金沢城公園の見どころ#7
金沢城が観光名所となったのは21世紀に入ってからです。1996年(平成8年)に石川県が国から所有権を取得したことが契機となって、「菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓」をはじめ、明治時代に失われた施設が次々と復元されました。
このページでご紹介する玉泉院丸庭園も復元された施設のひとつです。2013年5月に工事に着手し、北陸新幹線の開業に合わせて2015年3月から一般公開されています。
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玉泉院は2代藩主の正室
この庭園は、織田信長の四女で、2代加賀藩主の前田利長の正室であった玉泉院(永姫)の屋敷跡に、3代藩主の前田利常が作庭した庭園です。2代・利長と3代・利常は親子ではなく兄弟でしたので、義理の姉の屋敷跡に作庭したわけです。
玉泉院は子宝に恵まれなかったことから、親のいない子供を数多く引き取って育てたと伝えられています。そのような慈しみの心に感銘した利常が、玉泉院の死後、西の丸と呼ばれていたこのエリアを玉泉院丸と改め庭園を造ったのです。
様式としては池の周りを緑が囲む池泉回遊式庭園で、池には一の島、二の島、三の島の3つの浮島があり、木橋、石橋、土橋を合わせて5つの橋で結ばれています。橋の中でも最も豪華な木橋が最高の撮影ポイントです。
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お茶室で抹茶と和菓子を
玉泉院丸庭園には「玉泉庵(ぎょくせんあん)」と名付けられたお茶室が設けられています。抹茶とオリジナル生菓子のセットが730円です。お茶室から庭園を眺めながら休憩されるのもいいでしょう。
このお茶室は石川県が運営するお茶室ということもあって、表千家の人と裏千家の人が一緒に働いています。また、特定の和菓子屋さんだけを贔屓できないことから、金沢の老舗の和菓子屋さんが持ち回りで供給しています。
私は県外からのお客様を玉泉庵にご案内することがあるのですが、中には「お茶の作法を知らないのだけれど大丈夫ですか?」とおっしゃる方がいます。安心してください。作法などは気にせずにお召し上がりください。
玉泉庵の利用案内
利用時間
午前9時~午後4時30分(受付は午後4時まで)
※12:00~13:00は清掃のため入館できません。
呈茶料 抹茶+生和菓子セット 730円
休館日 年末年始(12月29日~1月3日)
TEL 076-221-5008
復元前は石川県立体育館でした
かつてこの場所には石川県立体育館がありました。また、玉泉院丸庭園から近い「いもり堀」には兼六園コートというテニスコートでした。歴史的な庭園やお堀の上にスポーツ施設を作ったわけですが、今にして思えばひどいことをしたものです。
新たな回遊ルート「鼠多門」
玉泉院丸庭園には鼠多門と玉泉院丸口という2つの入城口があります。まず、鼠多門(ねずみたもん)は前田利家を祀る尾山神社と直結している門で、尾山神社から真っすぐに5分少々も行くと長町武家屋敷跡に出ます。
また、玉泉院丸口からは金沢21世紀美術館へ5分ほどの距離です。途中のアメリカ楓通りやしいのき迎賓館の緑を楽しみながら歩かれるのもお奨めです。
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外観から入る街・金沢らしい石垣
玉泉院丸庭園には、お城好きの方から高い評価を受ける石垣があります。それが「色紙短冊積み石垣」です。色紙のような四角い石と、短冊のような細長い石を組み合わせた石垣は、まさに見せるための石垣です。
専門家によると、細長い石をタテに積むのはとても難しいのだそうです。色紙短冊積み石垣は、職人の街・金沢、外観から入る街・金沢のシンボルとも言える石垣です。
この石垣をご覧になる方の中には、石垣の上部にあるV字の排水口に気が付く方もいるかと思います。藩政期には、この排水口から水が排出され落差9mの滝となっていました。
庭園の美しさは四季折々
玉泉院丸庭園は、訪れる季節によって四季折々の美しさを見せてくれます。
初夏から初秋まで緑に覆われていた庭園も11月に入ると冬枯れの季節が近づいてきます。芝生が黄色くなっていき、モミジの葉が文字通り「紅葉」へと変わります。厳しい冬を前にした最後の彩りが訪れる人の心に安らぎを与えてくれます。
12月中旬~2月の玉泉院丸庭園は雪の季節です。きれいに雪化粧された日もあれば、池の水がシャーベット状になるほどのドカ雪の日もあります。その一方で、寒気が緩んで観光しやすい日には雪が全然ないこともあります。
冬の玉泉院丸庭園は、ちょっとした“運試し”と言えそうです。
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