ホテルへ移動します。

もちろん、石川県民がすべて県議会議場に行けるわけではありませんので、PCR検査が可能な県内の22の医療機関の近くにある小中学校の体育館に検査センターを設け、該当する医療機関の医師が検体を採取し、アルプへ検体を送る流れになります。

コロナ担当の医師・看護師をホテルに

県立中央病院に集まってきたコロナ患者担当の医師、看護師、事務員に対しては、石川県が金沢駅近くのホテルを1棟借り上げて、医療従事者用の施設とするのが良いと思います。

石川県では、新型コロナウィルス患者の治療にあたる医療従事者の宿泊施設として石川県青少年総合研修センターを準備していますが、交通の便がよくありませんし、相部屋ですのでリラックスして眠りにつくことができません。

そこで、県立中央病院から歩いてでも行けそうな金沢駅西口のホテルを1棟借り上げて、医療従事者の宿泊所とするのがいいでしょう。

個室ですので、ぐっすりと眠っていただくことができます。食事も24時間okとなればベストです。また、地元メディアでは医療従事者への差別やいじめが報じられていますが、不当な被害を防ぐためにもコロナ医療従事者の専用宿泊施設は必要です。

徹底的な検査でクラスターを防止する

私は、石川県の県民性はクラスター感染を生みやすいと感じています。石川県の人は、どうしても世間体を気にしてしまうところがありますので、体調異変を感じ「もしかするとコロナ?」と思ってもなかなか言い出せないのです。

ここは、谷本知事が県民に対して次のように告知すべきだと思います。

「石川県では徹底的にPCR検査を実施します。今の日本では誰もが新型コロナウィルスに感染する可能性がありますので、感染してしまうこと自体は恥ずかしいことではありません。恥ずかしいことは、感染の事実を隠すことです。

ですので、県民の皆さんは、少しでも体調がおかしいと感じたら、かかりつけ医に電話で相談してください。

県民の皆さんにお願いです。感染者を差別することは絶対にやめてください。もしかすると、新型コロナの症状が出た人は、あなたから感染した可能性もあります。ただ、あなた自身は自分の免疫力で無症状のまま治っただけなのかもしれません。

だから、感染者とそのご家族への差別やいじめは絶対にやめてください。」

谷本知事は県民に借金の相談をすべき

ここまでPCR検査を拡充すべきだと述べてきましたが、財政基盤の弱い石川県では予算をどうするかという切実な問題があります。県としては借金をしてでも感染拡大を止めるべきでしょう。

私としては、特別地方債を発行するなどして、石川県独自の財源を確保すべきだと考えます。

谷本知事をはじめとする石川県庁の人たちにお願いがあります。ぜひ県民に対して、県ではこれだけの借金をしたいと考えているが、借金返済のためには月々の地方税がこれだけ上がることになる。それでも良いだろうかと問い掛けていただきたい。

行政は県民や地元メディアに相談を、地元メディアは行政に対して提案を。

柴田勝家に侵略される以前の石川県には、百姓の持たる町と称された完全民主制の社会が100年間にわたって存在していました。また、江戸時代の加賀藩は「江戸の粋、京の雅、加賀の華」と評され、日本の三大文化圏のひとつでした。

石川県は本来は民度の高い県であるはずです。今こそ、県民一丸となって危機を乗り越えていきましょう。

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金沢観光ガイド 南 武志

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