兼六園の見どころ#2
国の特別名勝に指定されている兼六園は、岡山の後楽園、水戸の偕楽園とともに日本三名園のひとつに数えられています。
金沢城と直結する桂坂口から入園し、坂道を上ったところにある霞ヶ池は、テレビや雑誌で兼六園が紹介される際に必ず出てくるスポットです。そして、 霞ヶ池で最も有名なのが「ことじ灯籠」です。
「ことじ」とは琴の弦を支える器具で、その「ことじ」に形が似ていることから名付けられました。
観光客の方の中には、ことじ灯籠をものすごく大きなものだと予想して訪れる方も多いようですが、元々はロウソクを置く照明器具ですから、灯籠自体はこじんまりとしたものです。
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霞ヶ池には撮影ポイントがいっぱい
ことじ灯籠は池の主役ではなく、池を彩るアクセサリーとして配されています。このことから、ことじ灯籠は単体で撮影するよりも、霞ヶ池の水面と、緑に囲まれた対岸の風景をシンクロさせて撮影する方が良い写真が撮影できます。
ことじ灯籠の左手の対岸には、兼六園の松の中でも最も枝っぷりの良い「唐崎松」(からさきのまつ)がそびえています。この松は13代藩主・前田斉泰(なりやす)が、近江・琵琶湖畔の唐崎から種子を取り寄せて育てた松です。
霞ヶ池のアクセサリー・内橋亭
唐崎松から右に視線を向けると浮島の蓬莱島があり、さらに視線を右に向けると茶室の内橋亭があります。陸地にあるお茶室と水上に建てられたお茶室の間に橋が架かっていることから、内橋亭と名付けられました。
現在は茶店として営業しています。残念ながら池に立つ水亭に入れるのは5月7日の開園記念日だけなのですが、陸地に建てられたお座敷から、霞ヶ池を眺めながら和菓子と抹茶を召し上がるのもお勧めです。
兼六園の見どころ#6
茶店での抹茶と和菓子は兼六園の楽しみの一つ
1枚だけ撮るなら虹橋
霞ヶ池で一番の撮影スポットが虹橋です。虹のようにアーチを描く石橋で、橋の上に立って池をバックにしたアングルが訪れる人たちに大人気です。週末や行楽シーズンには写真撮影の列ができます。
年賀状や暑中見舞などの季節の書簡に金沢旅行の写真を1枚入れたいとお考えの方には、兼六園のこの場所が一番のおすすめです。
眺望台
霞ヶ池に沿って園内の奥へと向かうエリアは「眺望台」と呼ばれているスポットで、金沢の中心部に近い住宅街とその向こうに連なる山々を一望できます。ひがし茶屋街から卯辰山の方角です。
眺望台には木のベンチが置かれていますので、少し歩き疲れたなという時には、ベンチに座って遠くを眺めるのもいいでしょう。また、同じベンチを反対方向に腰掛けると木々の向こうに霞ヶ池が広がっています。
また、眺望台は春の季節には絶好のお花見スポットになります。
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内橋亭の裏手には小高い築山が
兼六園は江戸時代に加賀藩主・前田家によって人工的に造られた庭園で、霞ヶ池も元々は人の手で掘られた池です。ちなみに、霞ヶ池の水深は1メートルほどで、大人が楽に立つことのできる浅さです。
掘られた土は内橋亭の裏手に盛られ、高さ9mにも及ぶ築山となりました。その築山が栄螺山(さざえやま)と呼ばれる眺望スポットです。山肌をぐるりと回りながら登っていく様子が貝のサザエを連想させることから名付けられました。
地震の影響で閉鎖中です
山頂には休憩用のベンチが設けられ絶好の眺望スポットとなっています。霞ヶ池方向を臨むと、霞ヶ池の対岸に唐崎松がそびえ、その向こうに金沢の山々が見えます。まさに水泉と眺望が兼ね合わさっています。
また、山頂には雨を避けるために造られた唐傘のようなデザインの避雨亭や、三重石塔などのモニュメントが置かれています。
栄螺山は兼六園を初めて訪れる方にとっては見落としやすいスポットで、ことじ灯籠の周辺に多くの人が集まっている日でも栄螺山を登る人は多くありません。逆の見方をすると兼六園の穴場スポットと言えるでしょう。
ただ、残念ながら2024年の元旦に起こった能登半島地震で石垣が崩れたことから、現在は安全確保のため閉鎖されています。
さざえ山の麓は神秘的な雰囲気
栄螺山の麓には親不知(おやしらず)と呼ばれるスポットがあります。このあたりは散策路の幅が狭く、その風景が新潟県の親不知海岸に似ていることから名付けられたものです。足元が少し不安定ですのでハイヒールの方は気を付けてください。
日向から眺める霞ヶ池には華やかさを感じますが、親不知あたりの薄暗い地点から太陽が降り注いでいる霞ヶ池を眺めると、水面から神秘的な雰囲気が漂ってきます。
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お時間のない方は霞ヶ池だけで十分
兼六園のシンボルである霞ヶ池は、宏大さと幽邃(ゆうすい/奥ゆかしく静かであること)を兼ね備えた池です。眺める位置によって水の色が違いますので、ぜひ霞ヶ池をグルリと一回りしてみてください。
霞ヶ池を回遊するだけでも、日本三名園に挙げられる兼六園の景観を十分に堪能していただけます。
全国メディアで兼六園が紹介される際の映像や写真は霞ヶ池を映したものが大多数ですので、出張の途中にちょっと立ち寄ってみたという方は、霞ヶ池だけを見て次のお仕事に向かわれるのも良いかと思います。
カメラが趣味の方は午前中がお薦め
余談ですが、霞ヶ池は午後になると、ことじ灯籠から内橋亭に向けてのアングルが逆光になり空が白っぽく写ります。カメラが趣味で美しい風景写真を撮りたい方は、午前中に訪れる方がいいでしょう。
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