平成の築城と称された「金沢城復元」の総仕上げにあたる二の丸御殿の起工式が、2025年3月9日に行われました。
北國新聞によると、二の丸御殿は加賀藩政の中枢を担った城内最大の建造物で、石川県は、藩主が政務を執り行った「表向 (おもてむき)」の復元を段階的に進める方針です。紙面には「令和の築城」と記されていました。
第1期工事の対象としているのは、総ケヤキ造りの玄関をはじめ、客人を迎える際に使用した「表式台 」、加賀藩出身の絵師・岸駒 (がんく) による虎の障壁画があった「虎の間」、警護の藩士が控えるなどした「実検 (じっけん) の間」です。

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最初の1年は素屋根の建設
まずは本体工事に入る準備段階として現場を覆う仮設の建物「素屋根」を新年度中に建設します。その後、本体工事に移り、基礎を設けた上で柱や梁を組んで屋根と壁の下地を整えるまでを、2030年度をめどに終えるとのことです。
素屋根の建設費は7億3,000万円、本体工事費は約60億円を見込んでいます。
工事にあたっては、来場者が作業の様子を確認できるよう近くにモニターを置く他、現場見学会や職人技術の体験イベントを開催し、機運を盛り上げます。なお、6月ごろから、ふるさと納税を活用した寄付を募ります。

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お殿様が暮らした二の丸御殿
金沢城の二の丸御殿は藩政期に藩主が暮らした御殿です。初代の前田利家の頃は、お殿様は本丸で暮らしていたのですが、1602年に天守閣が落雷により焼失し、1631年に金沢町の大火災で本丸御殿が焼失した後は二の丸に住まいが移されました。
二の丸御殿は1759年と1808年に焼失し、最後に再建されたのが1810年です。その後、1881年 (明治14年) に旧陸軍の失火によって焼失した後は、再建されないまま現在に至っています。

今回の復元工事は全体の約7.5%
今回着工したのは第1期工事の約240坪で、約3,300坪もあった二の丸御殿全体で見ると約7.5%の復元となります。
二の丸御殿は、藩主の執務を行なった「表向」、藩主の住居である「御居間廻り」、女性が暮らした「奥向」で構成されています。“令和の築城”では、表向の主要部の約1,000坪から復元し、第1期から第3期に分けて工事を進める予定です。

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御殿の復元には膨大な時間
屋根と壁の下地を整え終えるのが2030年で、その後に、屋根の銅板貼りや本格的な内装に入るわけですから、第1期工事が終わるまでには10年ほどの月日を要するのかもしれませんね。
これで7.5%ですから、すべてを復元するには数十年の月日がかかることになります。
ちなみに、2018年に完成した名古屋城の本丸御殿は、金沢城の二の丸御殿と同じ約1,000坪の敷地で、150億円の工費をかけて約9年で完成させています。悔しいですが、このあたりが愛知県と石川県、名古屋と金沢の財力の違いでしょうか。
職人を急かせない金沢人
金沢城の最初の復元工事だった「菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓」は、1999年に着工し、2001年に完成しています。五十間長屋が2年ほどで復元されたのに比べて、二の丸御殿は遥かに時間がかかりそうです。
確かに、五十間長屋は武器庫ですから、基本的に建物の中には何もありません。一方の二の丸御殿は、屋根も特別な作りになりますし、お部屋の内装はまさに芸術作品です。時間がかかるのは当然と言えば当然のことですよね。
最も気になるのは、いつになったら完成した御殿に入れるのかということですが、馳知事の口からは完成時期が明示されていません。そして、北國新聞紙上でも、第1期工事の完成時期については触れられていません。
実は、金沢の人は、太平洋側の人に比べて職人を急かさないという気質を持っています。その代わり良いものを作れとなるわけです。何とか、私が生きている間に御殿が完成してほしいものです。

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