2025年6月25日付の北國新聞に、金沢城の「二の丸御殿」復元整備の完了時期に関する記事が掲載されていました。
石川県議会の予算委員会で、馳浩知事が、今年の3月9日に起工式が行われた1期工事を2033年度中に完了させる見通しを示しました。現時点での事業費は約150億円とのことです。
また、馳知事は、1期工事終了後に間を置かずに2期工事に入るため、来年度以降に、2期工事エリアの調査に着手するとの考えを示しました。

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1期工事は御殿全体の7%
石川県では、二の丸御殿の復元整備を段階的に進める方針で、3月からの1期工事では、玄関や客人を迎える際に使用した「表式台 (おもてしきだい)」、警護の藩士が控えるなどした「実検の間 (じっけんのま)」など240坪を復元します。
今年度は現場を覆う「素屋根」を建設した後、本体工事に移り、基礎や柱、梁などを組み上げる工事を2030年度をめどに完了させます。その後、約3年かけて屋根や内外装の仕上げ工事を終える予定です。
2期工事に関しては、大広間などの復元を行うことが想定されており、詳細な工事範囲の検討や埋蔵文化財調査を1期工事と並行して行います。馳知事は「表向の復元には長い時間がかかる。整備に全力で取り組む」と語りました。

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御殿は「表向・御居間廻り・奥向」
このホームページでも何度か記してきましたが、金沢城の二の丸御殿は、藩主が執務を行なう「表向 (おもてむき)」、藩主の住居の「御居間廻り (おいままわり)」、女性の住まいの「奥向 (おくむき)」の3エリアに分けられます。
3つのエリアの中でも、最も豪華な内装を施されているのが客人を招く表向です。欄間 (らんま)、襖 (ふすま)、天井などの各部位には芸術品のような豪華な装飾がなされていました。また、釘隠しや取っ手などの細部も豪華でした。
馳知事が「表向の復元には長い時間がかかる」と言ったのは、芸術的な内装を整備するのに時間がかかるという意味です。

五十間長屋は2年で完成
終戦から50年にわたって、金沢城には金沢大学のキャンパスが置かれており、石川門が金沢大学の校門になっていました。そして、金沢大学が郊外の広大な敷地に移転した1995年から、金沢城の復元工事が始まりました。
最初に復元されたのが、三の丸から二の丸への防御の砦である「菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓」です。1999年に復元工事が着工され、2001年7月に建物が完成しました。
わずか2年で復元工事が完了したのですが、これは元々が武器庫として存在した建物であったことから、芸術品のような精緻な内装を施す必要がなかったからです。

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金沢のサグラダ・ファミリアかも
6月27日(金)に、NHK金沢放送局で、二の丸御殿の特別番組『北陸スペシャル“令和の築城” 金沢城「二の丸御殿」復元』が放送されました。
その番組の最後に、石川県金沢城調査研究所の所長さんが、石川県民や金沢市民の方が絶対に言ってほしくない言葉は「早くやれ」だとおっしゃっていたのが印象的でした。
職人の手仕事なのだから時間がかかるのは当然のこと。100年、200年、300年と残る建物を作るのだから、良いものを作るために職人を急かさないでほしいとのことでした。
金沢は東京よりも職人を急かせません
私は金沢で生まれ育ち、東京の大学に進学して30年間を東京で過ごしたのですが、金沢に帰ってきて感じることは、金沢の人たちは東京の人に比べて職人を急かさないということです。その代わり「良いものを作れ」と言います。
金沢では、東京のように「納入期限が遅れたら遅延損害金だぞ!」と脅されることは少ないと思います。良くも悪くも、それが金沢の市民性です。
そんなことを言っているから「北陸新幹線が開通するまで金沢は発展しなかったのだ」となるのですが、私は職人を急かさない気質は、現代の日本人の価値観とマッチしてきているのではないかと思っています。
二の丸御殿の復元に関しては、7%の復元で8年もかかるのですから、100%復元するとなれば100年くらいかかってしまいます。二の丸御殿は「金沢のサグラダ・ファミリア」になるのかもしれません。

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