2021年9月30日付の北國新聞に、金沢文芸館の「五木寛之文庫」が10月1日にリニューアルオープンするという記事が掲載されていました。
リニューアルでは、五木さんの作家生活の出発点となった1965年(昭和40年)~1969年(昭和44年)の金沢在住時代に焦点をあて、北國新聞の紙面パネルや原稿など213点が展示されます。展示替えは2005年の開館以来初めてです。
目玉の展示として、五木さんが金沢で生活した約4年半で携わった約120の執筆や対談、作詞の仕事を一覧できるコーナーを設けました。
また、1966年の小説現代新人賞、1967年の直木賞受賞の喜びを伝える北國新聞の紙面や、ロシア人将校と芸妓の悲恋を描いた小説「朱鷺の墓」の執筆の参考にした明治時代の同紙の紙面も展示されているそうです。
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新たに思い出の品々が寄託されました
新たに寄託された思い出の品では、長年の執筆でペンを握る右手の痛みに悩まされていた50~60歳ごろ、持ち手にゴルフクラブ用のテープを巻いて使用したペンが出展されている他、妻で金沢出身の画家・玲子さんが手がけた書籍の表紙絵も飾られています。
展示替えは昨年、金沢市の担当者が五木さんと懇談した際に計画が持ち上がり、150万円の予算で進められました。金沢文芸館では「五木さんの金沢に関する文章や言葉には深い愛着がにじんでいる。地元の人こそ展示に触れてほしい」とのこと。
五木さんは「金沢と作品との関係など、これまで重要視されていなかった面に光を当てた展示で、大変興味深い」と語っています。選考委員を務める泉鏡花文学賞の授賞式のため金沢へ行く際、文庫に足を運ぶことを楽しみにしているそうです。
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五木寛之文庫は文芸のショーケース
2005年にオープンした金沢文芸館は、主計町茶屋街とひがし茶屋街の近くの橋場交差点に位置しています。元々は銀行だった建物で、レトロな外観を目にした観光客の方が「あれは何?」という感じでカメラを向ける姿を見かけます。
3階建ての館内の2階が「五木寛之文庫」です。五木さんのエッセーには、それまでは全国から寄せられる記念館の依頼はすべて断ってきましたが、金沢文芸館は“文芸サロン”という位置づけであることから依頼を受けたとあります。
その言葉どおり、人物の記念館にありがちな、その人の功績を称える展示内容ではなく、生原稿や編集者とやり取りしたFAXが展示されるなど、文芸界を身近に感じてもらうためのショーケースという感じの展示になっています。
なお、金沢文芸館は1階と3階は写真撮影が可能なのですが、2階の五木寛之文庫だけは著作権の関係から撮影禁止となっています。
文芸館近くの主計町は五木さんご贔屓
金沢文芸館から徒歩2~3分にある主計町茶屋街は五木寛之さんご贔屓の街です。
まず、表通りの鍋料理の「太郎」の前には、このお店を舞台とした小説『浅の川暮色』の文学碑が置かれています。ちなみに、小説ではお店の名前が「次郎」となっています。太郎は五木さんのエッセーの中に何度も出てくるお店です。
裏通りには五木さんが名付けた石段坂があります。それが「あかり坂」です。主計町には2つの石段坂があります。そのうちの一つの「暗がり坂」は昔から名前が付いていたのですが、もう一つの石段坂には名前がありませんでした。
そこで、主計町から命名の依頼を受けた五木さんが、小説『金沢あかり坂』の中で、当時の無名坂を「あかり坂」と名付けました。2008年のことです。坂下にある標柱には、五木さんの「あかり坂」に対する思いが刻まれています。
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五木さんは金沢に溶け込んでいます
五木さんは、テレビ金沢の夕方のローカルニュースで毎週金曜日に「新金沢小景」というコーナーを担当されています。今年の2月の時点で、今年度中に850話になるとのことでしたので、来年の3月には900話を超えるのでしょう。
新金沢小景では、五木さんしか気が付かないような、金沢の街角の小さな風景(小景)が毎週紹介されます。50年以上もベストセラーを世に送り続けている日本でも指折りの作家だけあって、本当に物凄い観察力です。
地元のテレビで五木寛之さんを拝見していると、五木さんは金沢の人たちの心の中に溶け込んでいるようです。
街でたまたま五木さんをお見掛けすることがあっても、中学時代の校長先生とばったり会った時のような感じで「五木さん」と気軽に声をかけて、しつこく話しかけることもなく別方向に歩いていく。そういう関係のように思えます。
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