2021年2月14日の北國新聞に、1881年(明治14年)に焼失した金沢城「二の丸御殿」の復元に向けて、基本設計に着手するという記事が掲載されていました。
今年度の埋蔵文化財調査で、藩主が執務を執った「表向(おもてむき)」の位置をほぼ特定したことなどから、復元への第一歩として、表向の正面周辺の基本設計に取り掛かるとのことです。
石川県は二の丸御殿の最初の復元範囲を、表向の約1800坪のうち、造りや装飾に金沢城らしい特徴があったとされる玄関や大広間、書院など主要部の約1000坪とする方針を固めています。
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第1弾は表向きの正面周辺から
復元は予算の制約があることから、建物や屋根によってエリアに分け、3~5期と順次整備、公開することを想定しています。
まず、基本設計に取り組むのは、玄関と客人の出迎えに使用した「式台」、虎の障壁画があったと伝わる客人の控室「虎の間」、「実検の間」と呼ばれた部屋の約240坪となります。
石川県では表向の主要部分を五十間長屋側から眺め、城内最大の建築物である二の丸御殿の威容を伝えるイメージ図を作成しており、基本設計ではこれまでに見つかった資料との整合性を取りながら、柱や床などの材料や詳細な寸法を盛り込みます。
二の丸御殿をめぐっては、2020年に金沢城公園の二の丸広場で行われた埋蔵文化財調査で、御殿の柱を支えた礎石の基礎部分の遺構が確認されました。式台などにあった柱の下部とみられ、藩政期の絵図と照合することで、御殿と五十間長屋との位置関係が明らかとなりました。
年末には、二の丸御殿の復元を盛り込んだ「史跡金沢城跡保存活用計画」に関し、文化庁からおおむね了解を得ました。石川県は二の丸広場での埋蔵文化財調査なども引き続き取り組む予定で、新年度予算案に関係事業費を計上します。
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二の丸広場には白いフェンス
金沢城の二の丸御殿は歴代の加賀藩主が暮らした御殿です。初代の前田利家の時代には5層建ての立派な天守閣があったらしいのですが、1602年に落雷で焼失した後は、次第に「本丸」から「二の丸」へと金沢城の中枢が移っていきました。
1990年代まで金沢大学のキャンパスが置かれていた金沢城内に一般の市民が入れるようになったのは2001年のことです。この年に現在の金沢城のシンボルとなっている「菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓」が復元され、以後、河北門と橋爪門が復元されました。
五十間長屋の復元が実現した大きな要因としては、明治時代の写真が残されていたことが挙げられますが、もう一つ考えられる要因は、藩政期に建てられた三十間長屋が焼失しなかったことで、柱の組み方や外壁塗装を参考にできたことです。
河北門と橋爪門に際しては、石川門が藩政期の姿のまま残っていたことが復元を可能とした要因であったろうと思います。
一方、二の丸御殿については参考となる建物がありません。外観の写真がわずかに残っているだけで、御殿内の内装や寸法が全く分からないことから、石川県知事も以前に北國新聞の取材に対して「現状では復元は難しい」とコメントしていました。
二の丸御殿の復元に向けて動き出したのが2019年です。この年、1810年(文化7年)に二の丸御殿が最後に再建された時の御大工頭が残していた、御殿造営の詳細な資料と、襖の取っ手などの表具の現物が見つかったのです。
現在、二の丸広場には白いフェンスが張られ遺構調査が行われています。金沢城の関係者に聞くと「復元まで10年くらいはかかるかもしれないね」とのこと。観光で訪れる方には景観を損ねるようで心苦しいのですが、金沢の夢にしばらくお付き合いください。
金沢市と石川県に見る金銭感覚
以前に県知事が地元テレビ局からの二の丸御殿に関する質問に対して「表向、御居間廻り(おいままわり)、奥向(おくむき)の全てを復元すると200億円くらいかかります。そこまでの予算がないので少しずつ復元していきます」と語っていました。
確かに200億円というのは、一般会計予算が6,000億円程度の県からすると莫大な金額かもしれませんね。ただ、金沢市のお金の使い方と比べてみると興味深いものがあります。
金沢市では、2004年に総事業費200億円以上をかけて金沢21世紀美術館を竣工しました。また、翌2005年に完了した金沢駅東口の再開発では「もてなしドーム&鼓門」と地下広場など一式で総事業費が約170億円もかかりました。
21美については、総事業費の4分の3を起債で賄いました。つまり、膨大な借金をして21美を建てたわけです。金沢市は見栄っ張りだと見るのか、石川県は慎重だと見るのかについては色々な見方があるかと思いますが、実に興味深いですよね。
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