お堀通り-金沢城外の周回路は金沢通になれる道

金沢の街を歩いて回る#3

加賀百万石の城下町という枕詞が付く金沢では、藩政期に金沢城のお堀だった道を「お堀通り」と名付けています。金沢城の周りをグルリと一回りする1周2.2kmほどの周回道路で、金沢を満喫できるお散歩コースです。

また、観光名所から観光名所へ歩いて移動される場合は、お堀通りを上手く活用するとショートカットできます。

お堀通りのメインは百間堀



金沢城にあった4つのお堀

かつて金沢城には以下の4つのお堀がありました。

金沢城の4つのお堀

百間堀(ひゃっけんぼり)
白鳥堀(はくちょうぼり)
大手堀(おおてぼり)
宮守堀(いもりぼり)

21世紀の今日まで埋め立てられなかったお堀は大手堀のみで、大手堀以外のお堀は残念ながら水が抜かれ道路になりました。

お城の防御の砦であるお堀は一般市民の通行の邪魔になるところにありますから、明治時代に、お堀を道路にすれば便利だという意見が主流派となったのは理解できるのですが、もったいないことをしたものです。

百間堀と鯉喉櫓台跡

埋められたお堀はどうなった?

埋められたお堀がその後どうなったかと言いますと、百間堀は金沢を代表する幹線道路となり、白鳥堀は白鳥路(はくちょうろ)と名前を変え、彫刻が屋外展示されている綺麗な散歩道になりました。

また、2010年に一部が復元された宮守堀は表記が「いもり堀」に変わり、今では城下町・金沢の景観のひとつです。

このページでは、百間堀~白鳥路~大手堀~いもり堀と一回りするお堀通りを、百間堀といもり堀が合流する鯉喉櫓台跡(りこうやぐらだい)を起点にご紹介します。

いもり堀(鯉喉櫓台跡から撮影)

<お堀通りと観光名所との位置関係>

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百間堀は“森の都・金沢”の象徴

百間堀は、金沢城公園兼六園の間を走る金沢有数の幹線道路で、金沢21世紀美術館からも100mほどの距離です。

兼六園の真弓坂口に近い広坂交差点から、桂坂口に近い兼六園下交差点に向かって、左手に金沢城の城壁を、右手に兼六園の緑の木々を眺めながら、ゆっくりと散策されるといいでしょう。

金沢城の石川門と緑の木々は最高の景観です

綺麗な街路樹を進んでいくと、前方に金沢城と兼六園を結ぶ石川橋が見えてきます。

百間堀は金沢を訪れる方にぜひ歩いていただきたいお散歩コースですが、観光で訪れる方の大多数が、石川橋を渡って金沢城と兼六園を行き来することから、ほとんど人通りがありません。石川橋を抜けると兼六園下交差点です。

石川橋。晴れた日は最高のお散歩コースです

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百間堀-金沢城と兼六園に挟まれた緑の散歩道

白鳥路は無料の屋外美術館です

石川橋をくぐり兼六園下交差点の手前まで来たところで百間堀が終わります。そして、百間堀から左手に行くと白鳥路と呼ばれる緑の遊歩道へと入って行きます。

百間堀から白鳥路へと入って行く所には前田利家公の像が置かれていますが、実は、この場所に利家公の像があることは金沢の人たちにもそれほど知られていません。

前田利家像。金色の兜が利家のシンボルです

白鳥路は、お堀通りの中で最も道幅が狭く木影になることが多い遊歩道です。藩政期に侵入者を察知するために水鳥を放していたことから「白鳥堀」と名付けられ、埋め立てられた後に白鳥路となりました。

緩やかに蛇行しながら続く約300mの緑のトンネルには、20体の彫刻が屋外展示されています。すべて人物をかたどった像で、金沢の三文豪として知られる室生犀星、泉鏡花、徳田秋聲の像も展示されています。

白鳥路は無料の屋外美術館のようです

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白鳥路-金沢城に隣接する散歩道は屋外美術館



藩政期の姿を残す大手堀

白鳥路を抜けて左手に行くと大手堀に出ます。大手堀は金沢城の正門である大手門と、近江町市場に近い黒門を結ぶお堀で、大手堀前は武士の住宅街でした。観光スポットの寺島蔵人邸もそのひとつです。

大手堀には桜並木が整備され、ところどころに休憩用のベンチが置かれていますので、少し歩き疲れたなという方は、大手堀の水辺を眺めながら休憩されるのもいいでしょう。

大手門が金沢城の正門でした
大手堀

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大手堀-江戸時代の金沢城の風景を残す散歩道

徳川家康公を祀った尾崎神社

黒門を過ぎると黒門前緑地の板塀が目に留まります。この緑地は前田利家の四女・豪姫の住居跡とされている場所で、長く金沢地方検察庁の検事正官舎として使用されてきました。

黒門前緑地を左折するとお堀通りが続きます

黒門前緑地の敷地内を通り抜けると板塀の曲がり角をショートカットできます。そして、お堀通りに戻ると前方に朱色に塗られた透塀が見えてきます。そこが尾崎神社です。

尾崎神社は徳川家康公を祀った神社で、敷地の周囲を囲む透塀をはじめ、本殿、拝殿、幣殿、中門が重要文化財となっています。また、境内を通り抜けると透塀の曲がり角をショートカットできます。

ちなみに、尾崎神社からは200m少々も行くと、近江町市場の十間町口です。

尾崎神社を直進し突き当り右手が近江町市場

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尾崎神社は藩政期に徳川家康公を祀った神社

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尾山神社~いもり堀

尾崎神社の角を曲がると、いもり堀まで緩やかにカーブしながら左手に金沢城の城壁が続きます。このあたりはビジネス街で、金沢商工会議所の先には前田利家公を祀った尾山神社があります。

尾山神社へは、商工会議所の先に尾山神社への案内板が建っていますが、神社がお好きな方は、もう少し先にある東参道から入られるといいでしょう。なお、境内を通り抜けて大通りを渡り真っすぐに行くと、5分ほどで長町武家屋敷跡です。

尾崎神社~尾山神社はビジネス街のエリア
尾山神社の東参道。左手に進むといもり堀

百万石の新スポット「鼠多門橋」

2020年7月にお堀通りの尾山神社の裏手に新スポットがお目見えしました。それが、尾山神社と金沢城公園の玉泉院丸庭園を結ぶ鼠多門橋(ねずみたもんばし)です。この橋を見るとおそらく渡りたくなるでしょうね(笑)。

尾山神社が創建されたのは明治時代に入ってからで、藩政期には家督を譲った前藩主が暮らした金谷御殿が置かれていました。そして、家督を譲った藩主は、この鼠多門橋を渡って隠居所へと移っていきました。

なお、鼠多門橋は夕暮れ時からライトアップされます。ディナーの前後にでも立ち寄られるのもお奨めです。

ライトアップされる鼠多門橋

兼六園へと続く緑のオアシス

いもり堀の手前には金沢城公園の玉泉院丸口があります。この入場口は2015年3月の北陸新幹線開通に合わせて復元された玉泉院丸庭園へと続く門です。

玉泉院丸庭園~二の丸広場~三の丸広場と散策して、石川門から石川橋を渡って兼六園へと入って行くルートもお奨めです。

金沢城公園の玉泉院丸口

歩いてみたくなる並木道

玉泉院丸口の手前の右手にはアメリカ楓通りと名付けられた綺麗な並木道があります。この並木道は「いしかわ四高記念公園」と「しいのき緑地」の間にある直線道路で、金沢市役所へと続いています。

金沢21世紀美術館へ行かれる方は、この並木道を歩いて行くと近道になります。

アメリカ楓通りは21美への近道

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アメリカ楓通り-金沢城公園と21美を結ぶ並木道

いもり堀は百万石を感じる贅沢な空間

お堀通りは玉泉院丸口を過ぎると百間堀と交わる鯉喉櫓台跡(りこうやぐらだい)まで一直線です。右手にはしいのき緑地の芝生が広がり、芝生の向こうに旧県庁舎を改装したしいのき迎賓館が見えます。そして、左手には「いもり堀」が佇んでいます。

お堀通りは金沢通になれる道です。

いもり堀の先で百間堀と合流します

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いもり堀-金沢城公園で復元された第2のお堀

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金沢で主要な観光名所は1日で回れます。なぜなら、人気スポットが東京ディズニーランドと同じくらいのエリアに集っているからです。とりあえず見た!という感じでよろしければ、1日あれば充分です。

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金沢では、1周約4.3kmの百万石通りが観光エリアです。金沢城公園~兼六園~21世紀美術館は隣接し、ひがし茶屋街と主計町は隣町です。近江町市場や長町武家屋敷跡へもご近所へ行くような感覚です。

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バス移動では北陸鉄道バスの「1日フリー乗車券」をお買い求めください。料金は800円です。路線バスの210円区間と金沢周遊バスを購入日に何度でも利用できます。ほとんどの観光名所がカバーできます。

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金沢駅は観光名所が集まる中心部から少し離れています。1泊の場合は駅チカの方が安心できるかと思いますが、2泊以上の場合は香林坊、片町、武蔵ヶ辻などの繁華街に宿泊する方が圧倒的に便利です。

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金沢観光ガイド 南 武志

観光客の方が「ひがし茶屋街」の最寄りのバス停に並ばれているのを見て、兼六園も近江町市場も歩いて10分なのに…と思ったことが、このサイトをはじめたキッカケでした。 金沢の街は歩いて回れます。自分だけの観光プランで城下町・金沢を満喫してください。

2020年1月24日